タイプ別に自分に合った住宅ローンを選ぶイメージ

住宅ローンは「金利がいちばん低い一本」を選べば正解、とはなりません。事務手数料の型、団信の上乗せ、審査の物差しが銀行ごとに違うため、同じ借入額でも総額は数十万円から数百万円変わります。自分の事情に合う軸から絞り込むほうが早道です。

ここでは「返済額を抑えたい」「初期費用がない」「返済額を固定したい」「審査に不安がある」「時間がない」「健康に不安がある」「保障を厚くしたい」という7つのタイプごとに、2026年9月時点の公式情報で候補を整理します。金利で絞り、そのうえで諸費用と団信で決める——この順番が基本です。

1.金利環境の現在地:政策金利1.25%程度、短プラは11月2日に引き上げ

日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を年1.25%程度で推移させる方針を決めました(賛成7・反対2)。適用は9月24日からです(日本銀行の公表文)。

変動型の基準になるのは政策金利そのものではなく、各行が決める短期プライムレートです。三菱UFJ銀行とみずほ銀行は9月18日、短プラを11月2日から年2.375%→年2.625%へ引き上げると発表しました。三井住友銀行は検討段階と報じられています。

短プラが上がっても、その日から返済額が増えるわけではありません。基準金利の見直し時期や優遇幅の反映は銀行・契約ごとに異なり、5年ルールのある契約では適用利率が上がっても当面の返済額は変わらず、元金と利息の内訳が変わります。

タイプ① 理屈はいらないから返済金額をとにかく少なくしたい人におすすめの住宅ローン

この場合は「変動金利」の住宅ローンが出発点です。返済額を抑えるには金利の低い商品を選ぶのがいちばん分かりやすい判断になります。

ただし、「ネット銀行なら一律に安い」と言い切れた時代は終わりました。2026年の金利上昇局面では変動金利を先行して引き上げたネット銀行と据え置いた銀行とで順位が入れ替わり、いまは大手銀行のほうが低いケースも出ています。まずは横並びで確認してください。

金融機関変動金利(新規・最優遇)主な条件
りそな銀行0.950%融資手数料型・金利プラン
SBI新生銀行0.990%SBIハイパー預金の優遇適用時(自己資金10%以上の優遇適用時は1.060%)
みずほ銀行1.025%ネット専用・最大引下げ
イオン銀行1.040%金利プラン(物件価格80%以内)
三井住友信託銀行1.080%全期間一定引下げ(当初適用)
auじぶん銀行1.134%全期間引下げ・物件価格の80%以下の借入
三菱UFJ銀行1.195%ずーっと一律優遇コース・最優遇
PayPay銀行1.330%全期間引下型
ソニー銀行1.347%変動セレクト住宅ローン
三井住友銀行1.525%WEB申込・最優遇
楽天銀行1.557%住宅ローン(金利選択型)
ドコモSMTBネット銀行(WEB申込コース)1.750%通期引下げプラン

※当編集部が2026年9月1日に各行公式サイトを実際に確認した新規借入の金利です(審査結果により適用金利は変わります)。優遇の条件・団信の内容・事務手数料の型が異なるため、金利だけの単純比較はできません。

順位の入れ替わりで最も大きいのはドコモSMTBネット銀行です。WEB申込コースの変動金利は上昇し、物件価格80%以下の金利優遇も2026年8月実行分をもって終了しました。かつての「最安の常連」という前提で選ぶと判断を誤ります。

費用の見通しを立てやすい一本としては、SBI新生銀行の住宅ローンが候補に入ります。「SBIハイパー預金」の優遇を使った場合の2026年9月の適用金利は0.990%。保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)・一般団信の上乗せ0円と、かかる費用がシンプルで比較しやすい設計です。

一方、auじぶん銀行の住宅ローンは金利水準だけ見ると中位ですが、後述のとおり上乗せ0%で付帯する団信が手厚いのが持ち味です。金利が近い場合、差がつくのは「団信」と「諸費用」です。

タイプ② 頭金や借り換え費用を用意していない人におすすめの住宅ローン

ソニー銀行の住宅ローンが該当します。ソニー銀行は3種類の商品を用意しており、そのうち「住宅ローン」(定額型)は取扱手数料が一律44,000円(税込)です。その代わり金利の引下げ幅が小さく、表面金利はやや高く見えます。

低金利の「変動セレクト住宅ローン」「固定セレクト住宅ローン」は、取扱手数料が借入金額の2.20%(税込)です。4,000万円を借りるなら事務手数料は880,000円(税込)。定額型の44,000円(税込)とは80万円以上の差になります。

手元資金を残したい人、借入額が大きい人ほど、この「型」の違いが効いてきます。

事務手数料の型金額の例(借入4,000万円)該当する主な商品
定額型44,000円(税込)ソニー銀行「住宅ローン」(そのぶん金利の引下げ幅は小さい)
定率型(借入金額×2.20%・税込)880,000円(税込)ソニー銀行「変動/固定セレクト住宅ローン」、ドコモSMTBネット銀行(WEB申込コース)、SBI新生銀行 など

※上記のほか、登記費用・火災保険料などの実費が別途かかります(保証料は上記各行とも0円)。なお楽天銀行の住宅ローン(金利選択型)は定額330,000円(税込)で、定額型にも水準の差があります。

初期費用を抑えるなら定額型、金利の低さを取るなら定率型——どちらが有利かは借入額と借入期間で逆転します。借り換えで手元資金を使いたくない場合は、事務手数料や諸費用を借入金額に含められるか(ドコモSMTBネット銀行・SBI新生銀行は可能)もあわせて確認しておきましょう。

タイプ③ 家賃のように毎月同じ金額を引き落として欲しい人におすすめの住宅ローン

返済額を動かしたくないなら全期間固定金利、つまりフラット35が軸になります。2026年9月資金受取分の最も多い金利は、借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付きで年3.460%、借入期間20年以下(フラット20)は年3.140%でした。

融資率9割超は年3.570%と上乗せされます。頭金を1割用意できるかどうかで、全期間の金利が変わります。36年以上50年以下のフラット50は年3.700%です(住宅金融支援機構の金利情報)。

同じ9割以下でも金利の幅は年3.460〜5.690%と広く、フラット35は取扱金融機関ごとに金利と融資手数料が異なります。「フラット35なら横並び」ではありません。

費用面で比較しやすいのは楽天銀行で、返済口座を楽天銀行に指定した場合の融資手数料は新規1.10%(税込)/借り換え0.99%(税込)。ドコモSMTBネット銀行のフラット35(買取型)は2.20%(税込・最低110,000円)ですので、金利が同じでも初期費用の差は小さくありません。フラット35は「金利+手数料」の合計で比べるのが鉄則です。

団信の扱いも数字で決まっています。デュエット(ペア連生団信)は年0.180%上乗せ、新3大疾病付機構団信は年0.240%上乗せ、団信に加入しない場合は年0.200%引き下げです。

タイプ④ 返済履歴が住宅ローンの審査に影響あると知らなかった人におすすめの住宅ローン

断言しにくいテーマですが、国の政策的な役割も担うフラット35は一度検討する価値があります。住宅ローンの審査基準は各金融機関で異なり、各種ローンの延滞履歴があると審査に通りにくいのが一般的です。

フラット35の特徴は、勤続年数や雇用形態の要件を設けず、年収に対する総返済負担率(年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下)という基準を公表している点です。審査の物差しが公開されているぶん、自分が要件を満たすかを申込前に確認しやすいのは、民間ローンとの大きな違いです。

ただし、フラット35でも個人信用情報は確認されます。「延滞履歴があっても必ず通る」わけではありません。審査に落ちた具体的な理由が開示されないのは各金融機関に共通です。

心当たりがある人は、まず信用情報機関(CIC・JICCなど)に自分の登録内容の開示請求を行い、事実関係を確かめてから申し込むのが現実的な進め方です。

タイプ⑤ 契約まで時間がない人におすすめの住宅ローン

auじぶん銀行の住宅ローンは郵送の手間をなくし、必要書類をスマートフォンやパソコンからアップロードして申し込みまで完結できます。契約も電子契約に対応しており、印紙税が不要という副次的なメリットもあります。

ネット銀行の弱点(郵送のやり取りに時間がかかる)を補っている点で、このタイプの人に挙げられる1つ目の候補です。

もっとも、審査期間は申込内容・混雑状況・物件書類の揃い方に大きく左右されます。「必ず◯週間で実行できる」と断定できる金融機関はありません。決済日が決まっているなら、申込前に必要書類の一覧を取り寄せて先に揃えておくのが結局いちばんの近道です。

タイプ⑥ 過去に大病を患った経験がある人におすすめの住宅ローン

過去に大病を患ったことがあると、住宅ローン契約の必須条件である団体信用生命保険の審査に落ちることがあります。そんな場合に用意されているのが、引受基準を緩和したワイド団信です。一般の生命保険と同じように、緩和には費用負担が伴います。

ワイド団信は金利に年0.300%を上乗せする金融機関が多いなか、ソニー銀行の住宅ローンは年0.200%の上乗せでワイド団信に加入できます(完済時年齢は満81歳未満)。年0.100%の差は、借入3,000万円・35年なら総返済額でおよそ50万円規模の違いになります。

なお、ワイド団信でも加入できなかった場合は、団信への加入が任意であるフラット35という選択肢が残ります(団信なしの金利が適用され、民間の生命保険で別途備える考え方です)。健康状態に不安がある人ほど、団信の選択肢が広い金融機関を早めに候補へ入れておくことが大切です。

タイプ⑦ 何かあった時の保障を手厚くしておきたい人におすすめの住宅ローン

死には至らなかったものの重度の障害が残り、職場復帰が難しくなった場合を考えてみます。通常の団信では住宅ローンの残債はゼロにならないため、働けない状態でも返済を続けることになります。

auじぶん銀行の住宅ローンには、金利の上乗せなしで「がん・4疾病50%保障団信」が付帯します。がんと診断確定されると残債が半分になるほか、すべてのケガ・病気で入院が180日以上継続した場合に残高が0円になる全疾病長期入院保障、入院が続く間の毎月の返済を保障する月次返済保障も上乗せ0%で付帯します(付帯は借入時の年齢が満50歳未満の場合)。

がん保障をさらに厚くしたい場合は、年0.050%の上乗せで「がん100%保障団信」へ切り替えられます。保障を重視するなら、「無料でどこまで付くか」と「上乗せ金利の水準」を必ずセットで比較してください。同じがん保障でも上乗せが年0.100%〜0.200%の金融機関があり、35年で見れば数十万円の差になります。

タイプ別・チェックすべき比較軸の早見表

あなたのタイプ最優先で見る比較軸候補になりやすい住宅ローン
とにかく返済額を抑えたい変動金利の水準と優遇の条件りそな銀行/SBI新生銀行/みずほ銀行/イオン銀行
初期費用を抑えたい事務手数料の型(定額/定率)ソニー銀行「住宅ローン」(定額44,000円・税込)
返済額を固定したい全期間固定金利+融資手数料フラット35(楽天銀行など手数料の低い取扱金融機関)
審査に不安がある審査基準の明確さ・返済負担率フラット35
契約まで時間がないネット完結・電子契約の可否auじぶん銀行
健康状態に不安があるワイド団信の上乗せ金利ソニー銀行(年0.200%上乗せ)
保障を手厚くしたい上乗せ0%で付く団信の範囲auじぶん銀行(がん・4疾病50%保障が上乗せ0%)

よくある質問(タイプ別に選ぶときの疑問)

Q. 金利がいちばん低い銀行を選べば、総返済額も最少になりますか?

A. 必ずしもそうなりません。事務手数料が定率型(借入金額×2.20%・税込)か定額型かで、借入4,000万円なら80万円以上の差が出ます。「表面金利」ではなく「金利+事務手数料+団信の上乗せ」の合計で比べてください。

Q. ネット銀行の変動金利は、いまでも大手銀行より低いのですか?

A. 一律には言えなくなりました。2026年9月時点の新規・最優遇では、りそな銀行が0.950%、みずほ銀行が1.025%である一方、ドコモSMTBネット銀行のWEB申込コースは1.750%です。「ネット銀行=最安」という前提を外して、その月の実数で比べてください。

Q. 短期プライムレートが11月2日に上がると、返済額もその日から増えますか?

A. そうとは限りません。短プラは各行の基準金利のもとになる指標で、基準金利の見直し時期や優遇幅の反映は銀行・契約ごとに違います。5年ルールのある契約では、適用利率が上がっても毎月の返済額は当面変わらず、元金と利息の内訳が変わります。

Q. 金利上昇局面でも変動金利を選んでよいのでしょうか?

A. 判断は借入額・返済期間・家計の余力によります。多くの金融機関の変動型には返済額の急増を抑える「5年ルール」「125%ルール」がありますが、これらのルールを設けていない商品もあります(ソニー銀行など)。金利が上がったときに返済額がどう変わる商品かは、申込前に必ず確認しましょう。

Q. 複数の銀行に同時に申し込んでもよいですか?

A. 事前審査(仮審査)を複数行に出すことは一般的に行われています。ただし金融機関によっては仮審査を行わず本審査のみで完結するところもあり(SBI新生銀行など)、必要書類を揃えるタイミングが変わります。併願するなら審査の進め方の違いを踏まえてスケジュールを組んでください。

Q. 頭金は入れたほうが得ですか?

A. フラット35は融資率9割以下と9割超で金利が変わり、2026年9月は9割以下が年3.460%、9割超が年3.570%です(借入期間21年以上35年以下)。頭金1割の有無で全期間の金利が変わります。民間ローンでも自己資金の割合で優遇幅が変わる金融機関があります(SBI新生銀行の自己資金10%以上の優遇など)。

Q. 「今月の金利」で決めてよいですか?

A. 適用されるのは申込月ではなく融資実行月の金利です。金利上昇局面では実行月に金利が上がっている可能性もあるため、資金計画には余裕を持たせてください。

上記のタイプに当てはまらない人もいるはずです。住宅ローンは個人の環境や考え方によっておすすめできる商品が変わります。金利タイプの基本から確かめたい方は住宅ローンの基礎知識、優遇幅の仕組みが気になる方は住宅ローンの金利優遇とは?もあわせてご覧ください。

※本記事の金利・手数料は、当編集部が2026年9月1日に各金融機関の公式サイトを確認した値と、住宅金融支援機構が公表する2026年9月資金受取分の金利にもとづいています。金利は毎月見直され、適用されるのは融資実行月の金利です。最新情報は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

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