
住宅ローンの比較というと金利と手数料に目が行きがちですが、返済期間が30年・35年と長くなるほど、「返している途中で働けなくなったらどうなるか」という論点が重くなります。ここを担うのが団体信用生命保険(団信)です。
かつては「死亡・高度障害のときにローンが完済される」だけの仕組みでしたが、現在はがん・3大疾病・所定の身体障害状態・要介護状態などをカバーする特約が各行に用意され、保障の内容と上乗せ金利で選ぶ時代になっています。このページでは、主要な団信のタイプと上乗せ金利の目安を、各社公式の最新情報(2026年7月31日確認)で横並びに整理します。
団信の基本:まず「一般団信」の範囲を押さえる
一般団信が保障するのは、原則として死亡と所定の高度障害状態です。この範囲であれば、多くの金融機関が保険料を銀行負担(上乗せ金利なし)としています。民間の住宅ローンでは団信への加入が必須条件になっていることがほとんどで、加入できなければ借りられない、という点は最初に知っておきたいポイントです。
問題は、「死亡・高度障害には至らないが、働けない」状態です。がんの治療で長期の休職に入る、脳卒中の後遺症が残る、事故で身体に障害が残る——こうしたケースは一般団信では保障されません。ここを埋めるのが特約付き団信です。
特約付き団信の4つの型
各行の商品名はさまざまですが、保障の設計はおおむね次の4つに整理できます。
| 型 | 保障のきっかけ | 向いている人 |
|---|---|---|
| がん保障型 | 所定のがんと診断確定されたとき(残高の50%または100%) | 上乗せを抑えつつ、罹患率の高いリスクに絞って備えたい人 |
| 3大疾病保障型 | がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になったとき | 脳・心疾患による長期離脱まで備えたい人 |
| 就業不能・入院保障型 | 病気やケガで所定の就業不能状態・長期入院が続いたとき | 病名を問わず「働けない期間」に備えたい人 |
| 特定状態保障型 | 3大疾病に加え、所定の身体障害状態・要介護状態になったとき | 病気だけでなく事故によるリスクまで広く備えたい人 |
保障範囲が広がるほど上乗せ金利も上がります。「広ければよい」ではなく、給付の条件(何日以上その状態が続く必要があるか等)まで見て選ぶのが、団信選びのいちばんの勘所です。
上乗せ金利の目安を横並びで見る

主要行の公表内容を、上乗せ金利の順に並べると次のようになります(いずれも2026年7月31日に各社公式サイトで確認)。
| 金融機関・団信 | 上乗せ金利(年利) | 保障のポイント |
|---|---|---|
| ソニー銀行「がん団信50」 | 上乗せなし | がんと診断確定で住宅ローン残高の50%を保障 |
| SBI新生銀行「全疾病保障付団信」 | 上乗せなし | 8疾病等による所定の就業不能状態が所定期間続いたとき残高を保障 |
| ソニー銀行「がん団信100」 | 0.1% | 残高100%保障+がん診断給付金100万円 |
| SBI新生銀行「ガン団信」 | 0.1% | 死亡・高度障害に加え、所定のがんと診断された場合に残高を保障 |
| ソニー銀行「3大疾病団信」/「生活習慣病団信」 | 0.2% | 3大疾病、または生活習慣病の長期入院に対応 |
| ソニー銀行「ワイド団信」 | 0.2% | 引受基準緩和型。完済時年齢は満81歳未満 |
| りそな銀行「団信革命」(加入時40歳未満) | 0.25% | 3大疾病+16の特定状態+所定の要介護状態で残高0円 |
| りそな銀行「団信革命」(加入時40歳以上) | 0.30% | 同上。借入時年齢が満50歳未満であることが条件 |
上乗せ金利は完済まで効き続けるコストです。一度きりの事務手数料とは性質が違うため、総費用で比較するときは、金利に足し込んで考えてください。
りそな銀行「団信革命」=保障範囲の広さで選ぶ
りそな銀行の「団信革命」は、3大疾病(所定のがん、急性心筋梗塞・脳卒中による所定の状態)に加えて、病気やケガによる16の特定状態、所定の要介護状態(要介護2以上を含む)に該当した場合に住宅ローン残高が0円になる特約付き団信です(引受保険会社=第一生命保険)。急性心筋梗塞・脳卒中は「診断日から60日以上所定の状態が継続」または「所定の手術を受けた」ことが要件で、要件を満たせば仕事に復帰しても残高は0円になります。
上乗せは店頭金利+年0.30%(加入時年齢40歳以上)/年0.25%(40歳未満)。借入時年齢が満50歳未満であること、がんに罹患したことがないことが加入条件です。返済の途中から加入することもできますが、その場合の上乗せは年0.4%(40歳以上)/年0.3%(40歳未満)と高くなります。
ソニー銀行=上乗せなしの「がん50%保障」から選べる
ソニー銀行は、上乗せ金利なしで「がん団信50」(がん診断確定で残高の50%を保障)を選べるのが特徴です。手厚くしたい場合は「がん団信100」(+0.1%/残高100%保障+診断給付金100万円)、「3大疾病団信」「生活習慣病団信」(各+0.2%)が用意されています。引受保険会社はクレディ・アグリコル生命保険。特約付き団信は加入時年齢が満50歳未満で、過去にがんに罹患したことがある場合は加入できません。また借入後に団信の種類を変更することはできないため、申込時の判断が重要です。
SBI新生銀行=上乗せなしの全疾病保障という選択肢
SBI新生銀行は、「ガン団信」(+0.1%)と「全疾病保障付団信」の2プランから選ぶ構成です(併用はできません)。全疾病保障付団信は、一般団信の保障に加えて、8疾病(特定疾病および重度慢性疾患)やその他の疾病・傷害で所定の就業不能状態が所定の期間続いた場合に住宅ローン残高を保障するもので、2026年3月に上乗せ金利なしで提供が始まったプランです。上乗せを増やさずに就業不能リスクへ備えたい人にとって、検討に値する選択肢といえます。
なお同行は一部繰上返済手数料0円、事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、諸費用の構成が把握しやすい設計です。
住信SBIネット銀行=「スゴ団信」の名称で保障を体系化
住信SBIネット銀行は、がんだけでなく3大疾病やすべての病気・ケガに備える「スゴ団信」を用意しています。プランごとに保障範囲と上乗せの有無が異なるため、最新の保障内容・上乗せ金利は同行の公式サイトでご確認ください。
【重要】終了した特約・サービスに注意
団信や付帯サービスは新規受付が終了することがあります。古い比較記事やまとめサイトの情報をそのまま信じると、すでに申し込めない商品を前提に検討してしまうため注意してください。2026年7月31日時点で、SBI新生銀行の公式サイトでは次の告知が出ています。
- 団体信用介護保障保険(安心保障付団信)=新規申し込み終了(2025年12月1日付お知らせ)。かつて「所定の要介護状態で残高が0円になる」として案内されていた特約です。
- 「自動繰上返済(スマート返済)」および「ステップダウン金利」=サービス終了(2025年11月14日付お知らせ)。ただし手動での一部繰上返済は現在も手数料無料で利用できます(「繰上返済ができなくなった」わけではありません)。
現在同行で選べる団信は、前述のガン団信と全疾病保障付団信の2プランです。ほかの金融機関でも同様に、特約の新設・終了・保障内容の改定は随時行われます。申し込む直前に必ず公式サイトで最新の取り扱いを確認してください。
団信を選ぶときの3つの視点
- 年齢の制限:特約付き団信は「加入時年齢が満50歳未満」といった条件が付くことが一般的です。年齢によっては選べる特約が限られます。
- 健康状態と告知:がんの既往があると特約付き団信に加入できない例が多く、健康上の理由で一般団信に加入できない場合は引受基準を緩和した「ワイド団信」(ソニー銀行では+0.2%、完済時年齢は満81歳未満)が選択肢になります。ただし審査があり、必ず加入できるとは限りません。
- 後から変えられるか:借入後の変更を認めていない金融機関がある一方、途中加入を受け付けている金融機関もあります。取り扱いは各行で異なるため、申込時点の判断がその後を左右すると考えて検討しましょう。
よくある質問
Q. 借りたあとで団信の特約を変更できますか?
A. 金融機関によって異なります。ソニー銀行は「お借入後の団信種類の変更はできません」と明示しています。一方、りそな銀行の団信革命のように返済途中からの加入を認めている例もありますが、その場合は上乗せ金利が高くなります。申込前に各行の公式サイトで確認してください。
Q. がんと診断されればいつでも保障されますか?
A. 多くの商品で「借入日(責任開始日)から90日以内に診断確定されたがんは対象外」といった免責期間が設けられています。また上皮内がんなどが対象外となる商品もあります。給付条件は保険会社の重要事項説明書で必ず確認してください。
Q. 医療保険やがん保険に入っていても、特約は必要ですか?
A. 保障の目的が重なることがあります。団信の特約は住宅ローン残高そのものを消すのに対し、医療保険は治療費や生活費を補うものです。すでに加入している保険の内容を確認し、重複するなら民間保険の見直しとあわせて総額で判断するとよいでしょう。判断に迷う場合は保険会社や専門家に相談してください。
Q. 上乗せ金利0.1%は、どのくらいの負担になりますか?
A. 借入額・返済期間・金利水準によって変わります。各金融機関が公式サイトで返済シミュレーションを公開しているので、特約を付けた場合と付けない場合の毎月の返済額を実際に試算して比べるのが確実です。
まとめ
団信は「おまけ」ではなく、住宅ローンの一部として比較すべき条件です。上乗せなしで選べるがん50%保障や全疾病保障から、年0.25〜0.30%で幅広いリスクをカバーする特定状態保障型まで、選択肢の幅は広がっています。金利・諸費用と同じ土俵に乗せて、「自分と家族にとって必要な保障はどれか」という基準で選んでください。
各行の団信の内容・上乗せ金利・加入条件は変更されることがあります。最新の情報は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

