屋根に太陽光発電パネルを設置したエコ住宅のイメージ

福島第一原発の事故以降、再生可能エネルギーの普及を後押しする制度整備が進み、住宅の屋根に太陽光発電(ソーラーパネル)を設置する世帯が広がってきました。マイホームの新築・購入にあわせて太陽光発電を導入し、その費用を住宅ローンに組み込む方法もあります。ここでは、最新の固定価格買取制度(FIT)の状況と費用の目安、太陽光発電に対応した住宅ローンを、比較の視点で整理します。

固定価格買取制度(FIT)はどう変わってきたか

2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT)は、電力会社に再生可能エネルギーでつくった電気の買い取りを義務づける制度です。制度開始当初の2012年度は事業用で1kWhあたり40円(税抜)と世界最高水準に設定され、外資や国内大手の参入が相次ぎました。その後、普及とコスト低下を背景に買取価格は年々引き下げられてきました。

太陽光発電の余剰電力を売電する仕組みのイメージ

住宅用(10kW未満)の買取価格は、2024年度が16円、2025年度上半期が15円(いずれも1kWhあたり)でしたが、2025年度下半期からは「初期投資支援スキーム」を取り入れた新しい価格設定に変わりました。この価格体系は2026年度も続いており、住宅用は導入から最初の4年間が24円、5〜10年目が8.3円という二段階の単価になっています。はじめに高い単価で投資回収を早め、その後は自家消費を増やすほど得になる設計です。

住宅用(10kW未満)の期間買取価格(1kWhあたり)ポイント
1〜4年目24円初期投資支援スキームの高単価期間
5〜10年目8.3円自家消費を増やすほど有利になる
(参考)10年平均約14.58円買取期間は従来どおり10年で変更なし
2026年度の住宅用太陽光発電の買取価格を1〜4年目・5〜10年目・10年平均で比較した棒グラフ
初期投資支援スキームにより、前半4年間の単価が高く設定されています。

経済産業省が2026年3月に公表した資料では、2027年度についても住宅用は初期投資支援スキームが継続すると示されています。一方、事業用の地上設置型は2027年度以降FIT・FIP制度の支援対象外となる予定で、支援は屋根置きに重点化される方向です。制度は毎年見直されるため、最新の買取価格は経済産業省・資源エネルギー庁の公式サイトでご確認ください。

かつてのように「余った電気を高く売って大きく稼ぐ」モデルから、発電した電気をできるだけ自宅で使い(自家消費)、電気代の節約と合わせてメリットを得る考え方へと軸足が移っています。蓄電池を併設し、夜間や雨天時の自家消費を増やす世帯も増えています。

電気代の上昇局面では「自家消費」の価値が上がる

2026年は、政府による電気・ガス料金の補助が縮小し、資源価格の上昇も重なって、家庭の電気料金が上がりやすい局面が続いています。電気を買う単価が上がるほど、自宅で使った1kWhの節約効果が、売電単価より大きくなるのが太陽光発電の基本構造です。

数字で押さえておきたいのが、電気料金に上乗せされる再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)です。2026年度の単価は1kWhあたり4.18円で、1か月に400kWhを使う標準的な家庭では月額1,672円・年額20,064円の負担になります(2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用)。この賦課金は自家消費した分にはかからないため、自家消費を増やすことは実質的な負担軽減にもつながります。

太陽光発電を導入する3つのメリット

1. 発電した電力を自宅で使い、電気代を抑えられる

2. 余った電力を電力会社に買い取ってもらい収入を得られる(住宅用FITは10年間)

3. 自治体によっては補助金制度を利用できる

導入コストと補助金の目安

住宅用では3〜5kWが主流の容量です。経済産業省の調達価格等算定委員会の資料によると、近年設置された住宅用太陽光発電(10kW未満)のシステム費用は1kWあたりおおむね28〜30万円程度で、資材価格や人件費の影響でここ数年は横ばい〜やや上昇の傾向です。既築住宅への後付けは足場や屋根の補修が加わるぶん、新築時より1kWあたりの単価が高くなりやすい点も押さえておきましょう。4〜5kWのシステムなら、おおむね110万〜150万円程度が目安です(屋根の形状・メーカー・新築か既築かで変動します)。

都道府県や市区町村によっては、設置費用や蓄電池への補助金を受けられる場合があり、導入する住宅の所在地によって利用できる制度が異なります。補助金を活用できれば、初期費用の回収期間を前倒しできることもあります。最新の補助制度は、お住まいの自治体やお選びの施工会社にご確認ください。

売電収入は10年でいくらになる?(前提を置いた概算)

初期投資支援スキームでは前半と後半で単価が大きく違うため、10年分をまとめて考えるのがコツです。余剰売電量が年3,000kWhだったと仮定すると、2026年度の単価では次のようになります。

期間単価×売電量期間合計
1〜4年目24円×3,000kWh=年72,000円288,000円
5〜10年目8.3円×3,000kWh=年24,900円149,400円
10年合計約437,400円

これは売電収入だけの概算で、税金・保守費用・パワーコンディショナの交換費用は含みません。実際の余剰電力量は屋根の条件・設置容量・在宅時間・蓄電池の有無で大きく変わるため、施工会社のシミュレーションで自宅の条件に当てはめて確認してください。自家消費による電気代の節約分は、この表とは別に効いてきます。

太陽光発電に対応した住宅ローン

新築や購入にあわせて太陽光発電を導入する場合、設備費用を住宅ローンやリフォームローンに組み込めることがあります。太陽光発電システムを住宅設備・リフォームの対象とみなす住宅ローンの例として、次の各社が挙げられます。まずは観点別に比較しておきましょう。

比較の観点見るポイント備考
金利タイプ変動・固定の選択肢があるか総返済額に直結。最新金利は各行公式で確認
諸費用事務手数料・保証料の体系定率型・定額型で総額が変わる
団信・保障一般団信・疾病保障の有無万一への備えを比較
設備費用の取り込み太陽光・リフォーム費用を一本化できるか金利の低い住宅ローンにまとめられると有利
借入額の増加設備費用を上乗せしても審査・返済比率に収まるか売電収入は返済原資として当てにしすぎない

イオン銀行の住宅ローン

SBI新生銀行の住宅ローン

楽天銀行のフラット35

なかでもSBI新生銀行は、事務手数料や保証料など諸費用の体系が分かりやすく、一般団信を上乗せ金利0円で付帯できる点など、資金計画の見通しを立てやすいのが特徴です。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しており、設備費用を含めた相談がしやすい選択肢の一つといえます(金利・手数料・団信の最新内容は公式サイトでご確認ください)。

よくある質問(FAQ)

Q. いま太陽光発電を始めても元は取れますか?
A. 買取価格の考え方が「最初の4年間を厚くする」形に変わり、投資回収を早めやすい設計になりました。ただし回収できるかどうかは、容量・屋根条件・電気の使い方・補助金の有無で変わります。売電収入だけでなく、自家消費による電気代の節約と合わせて判断するのが現在の基本です。

Q. 5年目から単価が8.3円に下がると損ではありませんか?
A. 10年間の平均単価はおよそ14.58円で、直近の一律15円と大きくは変わりません。前半に厚く受け取れるぶん回収が早まる設計です。5年目以降は「売る」より「使う」ほうが有利になるため、蓄電池や電気の使い方の見直しを検討するタイミングと考えるとよいでしょう。

Q. FITの買取期間が終わったら(卒FIT)どうなりますか?
A. 住宅用(10kW未満)のFITは10年間です。期間終了後は各電力会社・新電力との相対契約での売電に切り替わり、単価は下がります。蓄電池で自家消費を増やす、より高く買い取る事業者へ切り替える、といった選択肢があります。

Q. 太陽光発電の費用を住宅ローンに組み込めますか?
A. 新築・購入時であれば、住宅本体とあわせて住宅ローンに含められる場合があります。後付けのリフォームではリフォームローンや住宅ローン(リフォーム対応)の対象になることがあります。取扱いは金融機関ごとに異なるため、各行の条件をご確認ください。

Q. 太陽光発電を載せると住宅ローン減税で有利になりますか?
A. 太陽光発電そのものに控除枠があるわけではありませんが、太陽光発電はZEH水準省エネ住宅などの省エネ性能を満たすうえで有効な設備です。住宅ローン減税は住宅の省エネ性能によって借入限度額が変わるため、結果として限度額の大きい区分に届きやすくなることがあります。適用の可否は住宅ごとの証明書で判断されるので、施工会社と早めに確認しておきましょう。

太陽光発電は魅力的な設備ですが、補助金の申請や施工品質の見極めも必要です。複数の施工会社や金融機関を比較し、信頼できる業者に相談しながら、無理のない資金計画で導入を検討しましょう。