住宅ローンの審査書類を確認するイメージ

住宅ローンは長期にわたって高額の資金を貸し出すため、さまざまな観点から審査が行われます。金融機関は審査の内容や落ちた理由を原則として公表しませんから、申し込む側は「どこを見られているのか」を事前に押さえておくことが、次の一手を考えるうえで重要になります。

手がかりになるのが、国土交通省が民間金融機関を対象に毎年実施している「民間住宅ローンの実態に関する調査」です。全国の銀行・信用金庫・信用組合・農協等に対して、自社の住宅ローンでどの項目を審査しているかを直接たずねた調査で、審査基準の全体傾向を知るうえで信頼性の高い資料といえます。ここでは最新の令和7年度調査(結果報告書は令和8年3月公表/令和8年6月5日訂正)をもとに、審査項目と実務上の注意点を整理します。

9割以上の金融機関が見ている審査項目

令和7年度調査では、次の項目について引き続き9割以上の機関が「融資を行う際の審査項目としている」と回答しています。

審査項目としている金融機関の割合を示す横棒グラフ
7項目はいずれも9割超の金融機関が審査項目としている
審査項目審査項目としている機関の割合何を見られているか
完済時年齢98.4%返済が終わる年齢。借入時の年齢と希望返済期間から決まる
借入時年齢96.2%申し込み時点の年齢
健康状態96.1%団体信用生命保険(団信)に加入できるか
年収94.2%返済原資の大きさ
勤続年数93.9%収入の安定性・継続性
担保評価91.0%対象物件にどれだけの担保価値があるか
返済負担率90.9%年収に占める年間返済額の割合(他の借入も含む)

※出典:国土交通省 住宅局「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(令和8年6月5日訂正版)

9割を超える項目は「ほぼすべての金融機関が必ず見る」と考えてよい項目です。逆にいえば、審査に通らなかった場合の原因は、この7項目のいずれかにある可能性が高いということになります。

主要項目ごとの実務上のポイント

完済時年齢・借入時年齢

審査項目としている機関の割合が最も高いのが完済時年齢です。多くの金融機関が完済時の上限を80歳前後に設定しており、借入期間を長くとりたい場合は申込時の年齢が制約になります。上限年齢や借入可能期間は金融機関ごとに差があるため、返済期間を長めに組みたい人は年齢条件から比較すると効率的です。

健康状態

民間の住宅ローンは団信への加入が融資条件になっているのが一般的で、健康状態はここに直結します。持病や通院歴があると一般団信に加入できず、結果として審査に通らないことがあります。

ただし、引受基準を緩和した「ワイド団信」を用意している金融機関もあります。たとえばソニー銀行は、ワイド団信に加入する場合、住宅ローン適用金利に年0.200%を上乗せし、完済時の年齢条件が満81歳未満になると公表しています(同行 住宅ローン商品詳細説明書・2026年5月11日最終更新)。ワイド団信も審査があり、加入できない場合がある点には注意してください。

勤続年数・雇用形態

勤続年数は93.9%の機関が審査項目としています。もっとも、「何年以上必要か」は金融機関によって異なり、明確な年数を設けていない金融機関もあります。転職して間もないことだけを理由に借入をあきらめる必要はなく、条件の異なる金融機関を探すという選択肢があります。

雇用形態についても、派遣社員・契約社員を対象外としている金融機関がある一方で、雇用形態を要件にしていない金融機関もあります。「自分の働き方では無理」と決めつける前に、申込条件を1行ずつ確認することが実務的な近道です。

年収・返済負担率

年収は94.2%、返済負担率は90.9%の機関が審査項目としています。返済負担率とは年収に占める年間返済額の割合で、住宅ローン以外の借入(自動車ローン・カードローン・奨学金・分割払い等)も合算して判定されるのが一般的です。年収の割に借入希望額が大きい場合はもちろん、他の借入が多い場合も影響します。

年収の下限も金融機関によって差があります。下限を明示していない金融機関もあれば、後述のように前年度の年収400万円以上を条件としている金融機関もあります。

担保評価

対象物件の担保価値も9割超の機関が審査します。とくに借り換えでは、残高に対して物件評価が下回る「担保割れ」が問題になることがあります。新築であっても評価額の算定によっては希望額の満額を借りられないケースがあるため、購入価格=借入可能額とは限らない点は押さえておきましょう。

申込条件は金融機関ごとに違う(公式に公表されている例)

審査基準そのものは公表されませんが、申込条件(利用できるかたの条件)は各行が公表しています。同じ住宅ローンでも条件が異なることがわかる例を挙げます。

金融機関年齢条件収入・勤続に関する条件
三菱UFJ銀行
(ずーっと一律優遇コース)
借入時18歳以上70歳の誕生日まで/完済時80歳の誕生日まで同一勤務先に満1年以上勤務し、同行で給与振込を利用中であること等
ソニー銀行
(住宅ローン)
申込時満20歳以上/借入時満65歳未満/完済時満85歳未満(ワイド団信は満81歳未満)前年度の年収(自営業は申告所得)が400万円以上
住信SBIネット銀行
(WEB申込コース)
借入時満18歳以上満65歳以下/最終返済時満80歳未満安定かつ継続した収入があること(年収・勤続年数の下限は明示なし)

※各行公式サイトで2026年8月2日に確認。条件は変更されることがあるため、申し込み前に必ず各金融機関の公式サイト・商品説明書でご確認ください。
※住信SBIネット銀行は2026年8月3日に「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更します(個人向けサービスブランドは「ドコモの銀行」)。同行の案内によれば口座番号や既存サービスは変わりませんが、他社の比較記事などでは社名表記が混在する時期があるためご注意ください。

このように、年齢の上限も、年収の下限も、勤続年数の扱いも金融機関によって違います。1行で否決されたからといって住宅ローン全体をあきらめるのは早計で、条件の異なる金融機関では結果が変わる可能性があります。

審査に通らなかったときに確認したいこと

確認する観点具体的にすること
申込条件そのもの年齢・年収・勤続年数・雇用形態など、公表されている条件を満たしていたかを再確認する
借入希望額返済負担率が高すぎないか。頭金を増やす、借入額を下げるなど条件を見直す
他の借入自動車ローン・カードローン・分割払いなどを整理・完済してから再度申し込む
健康状態一般団信が難しい場合、ワイド団信を扱う金融機関を検討する
物件の評価担保評価が理由と考えられる場合、物件や借入条件の見直しが必要になることもある

なお、短期間に多数の金融機関へ申し込むことが有利に働くとは限りません。申込情報は個人信用情報機関に登録されるため、条件の合いそうな金融機関を絞って申し込むほうが現実的です。

よくある質問

Q. 事前審査(仮審査)に通れば、本審査も必ず通りますか?
A. 通るとは限りません。事前審査は申告内容をもとにした簡易な判定で、本審査では収入証明・物件資料・団信の告知内容などを踏まえて改めて判断されます。事前審査通過後に否決されることもあります。

Q. 金融機関は審査に落ちた理由を教えてくれますか?
A. 原則として回答されません。だからこそ、公表されている申込条件と、上記のような一般的な審査項目から原因を推定し、次の申し込みに向けて条件を整えることになります。

Q. 事前審査が用意されていない金融機関もありますか?
A. あります。たとえばSBI新生銀行は原則として事前審査を行わず、本審査のみで完結する取り扱いです。手続きが一度で済む一方、申込時点で必要書類を一式そろえる必要があります。他行と併願する場合は、他行側の事前審査を先に済ませておくと進めやすくなります。

Q. 団信の告知は正確に書かないといけませんか?
A. 必ず正確に告知してください。事実と異なる告知は告知義務違反となり、万一のときに保険金が支払われずローンだけが残る可能性があります。健康状態に不安がある場合は、ワイド団信や団信加入が任意の商品を含めて検討するのが安全です。

まとめ

国土交通省の令和7年度調査によれば、完済時年齢・借入時年齢・健康状態・年収・勤続年数・担保評価・返済負担率は9割以上の金融機関が審査項目としています。まずはこの7項目で自分の状況を点検し、そのうえで「条件が自分に合う金融機関」を探すのが、遠回りに見えて確実な進め方です。

金利や諸費用と同じく、申込条件も金融機関ごとに差があります。金利だけで1行に絞り込まず、年齢・収入・団信の条件まで含めて比較してください。なお、金利や商品内容は変更されることがあるため、最新の情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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金融機関確認しておきたいポイント
イオン銀行申込条件・年齢の上限・付帯サービスの内容を公式サイトで確認
ソニー銀行前年度年収400万円以上が条件。ワイド団信は年0.200%上乗せで利用可
住信SBIネット銀行安定かつ継続した収入が条件。2026年8月3日にドコモSMTBネット銀行へ商号変更
auじぶん銀行申込条件・団信の保障範囲を公式サイトで確認

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