イギリスのEU離脱が世界経済と住宅ローン金利に与える影響のイメージ

※本記事は、2016年に行われたイギリスのEU離脱(ブレグジット)をめぐる国民投票と、その後2016〜2017年当時の状況・市場の動きを記録した記事です。その後、イギリスは2020年1月にEUを正式に離脱しました。文中の金利・為替・株価などの数値や見通しは、いずれも当時のものです。最新の住宅ローン金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

<2017年4月18日更新>

イギリスのメイ首相が4月18日に、EUからの離脱について国民に信を問うため、議会を解散し6月8日に総選挙を実施すると発表しました。

野党がEU離脱のための取り組みに協力していないことを理由に挙げています。

解散には議会の2/3以上の賛成が必要となり、総選挙の実現の有無、そして総選挙の結果から目が離せません。

 

 

<2017年1月18日更新>

イギリス時間1月17日、イギリスのメイ首相はイギリスのEU離脱に関する方針を示しました。前日には強硬な形でのEU離脱を予想する動きがありましたが、結果的にはそうしたものではありませんでした。メイ首相は次のように述べています。

1.EU単一市場に残ることはできない

2.中途半端な形でEUのメンバーになるようなことはしない

3.EU域内からの移民を制限する

4.EUとの新しい関係を目指す

5.EUとの最終的な合意は上下両院の投票による承認を求める

6.イギリスは世界の国々と取引や貿易がしたい

イギリスは、独立した国家としての権限回復を目指しているようです。

この動き自体が世界経済やイギリス経済にどういった影響をもたらすかは、プラス要素・マイナス要因の双方が考えられ、判断は難しいところでしょう。

アメリカの大統領選挙でもみられたように、世界的に保護主義・保守主義が台頭しており、2017年に多く開かれるヨーロッパ域内での選挙で、さらにEU離脱派が勝利するようなことになると、EU崩壊を意識した世界的な動揺が発生し、世界的な株安・ユーロ安・円高が進むと思われます。

こうした動きは、結果的に世界経済はもちろん、日本経済にもマイナスの影響を与えるでしょう。

1月20日にはアメリカでトランプ氏が大統領に就任しました。同氏が掲げる経済政策は経済にプラスの影響を及ぼすとされていますが、一方で同氏が掲げる保護主義の動きが台頭すれば、世界的な経済不安が起きるかもしれません。

こうして考えると、世界的な長期金利の動向を現時点で予測するのは難しいところでしょう。ただし、日本では日銀が掲げるゼロ金利政策が長期金利を0%前後に維持することを目的としており、住宅ローン金利の上昇を抑えることは間違いありませんので、当面は住宅ローンの借入・借り換えに適した環境が続くと考えられます。

 

 

<2016年6月25日投稿>

現地時刻の23日(日本時刻で6月24日)に行われた、イギリスの欧州連合(EU)離脱・残留を決める国民投票で、離脱派が約1740万票・51.9%を占め、離脱を決断しました。

 

今回の国民投票の結果は世界のマーケットを震撼させ、日本においても大幅な株安はもちろん、急激に円高が進むなど、世界中の経済が大混乱する事態に陥りました。イギリス国内でも、EU残留を支持していたキャメロン首相が首相辞任を表明するなど、大混乱に陥りました。投票開始前から接戦であることは各種調査で判明していましたが、投票直前は残留派優勢の報道が増えていたため、EU離脱派の勝利は大きなサプライズとなり、マーケットの大混乱につながりました。

 

なぜ、イギリスでEU離脱の声が高まりを見せたのか?

 

イギリス国内でEU離脱の声が高まった理由はいくつかあります。その中でも大きな影響を与えたのが、イギリスへの移民流入の問題です。それ以外にも、ヨーロッパを束ねる巨大組織となったEUの官僚体制への不満、ギリシャ問題に代表されるユーロ圏経済の混乱と将来への不安の高まりなどが挙げられます。特に難民問題は、EU各国の足並みがそろわず適切な対処が行えないまま長期化していました。その結果、ロンドンにはEU各国からの移民・難民の流入が続き、移民問題に対する国民の不満が高まっていました。

 

さらにイギリス経済は長期にわたって低迷し、低賃金で働くワーキングプアの問題も長く指摘され、解決の糸口が見つかっていませんでした。同じEUの中でも、経済的に独り勝ちしているドイツとは大きな差が生じていました。

 

そうした状況が続き、イギリス国民の中でEUに対する苛立ち・ストレスが拡大するとともに、EUという大きな枠組みに頼らずとも、自国だけで自立して政治・経済を運営していけるという意識が高まり、今回のEU離脱派の勝利につながったと言われています。かつて世界を席巻した大国であるイギリスならではの国民性も、当然に影響していると言えるでしょう。

 

イギリスがEU離脱するとどうなる?

国民投票でEU離脱派が勝利した以上、基本的にはEU離脱に向けて必要な手続きが進んでいくことになります。1つのポイントはリスボン協定と呼ばれるEU内での約束です。簡単に言うと、EUから離脱することを正式にEUに対して通知した場合、2年以内に離脱の手続きを完了させなければならない、という約束です。この2年間のカウントダウンがいつからスタートするのかが、次の注目ポイントと言えます。

 

さて、イギリスがEUを離脱したら、イギリス・EU・世界にどのような影響があるのでしょうか?

 

まず、最も大きな影響は、イギリスがヨーロッパ地域における中枢でなくなることだと言われています。世界経済のマーケットは、ヨーロッパ(ロンドン)、アジア(上海(+東京))、アメリカ(ニューヨーク)の3つを中心として動いています。イギリス(ロンドン)は、EU離脱後はその中心の立場を維持できないであろう、ということですね。現在、ロンドンには世界中の金融機関がヨーロッパの拠点として進出しています。まさに金融大国イギリスの経済を下支えしているのは、そのような世界中の金融機関と言っても過言ではありません。

 

現在はイギリスを拠点としてEU各国でビジネスを展開できていますが、離脱後は同じようにはできなくなります。イギリスに拠点があるからといって、ドイツやフランスといったEU各国でビジネスを展開できなくなるわけです。そうなった場合、世界中の金融機関(金融機関以外の企業も同様です)がイギリスから撤退していく可能性があります。実際にそうなれば雇用が大きく減少し、イギリス国内の失業率は大幅に上昇していくと言われています。

 

EUに与える影響も計り知れません。一番大きな問題は「第2のイギリス」の登場と言えるでしょう。EUからの離脱の声が高まっているのはイギリスだけではありません。イタリア・ギリシャ・スペインといった国々でもEU離脱の声は拡大しています。今回のイギリスのEU離脱の決断は、そういった国々に飛び火していく危険性を大いに秘めています。イギリスの国民投票の結果判明後、即座にEU加盟各国が一致団結して問題の解決にあたると声明を出したことからも、他国への飛び火を恐れていることがうかがえます。

 

世界経済に与える影響は先ほども少し触れましたが、遠い日本にもその影響は波及しています。むしろ、短期的には日本のほうがイギリスよりも経済的ダメージを被るという意見も出始めていました。政治・経済双方の面で不透明になったイギリスの通貨ポンドを持ち続けたくないという投資家の「ポンド離れ」がポンド安につながるのは、当たり前と言えば当たり前でした。その間、米ドル/円も一時99円を割り込む水準まで円高が進み、日経平均株価も1,200円以上下落して、15,000円を下回る形で24日の取引を終えました。

 

まさに円高・株安です。円高は輸出に多大なマイナス影響を与えることが容易に想定できるため、株価も急激な下落に転じました。日本の通貨「円」は世界的に安全資産と見なされており、他の通貨が不透明な状態になると、「リスクオフ(投資家がリスクのある資産を売却し、安全資産に資産を移す動き)」が世界中で起こり、結果として急激に円高が進む——まさにいつもの展開です。前述のとおり、急激な円高は日本経済にとって明らかにマイナスに働きます。

 

日本の住宅ローンの金利に与える影響は?

では、そろそろ本題に入ります。いわゆる「リスクオフ」の動きは、単なる円高にとどまりません。急激な株安が示すとおり、「円建ての資産」の中でもより安全な商品に資金が流入することになります。安全な資産の代表と言えば、日本が発行する日本国債です。当然、今回のEU離脱は24日の日本の債券市場にも影響を与えました。以下は、ブルームバーグ社のホームページより引用した、6月24日時点での国債利回りです。

 

2016年6月24日時点の日本国債の利回り

長期金利(10年物日本国債の利回り)が再び▲0.18%まで低下していることがわかります。ここから先は当サイトでも頻繁にご説明しているとおり、長期金利の低下は基本的に住宅ローン金利の低下に直結します。つまり、住宅ローン金利に対してはプラスの影響(金利低下)が生じることになります。世界経済はしばらく混乱が続く可能性が高く、安全資産にお金が流入する動きもしばらく続くことが予想されました。つまり、そうそう簡単に長期金利・住宅ローン金利が上昇に転じる可能性は、より低くなったと言えます。

 

前述のとおり、今回の国民投票の結果は、EUに残留する以上にイギリス経済にマイナスの影響を与えるということです。それが、遠く日本の住宅ローン金利の低下につながります。来週以降に徐々に判明する2016年7月以降の住宅ローン金利は、さらに低下する可能性が高くなっている状況です。

 

最後に、ご参考として最新の住宅ローン金利(10年固定金利)をご紹介します。

10年固定金利比較表/

No銀行名10年固定金利特徴やメリット
1SBI新生銀行3.030%※1保証料無料。10年経過以降の金利も魅力。
2ソニー銀行(固定セレクト)
年3.413%金利の低さに力を入れた固定セレクト住宅ローンに注目!
※2023年11月1日からのお借り入れ分について、新規購入での物件の購入価格を超えてお借り入れの場合は、金利が年0.05%上乗せになります
3イオン銀行年3.520%イオンなどでの買い物がいつでも5%オフになるサービスは他行では決してまねできない。
※この表の金利は定期的に更新されるため、記事本文と更新タイミングが異なる場合があります。

※1 自己資金10%以上の場合
※2 物件価格の80%以下で住宅ローンをお借入れの場合。審査結果によっては金利に年0.1%~年0.30%上乗せとなる場合があります、借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。