
2015年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川の堤防が決壊し、床上浸水・床下浸水や住宅の倒壊など甚大な被害が発生しました。住宅ローンをまだ返済しきれていない、比較的新しいマイホームも数多く被害に遭ったとみられます。
その後も日本各地で記録的な豪雨や台風による水害は毎年のように発生しており、「大雨からマイホームをどう守るか」は、これから住宅を購入する人にとっても他人事ではありません。本記事では、水害への備えとして知っておきたい火災保険の水災補償と、万一被災したときの住宅ローンの救済制度を整理します。
水害に備える保険は「火災保険の水災補償」
一般的に、契約者本人の万一(死亡・高度障害など)は住宅ローンの団体信用生命保険(団信)や疾病保障でカバーされますが、住宅そのものの損害をカバーするのは火災保険です。
注意したいのは、保険の種類によってカバーされる災害が異なることです。地震・噴火・津波による損害は地震保険の領域ですが、大雨・洪水・土砂崩れなどによる損害は「火災保険の水災補償」の領域です。東日本大震災以降、地震保険は慎重に選ぶ人が増えた一方、自分の火災保険が水害に対応しているかはあまり気にしていない人も少なくありません。
| 備えたいリスク | 対応する仕組み | 備考 |
|---|---|---|
| 契約者の死亡・高度障害 | 団体信用生命保険(団信) | 住宅ローンに付帯。疾病保障付きも |
| 火災・風災など | 火災保険 | 補償範囲はプランによる |
| 大雨・洪水・土砂災害 | 火災保険の水災補償 | プランにより付帯の有無を選択 |
| 地震・噴火・津波 | 地震保険 | 火災保険とセットで加入 |
| 被災してローン返済が困難に | 自然災害債務整理ガイドライン | 減額・免除の可能性(下記参照) |
2024年10月から水災の保険料は「地域別」になった
水災補償をめぐっては大きな制度変更がありました。損害保険料率算出機構が2023年6月に火災保険の参考純率を改定し、従来は全国一律だった水災の料率が、市区町村別の水災リスクに応じて「1等地〜5等地」の5区分に細分化されたのです。これを受けて2024年10月以降、多くの損害保険会社が水災料率を地域別に改定しました。参考純率ベースでは、保険料が最も安い地域と最も高い地域の差は約1.2倍とされています。
つまり、水害リスクの高い場所に住むほど水災補償の保険料も高くなる時代になりました。まずは国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」などで自宅・購入予定地の洪水・土砂災害リスクを確認し、リスクに応じて水災補償の要否を検討しましょう。
火災保険を選ぶときのポイント
火災保険は種類やプランによってカバー範囲が異なります。選ぶ際のポイントは次のとおりです。
1)水災補償の有無をプランで確認する
多くの火災保険では、水災補償を付けるか外すかをプランで選べます。ハザードマップで水害リスクが高いエリアなら水災補償付きを基本に、高台の住宅などリスクが低い場合は外して保険料を節約する選択肢もあります。ただし、内水氾濫(排水能力を超えた浸水)や土砂災害は思わぬ場所でも起こり得るため、外す場合はリスクをよく確認しましょう。
2)住宅ローンを借りる金融機関の団体扱い保険もチェック
火災保険は住宅ローンを借り入れる金融機関経由で案内されるケースが多く、団体扱いで保険料が割安になる場合があります。例えば、当サイトでも人気の住信SBIネット銀行のようなネット銀行でも火災保険の案内があります。ただし、取扱保険会社やプラン内容は変わることがあるため、最新の取扱状況・補償内容は各金融機関・保険会社の公式サイトでご確認ください。
被災して返済が困難になったら「自然災害債務整理ガイドライン」
万一、水害などで自宅が大きな被害を受け、住宅ローンの返済が困難になった場合に知っておきたいのが「自然災害債務整理ガイドライン」(自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン)です。2015年12月に取りまとめられ、2016年4月から適用が開始された民間の自主的ルールで、災害救助法が適用された自然災害の被災者(個人)が対象です。
このガイドラインを利用すると、破産などの法的手続きによらず、金融機関との話し合いにより住宅ローン等の減額や免除を受けられる可能性があります。財産の一部を手元に残せる、債務整理をしたことが個人信用情報に登録されない、弁護士等の「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けられる、といった特徴があります。詳しくは全国銀行協会やガイドライン運営機関の公式情報をご確認ください。
マイホームは人生で最も大きな買い物の一つです。住宅ローンの金利や諸費用の比較とあわせて、水害への備え=火災保険の中身までセットで検討することが、安心して住み続けるためのポイントです。
