(2026年8月5日 各行の団信ラインアップ・上乗せ金利を全面更新)

疾病保障は「無料でどこまで付くか」と「いくら払えばどこまで広がるか」で見る

住宅ローンの団体信用生命保険(団信)は、この10年で大きく形が変わりました。かつては疾病保障といえば金利に上乗せして買うものでしたが、現在は就業不能をカバーする保障を上乗せ0円で標準装備する銀行が増えています。そのぶん、有料の特約は「無料の保障では届かない領域」を埋める役割に変わりました。

そこで本ページでは、イオン銀行・りそな銀行・ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)の3行について、①上乗せ0円で付く保障 ②上乗せして買える保障とその金利 ③支払われる条件を横並びに整理します。

 

前提として、2026年8月時点では次の3点が以前と変わっています。

  • 住信SBIネット銀行は2026年8月3日付で「株式会社ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更し、個人向けブランドは「ドコモの銀行」になりました(金融機関コード・支店番号・口座番号に変更はありません)。以降は「ドコモの銀行」と表記します。
  • イオン銀行は全疾病団信を上乗せ0円で提供しています。有料なのは、がん保障付・8疾病保障プラス付・ワイド団信です。
  • ドコモの銀行の「スゴ団信」は、3大疾病50プランを上乗せ0円で付けられる対象年齢が、2024年8月1日から満40歳未満→満50歳以下へ拡大されています。


上乗せ金利の一覧(2026年8月時点)

銀行上乗せ0円で付く保障上乗せして買える保障
イオン銀行 全疾病団信(就業不能の保障) がん保障付=年0.10%
8疾病保障プラス付=年0.30%
ワイド団信=年0.30%
りそな銀行 一般団信(死亡・高度障害) がん保障特約/3大疾病保障特約=年0.25%(加入時40歳以上)・年0.20%(同40歳未満)/団信革命(特定状態保障特約)
ドコモの銀行
(旧・住信SBIネット銀行)
全疾病保障(全プランに基本付帯)+3大疾病50プラン(借入時満50歳以下)+先進医療特約 3大疾病100プラン(上乗せ金利型)/ワイド団信=年0.30%

※上乗せ金利・加入条件は各行が改定することがあります。最新の内容と正確な適用条件は必ず各行の公式サイトでご確認ください。りそな銀行の特約付団信は借入時年齢が満50歳未満の方が対象、ドコモの銀行の3大疾病50プランは借入時満50歳以下、イオン銀行の各保障にもそれぞれ年齢条件があります。

上乗せ0.10%〜0.30%は、35年でいくらになるのか

「たった0.1%」に見えても、住宅ローンは元本が大きく期間も長いため、負担は無視できません。4,000万円・35年・元利均等返済で、上乗せがない場合(年1.040%)と比べた金額は次のとおりです。

上乗せ金利ごとの35年間の返済増加額を示した棒グラフ
基準を年1.040%、元利均等・ボーナス返済なし・全期間で金利が変わらない前提とした概算。
上乗せ金利毎月の増加額35年間の増加額(総返済額ベース)
年0.10%(例:イオン銀行 がん保障付)約1,900円約79万円
年0.20%(例:りそな銀行 3大疾病・40歳未満)約3,800円約159万円
年0.25%(例:りそな銀行 3大疾病・40歳以上)約4,700円約199万円
年0.30%(例:イオン銀行 8疾病保障プラス付)約5,700円約239万円

当社試算。借入4,000万円・35年・元利均等返済・ボーナス返済なし、基準を年1.040%として全期間金利が変わらない前提で計算した概算です。実際の金利・返済額は各行の公式シミュレーションでご確認ください。

つまり、有料の疾病保障は「35年で80万〜240万円の保険料を、金利という形で分割払いする」のと同じです。同等の保障を医療保険・就業不能保険で手当てした場合の保険料と比べ、どちらが自分の家計に合うかという判断になります。

混同しやすい「無料の全疾病保障」と「有料の3大疾病保障」の違い

名前が似ているため誤解されやすいのですが、両者は保険金が支払われる引き金がまったく違います

  • 無料の全疾病保障=「働けなくなったこと」が引き金。病名を問わず幅広くカバーする代わりに、残高が0円になるまでには一定期間の就業不能の継続が必要です。
  • 有料の3大疾病・がん保障=「診断・所定の状態」が引き金。対象の病気は絞られますが、仕事を続けられていても条件を満たせば残高が0円になります。

言い換えると、「治療しながら働ける人」を救うのは有料の特約、「働けなくなった人」を救うのが無料の全疾病保障です。どちらが必要かは、家計が収入減にどれだけ耐えられるか、貯蓄や他の保険がどれだけあるかで変わります。

3行の保障内容を詳しく比較

    イオン銀行 ドコモの銀行
(旧・住信SBIネット銀行)
りそな銀行
    8疾病保障プラス付住宅ローン(年0.30%上乗せ) スゴ団信 3大疾病50プラン(借入時満50歳以下は上乗せ0円) 3大疾病保障特約付住宅ローン(年0.25%/0.20%上乗せ)
保障(責任)の開始 がん 保険加入日の91日目から 責任開始日から3ヵ月経過後(3ヵ月以内の診断確定は対象外) 加入日の91日目から
脳卒中・急性心筋梗塞 3ヵ月 住宅ローン実行日(3大疾病保障特約) 加入日
がんに対する保障 月々の返済に対する保障 所定のがんと診断確定された場合、その時点の住宅ローン残高が0円。所定の上皮内がん・皮膚がんは一時金30万円(保険期間中1回) 就業不能状態が継続した場合、最長12ヵ月分の返済相当額を保障 所定のがんと診断確定された場合、その時点の住宅ローン残高が0円
住宅ローン残高に対する保障 所定の悪性新生物と診断確定された場合、残高の50%に保険金が充当(3大疾病100プランなら全額)。就業不能が12ヵ月継続した場合は残高全額
脳卒中・急性心筋梗塞に対する保障 月々の返済に対する保障 就業不能状態が継続した場合、月々の返済を保障(8疾病団信の保障範囲) 就業不能状態が継続した場合、最長12ヵ月分の返済相当額を保障 なし
住宅ローン残高に対する保障 所定の状態が継続した場合、住宅ローン残高が0円 60日以上所定の状態が継続、または所定の手術を受けた場合、残高の50%に保険金が充当(3大疾病100プランなら全額) 所定の状態に該当した場合、住宅ローン残高が0円
高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・
肝硬変・慢性膵炎に対する保障
月々の返済に対する保障 就業不能状態が継続した場合、月々の返済を保障 就業不能状態が継続した場合、最長12ヵ月分の返済相当額を保障 なし(団信革命では病気・ケガによる所定の状態と要介護状態を保障)
住宅ローン残高に対する保障 所定の就業不能状態が継続した場合、住宅ローン残高が0円 就業不能が12ヵ月継続した場合、住宅ローン残高が0円 なし(同上)
8疾病以外の病気・ケガ   全疾病団信(上乗せ0円)で、所定の就業不能状態が返済日において15日を超えて継続したときに毎月の返済額を保障。1年を超えて継続したときは残高が0円 就業不能が3ヵ月を超えて継続したとき最長21ヵ月分の返済を保障。24ヵ月継続で残高が0円(12ヵ月継続時は見舞金30万円)。医師の指示による自宅療養も対象 なし(団信革命では病気・ケガによる16の状態・所定の要介護状態を保障)
そのほかの特徴   8疾病保障プラスには非自発的失業への補償が付帯。オプションで居住不能信用費用保険(年0.05%の追加上乗せ)も選べる 先進医療特約(通算1,000万円まで)が付帯。ワイド団信(年0.30%)を選ぶと3大疾病保障特約・全疾病保障・先進医療特約は付帯されない より広い「団信革命(特定状態保障特約)」を別途用意。ペアローン専用の団信もある

※保障内容・支払条件は要約です。免責期間や「所定の状態」の定義は各行・引受保険会社の「被保険者のしおり」等で必ずご確認ください。

読み解きのポイント

1つめは、がんの扱いです。イオン銀行(がん保障付・8疾病保障プラス付)とりそな銀行(がん保障特約・3大疾病保障特約)は診断確定で残高が0円になります。一方、ドコモの銀行の3大疾病50プランは診断確定で残高の50%で、全額を求めるなら上乗せ金利型の3大疾病100プランになります。「診断で全額」を上乗せ0円で得ることはできないと考えておくとよいでしょう。

2つめは、8疾病以外の病気・ケガです。りそな銀行の3大疾病保障特約はここが対象外で、カバーしたい場合は団信革命(特定状態保障特約)を選ぶ設計になっています。イオン銀行は上乗せ0円の全疾病団信が、ドコモの銀行はスゴ団信の全疾病保障がこの領域を担います。うつ病などの精神障害は各行とも保障の対象外である点は共通です。

3つめは、年齢条件です。りそな銀行の特約付団信は借入時満50歳未満、ドコモの銀行の3大疾病50プランの上乗せ0円は借入時満50歳以下が対象です。50歳前後で条件が大きく変わるため、この年代で借りる方は金利差より保障差のほうが効いてくることがあります。

結局どう選べばよいか

考え方向いている選択理由
保険料は払わず、働けなくなるリスクだけ抑えたい上乗せ0円の全疾病保障を持つ銀行イオン銀行の全疾病団信、ドコモの銀行のスゴ団信はいずれも上乗せ0円
がん家系で、診断された時点の安心が欲しい診断確定で残高0円になる特約イオン銀行 がん保障付(年0.10%)が上乗せ幅を抑えやすい
治療しながら働くケースまで含めて広く備えたいりそな銀行 団信革命、ドコモの銀行 3大疾病100プラン等就業不能の継続を待たずに残高0円となる条件が広い
失業や災害まで含めて手当てしたいイオン銀行 8疾病保障プラス付非自発的失業への補償が付帯し、居住不能信用費用保険も追加できる

 

なお、SBI新生銀行も上乗せ0円の全疾病保障付団信を用意しており(診断確定で全額を求める場合は年0.1%上乗せのガン団信)、保証料0円・一部繰上返済手数料0円と諸費用の分かりやすさを合わせて比較する価値があります。かつて選べた介護保障付きの「安心保障付団信」は新規の取り扱いを終了しているため、古い記事の情報のまま検討しないよう注意してください。

よくある質問

Q. 団信は契約したあとで種類を変更できますか?
A. 原則としてできません。金利タイプは借り換えなどで見直せますが、団信の保障内容は契約時に決まります。上乗せの要否は、加入時点で判断する必要があります。

Q. 医療保険に入っていれば、有料の疾病保障は不要ですか?
A. 役割が違います。医療保険は治療費や入院費を、団信の疾病保障は住宅ローンの返済そのものを対象とします。ただし上乗せ0.30%=35年で約239万円(4,000万円・35年の当社試算)ですので、同じ保障を就業不能保険で用意した場合の保険料と比べて選ぶのが合理的です。

Q. 「無料の全疾病保障があるから安心」と考えてよいですか?
A. 残高が0円になるまでには一定期間の就業不能の継続が必要です(イオン銀行は1年超、ドコモの銀行は8疾病12ヵ月・それ以外24ヵ月)。その期間の生活費は保障の対象外ですので、貯蓄や他の保険で別途備える発想が要ります。

Q. 上乗せ金利は住宅ローン控除に影響しますか?
A. 住宅ローン控除は年末残高に対して計算されるため、上乗せ金利そのものが控除額を直接左右するわけではありません。ただし返済額は増えます。適用要件・控除額は国税庁の情報でご確認ください。

 

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