マンションの資産価値と購入判断をイメージした図

新築マンションの資産価値は、住み始めた時点で「新築プレミアム」の分だけ目減りします。その後の下がり方を決めるのは築年数そのものよりも、立地・管理状態と、市場全体の値動きです。

実際、首都圏の中古マンションの成約価格は2025年度まで13年連続で上昇し、築年数による目減りを市場の上昇が打ち消す局面が続いてきました。新築と中古のどちらを選ぶかは、この二つの力をどう見積もるかで決まります。

新築が中古になると下がるのは「新築プレミアム」が抜けるから

不動産業界では古くから「新築マンションが中古になると2割ほど下がる」と言われてきました。分譲価格には開発事業者の粗利や広告・販売費がおおむね2割程度含まれており、中古になるとその分が価格に乗らなくなる、という考え方にもとづくものです。

つまり最初に抜け落ちるのは建物の品質ではなく、「新築」という状態にだけ付いている上乗せ分です。ここを損と捉えるか、新築を選んだ対価と捉えるかで、物件選びの基準は変わってきます。

下落幅は築年数だけでなく市場の値動きで決まる

国土交通省の不動産価格指数は、2010年平均を100として実際の取引価格から算出される公的な指標です。全国のマンション(区分所有)は令和7年12月分の季節調整値で225.1と、2010年の2倍を超える水準にあります(住宅総合は148.0)。

首都圏に目を向けると、東日本不動産流通機構(レインズ)の市場動向が公表した2025年度の中古マンションの成約価格は5,322万円で、13年連続の上昇かつ過去最高でした。成約物件の平均専有面積は62.88㎡、平均築年数は26.81年です。

注目したいのは、成約物件の平均築年数が17年連続で経年化しているのに平均価格が上がっている点です。築年数による目減りよりも、市場全体の上昇が大きかったことを示しています。「築◯年で何割下がる」という一律の目安だけで判断できないのはこのためです。

首都圏の中古マンション成約価格が2021年度から2025年度まで上昇し続けていることを示す折れ線グラフ
成約物件の平均築年数は26.81年(2025年度)で17年連続の経年化。築古化が進むなかでも平均価格は上昇している。

ただし上昇が続く保証はありません。金利が上がれば買い手の毎月返済額は増え、価格の下押し要因になります。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を1.25%程度へ引き上げることを決めました(従来は1.0%程度)。

なお不動産価格指数は、算出プログラムの不具合により令和8年1月分以降の公表が延期されています(2026年8月27日 国土交通省お知らせ)。足元の数字を引用するときは、どの月までが公表済みかもあわせて確認しておきたいところです。

資産価値を左右する4つのチェックポイント

個別の物件で価値が保てるかどうかは、次の4点を見るとおおよその見当がつきます。売るときだけでなく、住み替えや賃貸に出す選択肢を残せるかにも直結します。

チェックの観点ポイント備考
立地都心・駅近ほど価値が下がりにくい郊外・駅遠は下落しやすい
築年数築浅ほど価格を維持しやすい新耐震基準(1982年以降)が一つの節目
頭金(自己資金)多いほど売却時の残債リスクが小さい少額だと売れないリスクに注意
管理・修繕修繕積立金と長期修繕計画の健全さ中古では特に価値を左右する

とくに管理と修繕は中古で差が出ます。積立金が長期修繕計画に対して不足していないかは、重要事項調査報告書や総会議事録で確認できます。建物の品質面はマンションの施工ミスから学ぶ物件選びと10年保証の使い方もあわせて押さえておくと判断しやすくなります。

頭金が少ないと「売りたくても売れない」状態になりうる

気をつけたいのは、値下がりしやすいエリアで頭金をあまり入れずに購入するケースです。購入後に価格が大きく下がると、売却価格より住宅ローンの残債が上回る「オーバーローン」の状態になることがあります。

住宅ローンを借りると、その住宅を担保に抵当権が設定されます。売却代金で残債を完済できないと抵当権を外せないため、売りたくても売れない状況に陥りかねません。仲介手数料などの諸費用も自己資金で用意する必要があります。

頭金を厚めに入れる、値下がりしにくい物件を選ぶ——この二つは、将来の住み替えの自由度を確保する備えでもあります。新築と中古でかかるお金の違いは新築・中古マンションでかかる費用の違いと諸費用の目安で整理しています。

資産価値の面から見た中古マンションの判断材料

価格面のリスクを踏まえたうえで、中古マンションには新築にない強みもあります。

  • 選択肢が多い:住みたいエリアが決まっているほど、中古のほうが候補数が多く条件に合う物件を見つけやすくなります。
  • 実物を確認できる:眺望・採光・共用部の清掃状態・駐輪場の使われ方まで、自分の目で判断できます。
  • 新築プレミアムが剥落済み:購入直後の急な目減りが起こりにくく、価格の動きが読みやすくなります。
  • 管理の実績が見える:修繕履歴と積立金の残高という実績データで、将来の負担を見積もれます。

一方で、築年数が進むほど設備の更新費用や修繕積立金の値上げは避けられません。購入価格の安さと、住み続けるあいだの維持費を合わせて比較するのが公平な見方です。

中古マンションでも住宅ローン減税は使える

令和4年度の税制改正で中古住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内など)は撤廃され、昭和57年(1982年)以後に建築された新耐震基準の住宅であれば築年数を問わず対象になりました。判定は登記簿上の建築日付で行います。

さらに令和8年度の税制改正で、住宅ローン減税は入居日が令和12年(2030年)12月31日まで5年延長されました。省エネ性能の高い既存住宅については借入限度額が引き上げられ、控除期間も13年に拡充されています。

床面積要件も新築・既存ともに40㎡以上へ緩和されました(合計所得金額1,000万円超の人、子育て世帯等への上乗せ措置を使う人は50㎡以上)。要件の詳細は国土交通省「住宅ローン減税」のページにまとまっています。

よくある質問

Q. 新築マンションは買った瞬間にどれくらい資産価値が下がりますか?

A. 新築プレミアムの分として1〜2割程度と言われますが、実際の下がり方は立地・管理状態・購入時期の相場で大きく変わります。市場全体が上昇している局面では、目減り分が相場の上昇で埋まることもあります。

Q. 中古マンションのほうが値下がりしにくいのはなぜですか?

A. 新築プレミアムがすでに剥落しているためです。その後の価格は立地・管理状態・市場動向で動くため、購入直後に大きく下がるという新築特有のリスクは小さくなります。ただし設備更新や修繕積立金の負担は増えます。

Q. 金利が上がるとマンションの資産価値はどうなりますか?

A. 一般に金利上昇は買い手の毎月返済額を増やすため、価格の下押し要因になります。一方で建築費の高止まりや新規供給の少なさは価格を支える方向に働くため、方向はエリアや物件によって分かれます。

Q. 築40年のマンションでも住宅ローン減税は使えますか?

A. 登記簿上の建築日付が1982年1月1日以後であれば、築年数を問わず対象です。それ以前の建物でも、耐震基準適合証明書・既存住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかで耐震性を証明できれば対象になります。

資産価値と住宅ローンはセットで考える

物件の資産価値だけを見ても、住み替えのしやすさは決まりません。金利・諸費用・団信を含めた住宅ローンの総コストが、残債の減り方とオーバーローンになりにくさを左右するからです。

金利の低いネット銀行に加え、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応するSBI新生銀行のように、諸費用の分かりやすさや保障内容で選ぶ視点もあります。同行の融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、比較の際は手数料まで含めた総額で並べると差が見えます。

各行の条件を横並びで比べる前提として、住宅ローンの基礎知識(金利タイプ・住宅ローン控除・審査)も押さえておくと判断の軸がぶれません。

参考・出典

※資産価値の一般的な考え方を整理した内容です。個別物件の相場や税制の適用可否は、最新の成約事例および国土交通省・国税庁の公式サイトでご確認ください。