
住宅ローンは、返済が終わるまで数十年つきあうことになる金融商品です。人生でいちばん大きな借入れをする相手として、その金融機関の経営基盤が安定しているかどうかは気になるところでしょう。判断材料の一つになるのが格付け(信用格付)です。
格付けは、第三者である格付会社が発行体の債務履行能力を評価したもので、金融機関を横並びで見るときの目安になります。この記事では、当サイトで紹介している主要な金融機関について、日本格付研究所(JCR)が2026年8月10日時点で公表している長期・短期の格付を一覧で整理します。
主要7行の格付け一覧(JCR・2026年8月10日時点)
| 金融機関 | 長期(発行体格付/見通し) | 短期 |
|---|---|---|
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | AA+/安定的 | - |
| みずほ銀行 | AA/安定的 | - |
| りそな銀行 | AA/安定的 | - |
| SBI新生銀行 | A/ポジティブ | J-1 |
| イオン銀行※ | A/安定的 | J-1 |
| 楽天銀行 | A-/安定的 | J-1 |
| ソニー銀行 | 格付なし(2023年8月に長期発行体格付を撤回) | - |
※イオン銀行の親会社であるイオンフィナンシャルサービス株式会社の格付です。
※日本格付研究所(JCR)の金融法人 格付一覧を2026年8月10日に確認したものです。格付は随時見直されるため、最新の内容は必ずJCRの公式サイトでご確認ください。
2017年時点からの主な変化
この記事はもともと2017年5月時点の格付をまとめたものでしたが、9年の間に顔ぶれは大きく入れ替わりました。ネット銀行の資本構成の変化や、公的資金の返済といった出来事が格付に反映されています。
| 金融機関 | 2017年5月時点 | 2026年8月時点 |
|---|---|---|
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | A/安定的 | AA+/安定的(大幅な格上げ) |
| SBI新生銀行 | BBB+/ポジティブ、J-2 | A/ポジティブ、J-1(複数段階の格上げ) |
| りそな銀行 | A+/ポジティブ | AA/安定的(格上げ) |
| みずほ銀行 | AA/安定的 | AA/安定的(変化なし) |
| イオンフィナンシャルサービス | A/安定的、J-1 | A/安定的、J-1(変化なし) |
| 楽天銀行 | A/安定的、J-1 | A-/安定的、J-1(格下げ後に見通しが改善) |
| ソニー銀行 | AA-/安定的 | 格付なし(撤回) |
格付が最も高いのは「ドコモの銀行」
かつて住信SBIネット銀行だったドコモの銀行(正式商号:ドコモSMTBネット銀行)は、2026年1月16日にJCRからAA+/安定的へ格上げされました(それ以前はモニター指定を経て「#A/ポジティブ」)。同行はNTTドコモと三井住友信託銀行の共同経営体制となり、2026年8月3日付で「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更しています(個人向けサービスブランドは「ドコモの銀行」。金融機関コード・支店番号・口座番号に変更はありません)。JCRの発行体名も新商号に更新されています。この一覧のなかでは現在もっとも高い格付です。
SBI新生銀行は複数段階の格上げ
2017年当時はBBB+で、この一覧のなかでは見劣りしていたSBI新生銀行ですが、2023年7月にA-からAへ格上げされ、さらに2026年1月29日には見通しが「安定的」から「ポジティブ」へ変更されています。JCRは2025年6月に「SBI新生銀行の公的資金が完済へ-格付への影響なし」とするリリースも公表しています。9年前の評価をそのまま引きずって判断すると実態を見誤る、典型的な例といえます。
ソニー銀行は「格付なし」になっている
ソニー銀行はJCRから2023年3月にAA-からAAへ格上げされましたが、2023年8月31日に長期発行体格付が撤回され、現在JCRの長期・短期の格付は付与されていません。格付が無いことは、そのまま「信用力が低い」という意味ではありません。ただし他行と同じ土俵で数値的に比べることはできなくなるため、この一覧では「格付なし」として扱っています。ソニー銀行を検討する場合は、格付以外の情報(財務諸表やディスクロージャー資料など)で判断することになります。
楽天銀行は格下げを経て見通しが改善
楽天銀行は2023年6月にA からA-へ格下げされ、その後しばらく見通しが「ネガティブ」でしたが、2025年9月26日に見通しがネガティブから安定的へ変更されています。JCRは2026年5月にも「楽天銀行と楽天グループがフィンテック事業を再編-格付に影響なし」とするリリースを公表しています。
格付けの記号はどう読むか
JCRの長期格付は、上からAAA、AA、A、BBB、BB……の順で並び、AAからBまでの区分には上位・下位を示す「+」「-」が付きます。つまりAA+はAAより1段階上、A-はAより1段階下ということです。短期格付は「J-1+」「J-1」「J-2」……のように表されます。
格付記号のあとに付く見通し(アウトルック)は、中期的な方向性を示すものです。
| 表記 | 意味 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| 安定的 | 当面は現在の格付が維持される見込み | もっとも一般的な状態 |
| ポジティブ | 格上げの方向で見直される可能性がある | SBI新生銀行が現在この状態 |
| ネガティブ | 格下げの方向で見直される可能性がある | 解消されて安定的に戻ることもある |
| #(モニター) | 特定の事象を受けて見直しを検討中 | 格上げ・格下げ・据置のいずれもあり得る |
見通しは「予告」ではありません。ネガティブが付いたからといって必ず格下げされるわけではなく、楽天銀行のように安定的へ戻る例もあります。
格付会社によって記号の意味は違う
企業の格付けは、日本格付研究所(JCR)のほか、S&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ、フィッチ・レーティングス、格付投資情報センター(R&I)など複数の会社が付与しています。評価の考え方も対象範囲も会社ごとに異なるため、別々の格付会社の記号をそのまま並べて優劣を語ることはできません。この記事でJCRに統一しているのはそのためです。他社の格付を参照する場合は、必ず同じ格付会社どうしで比べてください。
住宅ローンを借りる側は、格付けをどう使えばよいか
ここは誤解しやすいところですが、格付けは「お金を貸す側・預ける側」から見た評価であり、住宅ローンを借りる人にとっては次のような読み方になります。
- 長い取引相手としての安定性を測る材料になる。返済期間は20〜35年に及ぶため、経営基盤の評価は無関係ではありません。
- 金利や商品性の有利さとは直結しない。格付が高い銀行の住宅ローンが必ず低金利というわけではありません。
- 預金保険制度の保護(1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円とその利息等)は「預ける側」のしくみで、住宅ローンの借入れには直接関係しません。制度の詳細は預金保険機構の公式サイトでご確認ください。
- 格付が無い=危ないではない。格付は発行体との関係で付与・撤回されるもので、有無だけで安全性は判断できません。
結論として、格付けは住宅ローン選びの「主役」ではなく、金利・諸費用・団信・手続きのしやすさを比べたうえで、最後に安心材料として添えて見るものと考えるのが現実的です。実際、この一覧で最上位のドコモの銀行と、A/ポジティブのSBI新生銀行とでは、金利や事務手数料の考え方、団信の条件はそれぞれ異なります。比べる順番は「商品条件が先、格付けは後」です。
よくある質問
Q. 格付けが高い銀行の住宅ローンほど金利は低いのですか?
いいえ。格付けと住宅ローンの適用金利に直接の連動関係はありません。金利は各行の調達コストや戦略、優遇幅の設計で決まります。実際にこの一覧でも、格付けの順番と住宅ローン金利の低さの順番は一致しません。
Q. 格付けが撤回された銀行は避けたほうがよいですか?
撤回そのものが信用力の低下を意味するわけではありません。ソニー銀行のように、格上げされた数か月後に撤回されている例もあります。格付けが無い場合は、決算やディスクロージャー資料など他の情報で判断してください。
Q. 借入れ後に銀行の格付けが下がったら、住宅ローンの金利は上がりますか?
契約済みの住宅ローンの金利は、契約で定めたルール(変動型なら基準金利と引下げ幅の取り決め)に従って決まります。銀行の格付けが変わったことを理由に、契約中の引下げ幅が変更されるわけではありません。適用金利の見直しルールは、契約時の商品概要説明書でご確認ください。
Q. 銀行が合併・商号変更した場合、格付けはどうなりますか?
発行体としての名称が変われば、格付会社側の表示も更新されます。ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)はその例で、JCRの発行体名も「ドコモSMTBネット銀行」に変わっています。過去の格付履歴は旧商号のまま残るため、履歴を追うときは商号変更の時期もあわせて確認すると混乱しません。
まとめ
2026年8月時点でJCRの格付が最も高いのはドコモの銀行(AA+/安定的)で、みずほ銀行とりそな銀行がAA/安定的で続きます。SBI新生銀行はA/ポジティブまで評価を上げており、2017年当時の序列は現在では通用しません。格付けは定期的に見直されるものなので、参照するときは必ず「いつ時点のものか」を確認してください。
最新の格付は日本格付研究所(JCR)金融法人 格付一覧で確認できます。
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