住宅ローンの基礎

多くの人にとって、住宅の購入は人生最大の買い物です。数千万円という金額を現金で用意できる人は多くありません。住宅購入という人生最大のイベントと表裏一体の、人生最大の借金。それが住宅ローンです。

住宅ローンは長ければ35年以上にわたって借り続けることになります。だからこそ意識してほしいのは、わずかな金利や諸費用の違いが、数十万円から数百万円の差になるという事実です。とくに近年は日本銀行が金融政策の正常化を進め、長らく続いた「金利が動かない時代」が終わりました。金利タイプの選び方の重みは、以前より確実に増しています。

住宅ローンの基礎知識を身につけることは、自分に合った住宅ローンを見つけるための第一歩です。

住宅ローンとは

住宅ローンとは、自らが住む家を購入するために、その住宅を担保として金融機関からお金を借りるものです。
物件の新築・中古は問いませんが、自ら住む家を購入するための融資制度なので、土地だけの購入や不動産投資用の物件購入には原則として利用できません。

住宅ローンを大きく分けると、「民間金融機関が提供する住宅ローン」と、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の「フラット35」の2つになります。フラット35は融資限度額が1億2,000万円(2026年4月実行分から引き上げ済み)で、取扱金融機関によって融資事務手数料が大きく異なる点が特徴です。

また、この数年の住宅ローンの傾向として「付帯サービスの充実」が挙げられます。金利の低さだけでなく、団体信用生命保険(団信)の保障範囲、諸費用の設計、契約者特典が自分の考え方に合っているかは、極めて重要な比較軸です。

固定金利と変動金利

変動金利 固定金利
金利の決まり方 大手銀行が優良企業に短期で貸し出す際の基準となる「短期プライムレート(短プラ)」に連動するのが基本です。短プラは日本銀行の政策金利の動きを反映するため、金融政策の変更が時間差で住宅ローン金利に波及します。ここに各行の引き下げ幅(優遇幅)を差し引いて適用金利が決まります。 長期金利(10年もの国債利回り)に連動するとされています。市場金利の動きが比較的すぐに反映されるため、変動型より先に動くのが一般的です。
金利の見直し 原則として年2回(多くの銀行は4月・10月に見直し、実際の適用は7月・翌1月返済分から) 全期間固定型はなし。当初固定型は固定期間の終了時に見直し(そのときの金利で再選択)
返済額の確定 確定しない 借り入れ時に確定する(当初固定タイプは当初期間のみ確定)
メリット 1.固定金利に比べて金利が低い
2.金利が下がれば返済額も減る
1.金利が上昇しても返済額が変わらない
2.返済計画を最初から確定できる
デメリット 1.金利が上昇すると返済額が増える
2.将来の返済額が読めない
1.変動金利に比べて金利が高い
2.金利が低下しても返済額は変わらない

ここで押さえておきたいのが、多くの銀行が変動金利に採用している「5年ルール」と「125%ルール」です。

  • 5年ルール…金利が上昇しても、毎月の返済額は5年間据え置かれる(金利の上昇分は、返済額に占める元金と利息の内訳で調整される)
  • 125%ルール…返済額の見直し時でも、新しい返済額は従来の1.25倍が上限になる

ただし、これらは「返済額の急増を和らげる」仕組みであって、利息の支払いが免除されるわけではありません。金利上昇が大きい場合、その月の返済額では利息を払いきれない「未払利息」が発生し、最終回にまとめて請求されることがあります。また、この2つのルールを採用していない銀行もあります(採用していない場合、金利上昇が半年ごとにそのまま返済額へ反映されます)。変動型を選ぶなら、必ず申込先の取り扱いを確認してください。

日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で金融市場調節方針を変更し、7月31日の会合では方針を据え置いています。最新の政策金利や適用金利は、日本銀行および各金融機関の公式サイトでご確認ください。

住宅ローンの税制優遇(住宅ローン控除)

一定の要件を満たすと、年末の住宅ローン残高に応じた金額が所得税(控除しきれない分は住民税の一部)から差し引かれます。これが住宅借入金等特別控除、いわゆる住宅ローン控除です。

この制度は2022年(令和4年)の改正で内容が大きく変わりました。「控除率1%・最大10年間」は旧制度の内容であり、現在は当てはまりません。令和4年1月1日から令和7年12月31日までに入居した場合の内容は次のとおりです。

住宅の区分控除期間控除率各年の控除限度額(令和6年・令和7年入居)
新築・認定長期優良住宅/認定低炭素住宅13年0.7%31.5万円(特例対象個人は35万円)
新築・ZEH水準省エネ住宅13年24.5万円(特例対象個人は31.5万円)
新築・省エネ基準適合住宅13年21万円(特例対象個人は28万円)
新築・その他の住宅(省エネ基準を満たさない)原則として対象外(令和5年12月31日までに建築確認、または令和6年6月30日までに建築されたものは限度額14万円で10年間)
中古(既存住宅)・認定住宅等10年21万円
中古(既存住宅)・その他の住宅10年14万円

※「特例対象個人」とは、40歳未満で配偶者がいる方、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる方、または19歳未満の扶養親族がいる方をいいます(判定は居住年の12月31日時点)。

主な適用要件は次のとおりです。

  • 1.住宅の取得等の日から6か月以内に居住し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 2.床面積が50平方メートル以上(登記事項証明書の表示による)で、その2分の1以上が自己の居住用であること
    ※新築で一定の要件を満たす場合、40平方メートル以上50平方メートル未満でも対象になりますが、その年の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です
  • 3.控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること(旧制度の「3,000万円以下」から引き下げられています
  • 4.住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 5.中古住宅の場合は、昭和57年(1982年)1月1日以後に建築されたものであること(それ以前の住宅は、耐震基準適合証明書などで耐震基準に適合することの証明が必要)
    かつての「築20年以内(マンションなど耐火建築物は25年以内)」という築年数の要件は、2022年の改正で廃止されています
  • 6.生計を一にする親族などからの取得や、贈与による取得でないこと

控除を受ける最初の年は確定申告が必要です(給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で手続きできます)。

※上記は令和7年(2025年)12月31日までに入居した場合の内容です。住宅ローン控除は毎年の税制改正で見直される制度であり、令和8年(2026年)以降に入居する場合の取り扱いは、必ず国税庁の最新情報および所轄の税務署でご確認ください。税務署は、意外なほど親切に教えてくれます。

頭金と月々の返済金額

金融機関によっては物件価格の全額を融資してくれる場合もあります。しかし、諸費用や手付金を考えると、ある程度の自己資金は用意しておく必要があります

また、長期の借り入れでは、たとえ金利が1%台でも完済までの利息総額はかなりの金額になります。当初の借入総額を抑えておく意味は小さくありません。頭金の目安は物件価格の10〜30%程度といわれます。なお、フラット35のように融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割以下かどうかで金利が変わる商品もあるため、自己資金の額は金利にも直結します。

月々の返済については、ボーナス払いを前提とした契約はできるだけ避けるべきでしょう。ボーナスは一時金であり、勤務先の業績によってはゼロになることも考えられます。実際に、そうした状況で返済が滞るケースは起きています。ボーナスを除く年収の25〜30%程度を月々の返済額の上限としておくと、より安心です。

住宅ローンの借り換え、見直し

借り入れ時に希望の金融機関へ申し込めなかった場合や、より有利な条件の金融機関が出てきた場合は、借り換えを検討しましょう。シミュレーターで借り換えメリットの有無を事前に確認することは必須です。

借り換えでは、金利差だけでなく諸費用(融資事務手数料・保証料・抵当権の設定と抹消の費用・印紙税など)を差し引いた実質的な効果で判断してください。金利が下がっても諸費用で相殺されることは珍しくありません。

保証料が0円で、事務手数料の体系を選べるソニー銀行のような銀行を活用すると、借り換えに必要な費用のハードルを下げられます。金利上昇局面では「変動から固定へ」という目的の借り換えも選択肢になるため、金利タイプの見直しもあわせて検討するとよいでしょう。

住宅ローンの申込と審査

住宅ローンの審査では、一般に以下の項目が見られると考えられています。

1.勤務先(業界)

安定的な収入を得られる勤務先であるかは、審査されるポイントの1つです。一般的に、自営業者や中小企業にお勤めの場合は、大手企業勤務と比べて厳しくみられる傾向が今でも残っています。

2.年収

かつては年収300万円が最低ラインといわれていましたが、申込条件は金融機関によって大きく異なります。年収要件を設けない金融機関もあれば、200万円台から申し込める商品もあります。具体的な年収条件は各金融機関の公式サイトや商品説明書でご確認ください。

借入可能額の目安として「年収の6倍程度」といわれることがありますが、これはあくまで目安です。実際の審査では返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)で判定され、その計算には実際の適用金利より高い「審査金利」が使われるのが一般的です。金利が上昇すると、同じ年収でも借入可能額は減る方向に働きます。

3.勤続年数

3年以上というのが平均的な基準ですが、3年未満でも勤務先がしっかりしていると判断されれば問題にならないことも多くあります。転職予定がある場合は、先に住宅ローンの申し込みと審査を済ませておくと安心です。

4.過去に借り入れの支払いに延滞がないか

クレジットカード、カードローン、携帯電話本体の割賦、自動車ローンなどの支払いに遅延がなかったかがチェックされます。こうした返済状況は信用情報機関に登録され、延滞があった場合は5年程度その記録が残ります。すぐに改善することは難しいため、日頃からお金の管理をしっかりしておくことが必要です。

5.現状の借り入れの有無、残高

クレジットカードのキャッシングやカードローンなどの借り入れがあるかがチェックされます。金融機関によっては、これらの完済が住宅ローン融資の条件になる場合もあります。

諸費用と団信も「金利」と同じ比重で比べる

住宅ローン選びでは金利に目が向きがちですが、総支払額を左右するのは金利・諸費用・団信の3点セットです。

比較の観点見るポイント備考
金利適用金利(引き下げ後)と、引き下げ幅が完済まで続くか当初固定型は期間終了後の引き下げ幅も確認する
融資事務手数料定率型(借入額×一定率)か定額型か定率型は借入額が大きいほど負担が増える。定額型と選べる銀行もある
保証料0円か、外枠(一括前払い)か、内枠(金利上乗せ)かネット銀行は0円が多い。0円でも事務手数料が高いことがある
団体信用生命保険一般団信の保険料負担、疾病・がん保障の上乗せ金利上乗せ0円で保障を広げられる銀行もある
繰上返済手数料一部・全額繰上返済の手数料、最低金額の単位1円から手数料0円の銀行もある

諸費用の水準や条件は改定されることがあるため、比較の際は必ず各金融機関の公式サイトと商品説明書で最新の内容をご確認ください。

よくある質問

Q. 変動金利と固定金利、いま選ぶならどちらですか?
一律の正解はありません。判断材料は「返済額が増えたときに家計が耐えられるか」です。金利が1%上がっても返済を続けられる余力があるなら変動型、返済額を確定させたいなら固定型が基本的な考え方になります。金利上昇局面では両者の差が縮まることもあるため、申し込み時点の実際の金利差で比べてください。

Q. 審査は複数の銀行に同時に申し込んでもよいですか?
事前審査(仮審査)を複数行に申し込むこと自体は一般的です。ただし、金融機関によっては事前審査を行わず本審査のみで完結するところもあります(SBI新生銀行など)。併願する場合は、各行の審査の進め方と必要書類を確認したうえで順序を組み立てましょう。

Q. 頭金なし(フルローン)でも借りられますか?
物件価格の全額を融資する金融機関はあります。ただし、融資率によって金利が上がる商品があるほか、返済期間中の残高が大きくなるため利息総額は増えます。売却時に残債が売却額を上回るリスクも含めて検討してください。

Q. 住宅ローン控除は共働きだとどうなりますか?
夫婦それぞれが住宅ローンを組む(ペアローン・連帯債務)場合は、それぞれの持分と借入額に応じて各自が控除を受けられます。ただし控除は所得税・住民税から差し引く仕組みのため、産休・育休などで課税所得がない期間は控除しきれないことがあります。借り方の設計は税額に直結するため、税務署や専門家に確認することをおすすめします。

住宅ローンの基礎

当サイトでは、住宅ローンに詳しくない方でも後悔しない住宅ローン選びができるよう、おすすめの住宅ローンを厳選して紹介しています。「低金利」「手数料などの諸費用負担」「店舗で相談できる安心感」——住宅ローンで重視するポイントは人によって異なります。100人中100人にとって一番良いという商品はありませんが、当サイトで紹介している住宅ローンは、自信をもっておすすめできるものです(実際にサイト運営者も以下の銀行の住宅ローンを利用しています)。

ネット銀行など新しいタイプの銀行の住宅ローンは、依然として有力な選択肢です。たとえばauじぶん銀行ソニー銀行は、がん保障などの疾病保障を金利の上乗せなしで付帯できるプランを用意しています(ソニー銀行の「がん団信50」は上乗せ金利なし)。SBI新生銀行も、保証料0円・一部繰上返済手数料0円に加え、2026年3月から上乗せ0円の全疾病保障付団信を取り扱っており、諸費用と保障のわかりやすさで検討に値します。国が支援するフラット35も見逃せません。独自のフラット35が魅力的なSBIアルヒにも注目してください。

当サイトでは、さまざまな切り口の比較コンテンツや最新の住宅ローンニュースをご用意しています。
皆様の正しい住宅ローン選びのために、少しでも参考になれば幸いです。