省エネ性能・耐震性に優れた質の高い住宅のイメージ

全期間固定金利の【フラット35】を検討しているなら、購入予定の住宅が【フラット35】Sの基準に適合するかどうかを必ず確認しておきましょう。適合すれば、借入当初の金利が引き下げられ、総返済額に数十万円〜100万円超の差が出ます。

ただし、この制度は2022年10月に「ポイント制」へ移行しており、以前ネット上で解説されていた「金利Aプランは当初10年間」「引下げ幅は年0.300%」といった内容は現在の制度とは異なります。本記事は2026年7月28日時点の住宅金融支援機構の公表内容に基づいて整理しています。

【フラット35】Sとは

【フラット35】Sは、【フラット35】を申し込む人が、長期優良住宅など省エネルギー性・耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度です。【フラット20】など期間の異なる商品も対象になります。

評価される基準は次の4つで、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合しているかを、第三者機関である検査機関などの検査(設計検査・現場検査)で確認します。

  • 省エネルギー性…高い水準の断熱性などを実現した住宅(冷暖房費に差が出る)
  • 耐震性…強い揺れに対して倒壊・崩壊などしない性能を確保した住宅(地震保険の割引にもつながる)
  • バリアフリー性…高齢者の日常生活を行いやすくした住宅
  • 耐久性・可変性…長期優良住宅など、長期にわたり良好な状態で使用するための措置を講じた住宅

3つのプランと金利引下げ幅(2026年7月時点)

現在の【フラット35】Sは、住宅の性能レベルに応じてZEH/金利Aプラン/金利Bプランの3段階に分かれ、それぞれ付与されるポイント数が異なります。1ポイント=当初5年間 年▲0.250%が基本単位です。

金利引下げメニューポイント引下げ期間引下げ幅
【フラット35】S(ZEH)3ポイント当初5年間年▲0.750%
【フラット35】S(金利Aプラン)2ポイント当初5年間年▲0.500%
【フラット35】S(金利Bプラン)1ポイント当初5年間年▲0.250%

※上表は【フラット35】Sのみのポイントが適用された場合の引下げ期間・引下げ幅です(住宅金融支援機構・2026年7月28日確認)。ほかの引下げメニューと組み合わせた場合は、後述のとおり期間・幅が変わります。

ポイントは「住宅の性能が高いほど大きい」という考え方です。Aプランのほうが技術基準は厳しく、その分だけ引下げ幅も大きくなります。どのプランに当てはまるかは物件ごとに異なるため、住宅事業者や取扱金融機関に早い段階で確認しておくとよいでしょう。

総返済額はどれくらい変わる?(機構の公式試算例)

住宅金融支援機構が公表している試算例(借入額3,000万円・融資率9割以下・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・借入金利 年2.500%の場合)では、【フラット35】Sの有無で総返済額に次の差が出ます。

フラット35Sの3プラン別に総返済額がいくら少なくなるかを示した棒グラフ
借入額3,000万円・融資率9割以下・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・借入金利年2.500%の場合(概算)
タイプ当初5年間の金利6年目以降の金利総返済額【フラット35】との差
【フラット35】(引下げなし)年2.500%年2.500%45,044,199円
【フラット35】S(ZEH)年1.750%年2.500%43,788,588円▲1,255,611円
【フラット35】S(金利Aプラン)年2.000%年2.500%44,207,234円▲836,965円
【フラット35】S(金利Bプラン)年2.250%年2.500%44,625,826円▲418,373円

※住宅金融支援機構の試算例(概算)。融資手数料・物件検査手数料・火災保険料などは含まれません。引下げは当初5年間だけで、6年目以降は元の金利に戻る点に注意してください。

ほかの引下げメニューと組み合わせられる

【フラット35】の金利引下げは、【フラット35】S単独ではなく複数メニューの合計ポイントで決まります。子どもの人数などに応じた【フラット35】子育てプラス、維持保全・維持管理の状況に応じたメニューなどを組み合わせられ、合計ポイントが増えるほど引下げ幅・引下げ期間が有利になります。

取扱金融機関の案内では、子育てプラスを利用しない場合は合計4ポイント(当初5年間 年▲1.000%)が上限とされています。機構のサイトでも、4ポイントを適用して当初5年間 年1.000%引き下げた場合の金利が例示されています。

商品当初5年間(4ポイント適用時)6年目以降
【フラット35】年2.140%年3.140%
【フラット20】年1.820%年2.820%
【フラット50】年2.320%年3.320%

※2026年7月の最頻金利(融資率9割以下・新機構団信付。金融機関が提供する金利で最も多いもの)。金利は毎月見直されるため、実際の適用金利は住宅金融支援機構および取扱金融機関の公式サイトでご確認ください。

申し込む前に知っておきたい5つの注意点

  1. 借換えには利用できません。【フラット35】Sは新築住宅の建設・購入および中古住宅の購入で利用できる制度です。
  2. 【フラット35】リノベとの併用はできません。中古住宅+リフォームの場合はどちらを使うか比較が必要です。
  3. 土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内等で新築住宅を建設・購入する場合は利用できません。
  4. 予算金額があり、達する見込みとなった場合は受付終了となります。終了日は終了の約3週間前までに【フラット35】サイトで告知されます。検討中なら早めの申込みが安全です。
  5. 金利引下げは申込時の要件で判定され、借入後にさかのぼって適用されません。子どもの誕生など、あとから条件を満たしても適用外です。

【フラット35】Sについてよくある質問

Q.中古住宅を買う場合でも使えますか?

使えます。【フラット35】Sは新築住宅の建設・購入のほか中古住宅の購入でも利用可能です。ただし新築と同じく、定められた技術基準への適合を検査で確認する必要があります。

Q.住宅ローンの借換えで【フラット35】Sは使えますか?

使えません。【フラット35】自体は借換えにも使えますが、【フラット35】Sの金利引下げは借換融資には適用されません。借換えで固定金利を検討する場合は、引下げなしの【フラット35】金利と民間ローンの金利を比べることになります。

Q.金利Aプランと金利Bプランは何が違うのですか?

求められる住宅の技術基準のレベルが違います。Aプラン(2ポイント)のほうが基準が厳しく、引下げ幅も年▲0.500%と大きくなります。Bプランは1ポイントで年▲0.250%です。以前は「Aプランは当初10年間」という制度でしたが、ポイント制移行後はいずれも当初5年間です。

Q.引下げ期間が終わったあとの返済額はどうなりますか?

6年目以降は引下げ前の金利に戻るため、毎月の返済額が上がります。上の試算例では、金利Aプランで当初5年間99,378円、6年目以降106,235円です。家計の計画は「6年目以降の返済額」を基準に立てておくと安全です。

Q.物件検査の手数料は誰が負担しますか?

物件検査手数料は借入れをする人の負担で、総返済額の試算には含まれていません。金額は検査機関によって異なるため、引下げのメリットと検査費用を差し引きで比較しましょう。

まとめ:長期固定を選ぶなら、まず「Sが使えるか」を確認

【フラット35】Sは、質の高い住宅を取得する人であれば申し込むだけで当初5年間の金利が下がる、費用対効果の高い制度です。ZEHなら年▲0.750%、金利Aプランなら年▲0.500%、金利Bプランなら年▲0.250%が基本で、子育てプラスなど他メニューとの合計ポイント次第でさらに有利になります。

一方で、引下げは当初5年間のみで、借換えには使えません。全期間固定にこだわらないのであれば、変動金利や当初固定金利の民間住宅ローンも同時に比べておくのが現実的です。たとえばSBI新生銀行は保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円と諸費用がわかりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、【フラット35】と並べて検討する価値があります。当サイトでは金利・諸費用・団信の観点から各社を横並びで比較していますので、あわせてご覧ください。

※【フラット35】の金利・引下げメニュー・予算の受付状況は変更されることがあります。最新の取り扱い状況は必ず住宅金融支援機構および各取扱金融機関の公式サイトをご確認ください。

 

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