
楽天銀行の住宅ローンには、失業や入院で働けない期間の毎月の返済を肩代わりする「失業保障・入院保障特約」を任意で付けられます。特約料は借入金額100万円あたり年800円で、失業・入院それぞれ1回につき最長6ヶ月、返済期間を通算して最長36ヶ月分まで返済相当額が保障されます(2026年9月時点・公式サイトにて確認)。
雇用保険の対象外となる会社経営者・役員や自営業者も加入できる点が、この特約のいちばんの特徴です。以下、保障内容・特約料・加入前に確認したい条件の順に整理します。
①保障内容
失業保障について
非自発的に失業した場合、再就職までの間、1回につき最長6ヶ月間の住宅ローン返済相当額が保障されます。支払いは住宅ローン返済期間を通算して最長36ヶ月分までが限度です。
保障の対象となる「非自発的失業」とは、勤務先の倒産・廃業、会社事由による解雇、一時的な希望退職の募集、退職勧奨などによる失業を指します。自己都合での退職(失業)は保障の対象外です。
この特約の大きな特徴は、雇用保険に加入していない会社経営者・役員や自営業者の方も保障の対象になる点です。
通常、雇用保険の失業給付は被雇用者でなければ受けられません。収入が途絶えたときの公的な受け皿が薄い自営業者・会社役員にとって、返済相当額を補える選択肢があることの意味は小さくありません。

入院保障について
病気やケガで入院し、入院が続いたまま返済日が到来した場合、入院中の返済相当額が1回につき最長6ヶ月分保障されます。こちらも返済期間を通算して最長36ヶ月分までが限度です。
失業保障と入院保障は別々の保険として扱われ、通算36ヶ月の上限もそれぞれに設定されています。片方の支払いが上限に達しても、もう一方の保障は継続します。
なお、入院が終了した日の翌日から180日以内の再入院は「同一の入院」として扱われ、保険金の支払いが制限される場合があります。短期間で入退院を繰り返すケースでは、6ヶ月の枠が積み増されるわけではない点に注意してください。

②特約料と保障される金額は?
特約料は借入金額100万円あたり年間800円です。100万円単位で計算し、端数は切り上げられます。楽天銀行の公式説明でも、2,000万円の借入なら年16,000円、2,020万円なら21単位分の年16,800円と示されています。
| 借入金額 | 年間の特約料 | 月あたりの目安 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 8,000円 | 約670円 |
| 2,000万円 | 16,000円 | 約1,330円 |
| 3,000万円 | 24,000円 | 約2,000円 |
| 4,000万円 | 32,000円 | 約2,670円 |
| 5,000万円 | 40,000円 | 約3,330円 |
支払われる保険金の額は、該当月のローン契約の予定返済額です(ボーナス返済月はその返済額と月々の返済額)。実際に払っている返済額が基準になるため、返済額が大きい人ほど受け取る金額も大きくなります。
たとえば月々の返済額が10万円なら、失業保障で最大360万円、入院保障で最大360万円が上限の目安です(3,000万円を35年・フラット35で借り入れた場合の月々の返済額は85,808円ほど。金利水準により変動します)。
いざ働けない状態になったとき、住宅ローンの月々の支払いは家計にとって大きな負担です。月2,000円前後の特約料で返済そのものを止められる点をどう評価するかが、加入を判断する軸になります。

③加入前に確認しておきたい5つの条件
保障内容と特約料だけを見て判断すると見落としやすい条件があります。公式の商品概要で明記されている主なものは次の5点です。
- 保障開始まで3ヶ月の待機期間がある…保障はローン実行日から3ヶ月を経過した日の翌日から。この期間中に始まった失業・入院は支払対象外です。
- 満80歳で保障が終了する…被保険者が満年齢80歳に到達した時点で保障は終わります。
- 加入できるのは主債務者のみ…被保険者になれるのは主債務者だけで、連帯債務者やペアローンの相手方は対象外です。
- つなぎローンは対象外…特約を付けられるのは住宅ローン(金利選択型)・フラット35・フラット35S・「固定と変動」です。
- 「固定と変動」は2本立てで申込が必要…フラット35用分と変動金利分で、それぞれ申し込む必要があります。
加入は住宅ローンの申込手続きの中で行います。返済が始まってから途中で付け足すことはできないため、申込時点で入るかどうかを決めておく必要があります。
特約の内容まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 失業保障 | 非自発的失業時、1回最長6ヶ月・通算最長36ヶ月分の返済相当額 |
| 入院保障 | 入院時、1回最長6ヶ月・通算最長36ヶ月分の返済相当額 |
| 特約料 | 借入金額100万円あたり年間800円(100万円単位・端数切り上げ) |
| 保険金の額 | 該当月のローン予定返済額(年間支払額は2,400万円が上限) |
| 保障開始 | ローン実行日から3ヶ月を経過した日の翌日(待機期間3ヶ月) |
| 加入できる人 | 主債務者のみ。会社経営者・役員・自営業者も対象 |
| 対象の住宅ローン | 住宅ローン(金利選択型)/フラット35/フラット35S/「固定と変動」(つなぎローンは対象外) |
| 保障の終了 | 死亡時、満80歳到達時、債務が消滅した時など |
| 引受保険会社 | カーディフ損害保険株式会社 |
付帯保険名称:失業信用費用保険/入院時のみ保障特約付帯就業不能信用費用保険 ※引受保険会社:カーディフ損害保険株式会社(出典:楽天銀行 公式「失業保障・入院保障特約」・2026年9月確認)
団信との違いと、保障の組み立て方
団体信用生命保険(団信)は、死亡・所定の高度障害状態など「返済を続けられなくなった状態」でローン残高そのものを消す仕組みです。一方この特約は、失業や入院という「一時的に働けない期間」の毎月の返済を肩代わりするもので、守る対象が違います。
楽天銀行では団信のラインアップも用意されており、がん保障特約・全疾病特約付の団信などから選べます(各種保険商品一覧|楽天銀行)。団信で「もしも」に備え、特約で「一時的に働けない期間」を埋める、という二層の考え方が整理しやすいでしょう。
保障の厚みを団信側で確保したい場合は、他行の疾病保障付き団信も比較対象になります。金利上乗せの有無で総負担が変わるため、住宅ローンの疾病保障付き団信を銀行別に比較したページもあわせて確認してください。たとえばSBI新生銀行は金利上乗せなしの全疾病保障付団信を用意しており、保障を厚くしても金利負担が増えない選び方ができます。
また、失業・入院の備えは「特約料」という形の費用です。住宅ローンの保証料の考え方と同じく、金利だけでなく諸費用まで含めて横並びで見るのが比較のコツです。
よくある質問(FAQ)
Q. 借りてすぐに失業した場合も保障されますか?
A. 対象外です。保障が始まるのはローン実行日から3ヶ月を経過した日の翌日で、この3ヶ月は待機期間にあたります。待機期間中に始まった失業・入院は保険金の支払対象になりません。
Q. 自己都合で退職した場合も保障されますか?
A. いいえ。対象は倒産・廃業・会社事由による解雇・退職勧奨などの「非自発的失業」に限られ、自己都合退職は対象外です。転職を前提にした退職も同様に対象になりません。
Q. 特約料は借入3,000万円ならいくらですか?
A. 年24,000円です(100万円あたり年800円×30単位)。月あたり約2,000円で、失業保障と入院保障の両方が付きます。借入額の端数は100万円単位で切り上げて計算されます。
Q. 夫婦で借りる場合、二人とも保障されますか?
A. いいえ。被保険者になれるのは主債務者のみです。連帯債務者やペアローンの相手方は保障の対象外となるため、収入合算で借りる世帯は「どちらの収入が止まったときに困るか」で判断してください。
Q. 団体信用生命保険とは別のものですか?
A. 別です。団信は死亡・所定の高度障害状態などでローン残高そのものを保障するもの、本特約は失業・入院で働けない期間の毎月の返済を補うものです。役割が異なるため、併用すると備えが手厚くなります。
最後に
住宅ローンは長期にわたる大きな負担です。万一の失業や入院で収入が途絶えたときに、毎月の返済をカバーしてくれる仕組みがあるかどうかで、家計の耐久力は大きく変わります。
とくに雇用保険の対象外となる自営業者・会社役員にも備えの選択肢がある点は、楽天銀行の失業保障・入院保障特約ならではの特徴です。3ヶ月の待機期間や主債務者のみという条件を踏まえたうえで、必要な保障と特約料のバランスを見て判断してください。
※本記事の内容は2026年9月時点の公式情報にもとづくものです。取扱条件は変わることがあるため、加入の可否・特約料・保障内容の詳細は楽天銀行の公式サイトおよび「被保険者のしおり」でご確認ください。

