本サイトでも何度も取り上げていますが、銀行の住宅ローンを巡り、金利やサービスの競争が過熱しています。低金利を売りにネット銀行など新規参入銀行がシェアを伸ばす中、来店での契約が中心だった大手銀行も対応を進めています。ただ、過当競争の結果、銀行の収益力の低下を懸念する声もあり、金融庁が各行への点検を開始したと言われています。

大手銀行のみずほ銀行は、審査や契約の手続きをインターネットや書類郵送で済ませ、来店せずに優遇金利で新規借入ができるネット申込の住宅ローンの取扱いを検討しているそうです。

大手銀が扱う通常の住宅ローンは、顧客の信用力を見極めるとともに、きめ細かく相談に応じるため、申し込みや審査、契約などのために店舗を数回訪れる必要があります。大手銀行の三菱UFJ銀行、三井住友銀行は来店なしで借り入れできる商品を提供していますが、金利は来店した場合と同じ設定です。

一方、みずほ銀行は、来店不要なら人件費などを抑えられるため、来店した場合よりも低い金利を適用し、顧客満足度を高めることを優先したと思われます。尚、他行からの借換えについては今月16日、来店不要で金利を低くするプランを始めています。

みずほ銀行が住宅ローンで今までにない積極的な取組みを進めるのは、低金利のネット銀行をはじめとする新規参入銀行に対抗するためと思われます。

ネット銀行は店舗を持たず低コストで運営できるため、金利を抑えられます。住宅ローン金利は歴史的な低水準にあり、変動型金利の場合、大手銀行の年0.775%に対し、ネット銀行は0.5%台のケースもあり、中でもネット銀行で人気の高い住信SBIネット銀行は、2014年10月に住宅ローン残高が2兆円を突破、2年半で残高を倍増させています。また店舗網を持ちながら独自の調達/運用を築いているイオン銀行も急速に残高を伸ばし1兆円に迫る勢いです。銀行最大手の三菱UFJ銀行の残高は約16兆円に上るが、近年は横ばいで増えていません。

このほか、三菱UFJ銀行は、契約者の女性が妊娠・出産すれば、金利を1年間、0.2%引き下げるサービスを提供。三井住友信託銀行は家電製品や引っ越しに使えるクーポンを発行するなどしています。

一方、流通系のイオン銀行はグループ各店での買い物が5%割引になるなど、生活支援型のサービスを提供しています。

各銀行、独自色を出すためにあの手この手でアピールした競争は、我々消費者にとっては良い面が多いと言えるでしょう。