EU離脱はが勝利したイギリスの国民投票についてはこちらの記事で確認いただければと思いますが、各国の反応はどのようなものなのでしょうか?

 

まず、当事者であるイギリスのキャメロン首相(既に辞意を表明)は「イギリス国民は、EUからの離脱を選んだ。彼らの意志は、尊重されなければならない。この国を導く、新しいリーダーが必要だ」と発言しています。一方、離脱派のリーダーであるイギリス独立党のファラージ党首は「歴史的日だ。6月23日を独立記念日にしよう」と声高らかに勝利宣言をしています。また、そもそもイギリスからの独立を希望する声が強かったスコットランドでは、「スコットランドをイギリスから独立するか否かの国民投票の機運が高まっています。ちなみにスコットランドだけでみると「EU残留派」が過半を占めていましたので、然るべき反応といっても良いかもしれません。さらに「ロンドン」をイギリスから独立させようというインターネット署名運動の動きも始まっています。こちらもロンドンだけでみると「EU残留派」が過半を占めていたことがそのような動きにつながっているようです。

 

投票結果が極めて接戦になったため、惜敗した残留派の動きはこれから加速していくことも予想されます。ちなみに、年代別に「残留」「離脱」の投票割合を確認してみると非常に面白い結果となっています。

 

 18~24歳の残留派:75%(若者の大半はEUへの残留を希望)
 25~49歳の残留派:56%(これからのイギリスをリードする年代も残留を希望)
 50~64歳の残留派:44%
 65歳以上の残留派:39%

 

つまり、EUが結成されるかつての時代を知っている50歳以上の年代の人たちがEU離脱を決定したもので、これからのイギリスをリードしていく若者世代の意向ではなかったことがわかります。日本の大阪都構想でも同じようなことがありましたね。

 

次に、各国の反応はどのようなものだったのか確認してみましょう。

 

まず日本ですが、安倍首相が「イギリス国民投票の結果は、EU離脱となったようだ。日本はしっかりと対応していかなければならない。為替市場をはじめとした、金融市場を安定化させる必要がある。」とコメントしています。賛成・反対などには触れず、急激な円高とリーマンショック時に近いぐらいの株安となっている金融・為替市場の安定化の必要性を訴えるに留めています。

 

ロシアのプーチン大統領は「この投票は、イギリス国民の選択であり、われわれが、この過程に干渉したことはない。今も、これからもない」と述べるに留まっています。様子見ムードですね。

 

イギリスの親密国とも言えるアメリカのオバマ大統領は「イギリス国民の決断を尊重すること」「イギリスとEUは、どちらもアメリカの不可欠なパートナーであり続ける」を声明として発表しています。イギリスの国民投票と同じように注目を集めているアメリカの次期大統領候補の1人のドナルド・トランプ候補は、「 イギリスのEU離脱決定を歓迎すること」「自由で独立したイギリスとの関係強化を約束すること」を発表しています。トランプ氏は離脱擁護よりなコメントと言えるでしょう。

 

先ほども触れましたが、イギリスからの独立を兼ねてから希望しているスコットランド地域を代表する政党であるスコットランド国民党のスタージョン党首は、「スコットランド独立の是非を問う住民投票を、再び行う」「2度目のスコットランド独立住民投票は検討しなければならないし、検討している」旨を発言しています。

 

今回の国民投票の結果が「正解」だったのか「間違い」だったのかはまだ誰にもわかりませんが、「国民投票」と言う、いわゆる民主主義の原点とも言える方法の結果ですので、基本的にはその結果を擁護するコメントが多いのですが、見方を変えると、こうなってしまった以上、どうしようもないので粛々と対応していくしかない、という発言が目立っています。

 

さて、EUが最も恐れている他国への飛び火を防ぐべく、EUが一致団結して対応を進めていくという声明や、イギリスと速やかにEU離脱に向けた調整を進める旨の声明を出しています。少しでも早く沈静化したいとの思惑が見え隠れしています。

 

安倍総理・日銀は金融緩和を繰り返しながら、円安に誘導されるような政策を打ち出してきましたが、わずか1日でそれまでの成果が打ち消されてしまう程の円高になってしまいました。株価も同様です。わずか1日で10%近く株価が下がってしまいました。週明けすぐは、金融市場の値動きを注視するにとどまることが予想され、すぐに何らかの政策や方針が打ち出されることはないと思われますが、数日後に控える日銀政策決定会合など、もう一段の金融緩和の検討の必要性有無が議論されていくことでしょう。

 

 

これ以上のマイナス金利を実行するかは不明ですが、日本国内の金利が上昇することはもうしばらくありそうにないです。もちろん、日本経済が大打撃を受けて、雇用や所得が減少するようなことになれば本末転倒ですが、少なくとも住宅ローンの金利は変動金利から長期の固定金利まで幅広くさらなる低下圧力が生じるでしょうし、金利が上昇基調になる可能性をさらに打ち消す動きですので、住宅ローン検討中の人にとっては、今回のイギリスの国民投票の結果はプラスの出来事だったと言えるそんな側面はあると言えるでしょう。

 

まずは、東京からスタートする明日以降の世界中の金融市場でどのような動きが起こるのか。それにより、今後の世界経済や住宅ローン金利の見通しが少し予想できるようになるかもしれません。