
保険を見直す節目は、「結婚」「子供の誕生」「住宅購入」の3つです。なかでも住宅ローンを組むときは、団体信用生命保険(団信)によって万一のときの住居費負担が消えるため、生命保険の死亡保障が重複しやすく、保険料を下げられる余地がいちばん大きくなります。
一方で、必要保障額を逆算するときの前提となる公的保障は、2025年に成立した年金制度改正法で2028年4月から変わります。3つのタイミングごとに「何を・どの方向に」見直すのかを、その前提もあわせて整理します。
保険見直しの3大タイミング早見表
| タイミング | 見直しの中心 | ポイント |
|---|---|---|
| 結婚 | 死亡保障の要否・医療保障 | 共働きなら大型の死亡保障は必須とは限らない。出産に備えた医療保障の確認を優先 |
| 子供の誕生 | 死亡保障の増額・教育資金 | 遺された家族の生活費・教育費から必要保障額を逆算する |
| 住宅購入(住宅ローン) | 生命保険の減額・整理 | 団信加入で死亡保障が重複しやすく、保険料を下げられる可能性が大きい |
1. 結婚したとき
結婚を機に保険加入を勧められることは今も多いですが、共働き世帯が主流となった現在、結婚した時点で大きな死亡保障が必要になるケースは以前より減っています。
判断の軸はシンプルです。「一家の収入の担い手に万一のことがあったとき、残された配偶者がお金の面で困るかどうか」。お互いに収入があり当面の生活に支障がなければ、高額な死亡保障を急いで付ける必要性は高くありません。
一方、いずれ子供を持ちたいと考えているなら、医療保険の検討は早めが安心です。妊娠・出産では入院や手術が必要になる場合があり、妊娠後には加入や保障追加に条件が付く商品もあるためです。
2. 子供が生まれたとき
保険の必要性を最も強く感じるのは、子供が生まれたときでしょう。親に万一のことがあれば、子供の生活費・教育費の負担が直接家計に響きます。
「遺族の生活費+教育費−遺族年金などの公的保障−貯蓄」で必要保障額を逆算し、過不足を確認するのが基本です。妊娠中から夫婦で保障内容を確認しておくと、出産後にあわてずに済みます。
公的保障の前提は2028年4月から変わる
この計算の「公的保障」の部分が、これから変わります。2025年6月に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金は2028年4月から見直される予定です(厚生労働省)。
ポイントは、18歳年度末までの子がいない配偶者が受け取る遺族厚生年金が、原則5年間の有期給付になるという点です。男性は18歳年度末までの子がいない60歳未満の方が新たに対象となり、女性は2028年度末時点で40歳未満の方が対象になります。
一方で、次に当てはまる方は今回の見直しの影響を受けません。
- すでに遺族厚生年金を受給している方
- 60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
- 18歳年度末までの子を養育する間にある方の給付内容
- 2028年度に40歳以上になる女性
また、有期給付には加算が上乗せされて現在の額の約1.3倍となり、5年経過後も障害状態にある方や収入が十分でない方は増額された年金を受け取れる継続給付があります。遺族基礎年金の子の加算額も年約23.5万円から28万円へ増額されます。
要するに、「子が独立した後も遺族厚生年金が一生続く」という前提で必要保障額を組んでいる世帯は、前提が変わるということです。制度の詳細は厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」で確認できます(2026年9月時点の公表内容)。
3. 住宅購入・住宅ローンを組んだとき
住宅ローンを組んだときは、保険見直しの絶好のタイミングです。理由は団体信用生命保険(団信)にあります。
団信は、借主が死亡または所定の高度障害状態になった場合に住宅ローン残高が保険金で完済される仕組みで、民間の銀行住宅ローンでは原則として加入が必要です。
団信に加入すると「万一のとき、住居費の負担が消える」ため、死亡時に一定額を受け取る生命保険と機能が重複しやすくなります。つまり、住宅ローンを組んだ後は生命保険の死亡保障を減額できる余地が生まれ、毎月の保険料を下げられる可能性があるのです。返済で家計の負担が増えるタイミングだからこそ、重複の整理が効きます。
団信の内容も多様化しており、がん保障付きや全疾病保障付きの団信を金利上乗せなし、または小幅な上乗せで選べる銀行が増えています。団信の保障が厚い銀行を選べば、単体の医療保険・がん保険の持ち方まで含めて見直せる場合があります。
フラット35の団信は民間ローンと保障範囲が違う
【フラット35】の団信(新機構団信)は、民間の銀行ローンの団信と保障の条件が異なります。見直しの前提がずれるため、フラット35を使う人は次の点を押さえてください(2026年9月時点・公式サイトにて確認)。
- 加入は任意…健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合もフラット35を利用できます。加入する団信の種類によって借入金利が変わります。
- 「高度障害」の保険金はない…新機構団信・新3大疾病付機構団信では高度障害保険金の取扱いがなく、死亡のほかは身体障害者福祉法の1級または2級に該当し手帳の交付を受けたときが対象です。
- 保障は満80歳まで…満80歳の誕生日の属する月の末日で保障が終わります。
- 加入できるのは満15歳以上満70歳未満…あわせて幹事生命保険会社の加入承諾が必要です。
- 夫婦で連帯債務なら「デュエット」が使える…ペア連生団信で、どちらかに万一のことがあれば持分や返済割合にかかわらず債務の返済が不要になります(新3大疾病付機構団信では利用できません)。
民間ローンの団信を前提に「高度障害でも残高が消える」と思い込んでいると、フラット35では保障の穴が生まれます。出典は【フラット35】公式「新機構団信の加入要件・保障内容」です。
もうひとつ注意点があります。団信でカバーされるのは住宅ローン残高だけで、遺族のその後の生活費や教育費までは賄えません。生命保険をゼロにするのではなく、「住居費分を差し引いた必要保障額」に合わせて減額するのが基本です。
保険の相談はどこでする?
保険と住宅ローンをまたいだ見直しは専門知識が必要で、自力で最適解を出すのは簡単ではありません。住宅ローンを借りるときに、保険の相談もあわせてできる金融機関を選ぶのも一つの方法です。
有人店舗を持つ銀行なら対面で相談できます。イオン銀行は、イオンのショッピングセンター内などに店舗を構え、土日祝を含めて相談できる体制をとっています。ただし住宅ローン営業部など一部の拠点は営業時間が異なるため、来店前に店舗検索で確認してください。
SBI新生銀行も、店舗での対面相談とオンライン手続きの両方に対応しています。一般団信の保険料0円に加えて、2026年3月からは金利上乗せ0円の全疾病保障付団信も選べるようになりました。団信を軸に保険全体を整理したい方には相談しやすい選択肢の一つです。
いずれの場合も、1行の提案だけで決めず、複数の金融機関を横並びで比べたうえで判断してください。当サイトの住宅ローンの金利・団信・諸費用の比較ランキングや、楽天銀行の住宅ローンの手数料と団信の整理のように、団信の条件まで含めて見比べるのが近道です。
よくある質問(FAQ)
Q. 団信に入ったら、いま入っている生命保険は解約してよいですか?
A. 全額解約は危険です。団信で消えるのは住宅ローン残高だけなので、遺族の生活費・教育費に必要な保障は残す必要があります。「解約」ではなく「減額」を軸に検討しましょう。
Q. フラット35でも団信で生命保険を見直せますか?
A. 見直せますが、保障範囲が民間ローンと異なります。新機構団信は高度障害保険金の取扱いがなく、死亡のほかは身体障害1級・2級が対象です。加入しない選択もできるため、その場合は残高分の死亡保障を生命保険側で確保してください。
Q. 夫婦のペアローンの場合、保険見直しの注意点は?
A. ペアローンでは団信もそれぞれの借入分にしか適用されないのが一般的です。一方が亡くなっても他方のローンは残るため、残る側の返済負担まで含めて必要保障額を計算してください。
Q. 遺族年金の見直しは、必要保障額にどう影響しますか?
A. 子がいない期間の遺族厚生年金が原則5年の有期給付になるため、「一生受け取れる」前提で組んだ保障は不足する可能性があります。ただし2028年4月施行予定で、既受給者や子を養育中の方などは影響を受けません。
Q. 見直しは何年ごとに行うべきですか?
A. 年数で区切るより、家族構成・収入・住居費が動いたタイミングで行うのが実際的です。結婚・出産・住宅購入に加えて、転職や独立で収入の安定度が変わったときも点検の機会になります。
まとめ
結婚・子供の誕生・住宅購入は、いずれも家計が大きく動く節目です。とくに住宅ローンを組むときは、団信という「もう一つの生命保険」が加わるため、保険料を払い過ぎない体制に整える好機になります。
団信の保障範囲は金融機関や商品で差があり、公的保障の前提も2028年4月から変わります。「団信でどこまで消えるか」「公的保障でいくら入るか」を先に押さえてから、足りない分を民間の保険で埋めるという順番で整理すると判断しやすくなります。
※各行の団信の保障内容・上乗せ金利、フラット35の団信の取扱いは変更されることがあります。最新の条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

