ダブルフラットで将来の返済負担を計画的に軽くするイメージ

ダブルフラットとは

ダブルフラットとは、借入期間の異なる【フラット35】を2本に分けて借り入れる方法のことです。返済期間が長い【フラット35】(21年以上35年以下)と、返済期間が短い【フラット20】(15年以上20年以下)を組み合わせて、ひとつの住宅資金をまかないます。住宅金融支援機構が正式に用意している使い方で、公式サイトでも「将来の返済負担を軽減することを主な目的として」利用するものと位置づけられています。

言葉だけではイメージしづらいので、まずは最新の金利を使った具体的なシミュレーションで見てみましょう。

<シミュレーションの前提>

住宅ローンの借入金額:3,000万円(元利均等返済・ボーナス返済なし)

住宅ローン金利(2026年8月資金受取分・融資率9割以下・新機構団信付きの最頻金利):

 フラット35(21年以上35年以下)→年3.290%

 フラット20(20年以下)→年2.970%

(金利は住宅金融支援機構が公表する2026年8月の最頻金利です。最頻金利とは取扱金融機関が提供する最も多い金利で、実際の適用金利は金融機関ごとに異なります。楽天銀行ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)など取扱金融機関ごとに金利・融資手数料は異なりますので、最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。)

借り方別の総返済額を比較した棒グラフ
総返済額はフラット20が最も少なく、毎月の返済額はフラット20が最も大きい。ダブルフラットは両者のバランスを取りやすい(金利は2026年8月・融資率9割以下の最頻金利)。

<フラット35で借り入れた場合(全額35年)>

毎月の返済額:約120,400円

総返済額:約5,055万円(借入期間35年)

<フラット20で借り入れた場合(全額20年)>

毎月の返済額:約165,900円

総返済額:約3,982万円(借入期間20年)

<ダブルフラット(フラット35とフラット20に半額ずつ)>

毎月の返済額:

 最初の20年 約143,200円(フラット20分 約83,000円+フラット35分 約60,200円)

 21年目以降 約60,200円

総返済額:約4,519万円(借入期間35年)

借り方毎月の返済額総返済額特徴
フラット35(全額35年)約120,400円約5,055万円毎月の負担が最も軽い/総返済額は最も多い
フラット20(全額20年)約165,900円約3,982万円総返済額が最も少ない/毎月の負担は最も重い
ダブルフラット(半額ずつ)最初20年 約143,200円
21年目以降 約60,200円
約4,519万円毎月の負担と総返済額のバランスを取りやすい

この3つを比べると、総返済額を最も抑えられるのはフラット20(全額20年)ですが、その分毎月の返済額は大きくなります。一方ダブルフラットは、最初の20年こそ毎月の返済額がやや増えますが、フラット35だけで借りる場合に比べて総返済額を約536万円抑えられ、しかも21年目以降は毎月の返済額が約60,200円まで下がるのが特徴です。

※上記はいずれも当編集部による試算です。毎月の返済額は円未満を四捨五入し、総返済額は「毎月の返済額×返済回数」で求めた概算のため、金融機関のシミュレーション結果とは数百円〜数千円程度ずれることがあります。融資手数料・印紙税・抵当権設定費用などの諸費用は含んでいません。

このように、フラット20とフラット35を上手に組み合わせることで、毎月の返済額と総返済額をご自身の返済計画に合わせて調整できるのがダブルフラットの特徴です。効果はそれだけではありません。住宅ローン以外のライフプランや将来の生活スタイルを考えると、ダブルフラットの隠れたメリットが見えてきます

例えば、40歳でダブルフラットを利用してマイホームを購入したケースを考えてみましょう。最初の20年間は毎月14万円強の返済が必要になりますが、60歳〜75歳の15年間の毎月の返済額は約60,200円になります。つまり、退職して年金受給を開始しているタイミングでは、毎月の住宅ローンの返済負担が軽くなっていることになります。高年齢になったときの返済負担を抑える、計画的な返済が自動的にできる仕組みです。

もう一つの例で考えてみましょう。フラット20は「必ず20年でなければならない」わけではなく、15年以上20年以下で選べます。例えば、子どもが1歳のときに、借入期間15年のフラット20とフラット35を組み合わせたダブルフラットを利用したとします。子どもが高校生になるまでの15年間は義務教育期間が多く学費はそれほどかかりませんので、その間に短いほうの返済を進められます。お子さんが高校生・大学生になる前に積極的に返済を終え、学費・養育費が増えるタイミングで毎月の返済負担が大きく軽くなるように設計できます。これも、計画的に住宅ローンを返済する仕組みを自動的に作れる例です。

申し込む前に確認しておきたい6つのポイント

ダブルフラットは「フラット35を2本借りる」仕組みなので、1本で借りる場合とは異なるルールがいくつかあります。住宅金融支援機構が公表している商品概要から、事前に押さえておきたい点を整理しました。

確認すること公式の取り扱い実務上の注意
取扱金融機関2本とも同一の取扱金融機関に申し込む。フラット35を扱っていてもダブルフラットを扱っていない金融機関がある機構公表の「ダブルフラット取扱金融機関一覧」(2026年5月29日現在)は地方銀行・信用金庫・労働金庫・住宅ローン専門会社が中心。申込先を決める前に一覧で必ず確認を
諸費用2本それぞれに金銭消費貸借契約・抵当権設定が必要。融資手数料・印紙税・登記費用が1本で借りる場合より多くかかる金利差で浮く分と諸費用の増加分を、必ず総額で比べる
借入額2本の合計で200万円以上1億2,000万円以下。1本あたりの下限は100万円で、2本の金額は異なっていてもよい半額ずつに限らず「短いほうを少なめ」といった配分も可能
融資率2本の合計額が融資率9割を超えると、2本とも9割超の金利が適用される2026年8月なら9割以下 年3.290%に対し9割超は年3.400%。自己資金の目安として意識したい
団体信用生命保険加入する場合は2本それぞれに加入が必要(片方だけの加入はできない)。加入方法や種別は2本で異なってもよい健康上の理由などで加入しない選択もでき、その場合の金利は機構の案内を確認
返済方法・期間片方を元利均等、もう片方を元金均等にできる。20年以下を選ぶと原則、途中で21年以上に変更できない期間の組み合わせは後から直せない前提で、最初に慎重に決める

あわせて、ペアローンとダブルフラットは併用できません。夫婦それぞれが債務者になる形を考えている場合は、どちらの仕組みを使うかを先に決める必要があります。また申込人は2本とも同一で、主債務者と連帯債務者を入れ替えることもできません。

2026年8月の金利環境をどう見るか

【フラット35】の金利は、長期金利(新発10年国債利回り)の動きに左右されます。財務省が公表する10年国債の金利は2026年8月14日時点で年2.878%。報道によれば、8月17日には一時 年2.930%と約30年ぶりの高い水準をつけました(日本経済新聞・朝日新聞 2026年8月17日)。

【フラット35】の最頻金利(融資率9割以下・21年以上35年以下)も、2026年6月 年3.210%→7月 年3.140%→8月 年3.290%と、一本調子ではないものの高い水準で推移しています。なお9月の適用金利は9月1日ごろの公表予定で、この記事の時点ではまだ発表されていません。

こうした環境では「早く借りたほうが得」と急ぎたくなりますが、変動金利と固定金利のどちらが向くかは、返済期間・家計の余裕・繰上返済の予定によって変わります。ダブルフラットは金利そのものを下げる仕組みではなく、「いつ、いくら返すか」を設計する仕組みです。金利水準だけでなく、ご自身の返済計画に合うかどうかで判断してください。

ダブルフラットに関するよくある質問

Q. ダブルフラットはどんな人に向いていますか?
A. 「定年後は毎月の返済額を減らしたい」「子どもの学費が増える時期の返済負担を軽くしたい」といった、将来の負担を計画的にコントロールしたい人に向いています(住宅金融支援機構もこの2つを利用目的の例として挙げています)。

Q. どの金融機関でも申し込めますか?
A. いいえ。フラット35の取扱金融機関であっても、ダブルフラットを取り扱っていない金融機関があります。機構が公表する取扱金融機関一覧(2026年5月29日現在)で確認できますので、申込先を決める前にチェックしてください。なお2本とも同じ金融機関に申し込む必要があります。

Q. 手数料は1本で借りるときより増えますか?
A. はい。ダブルフラットはそれぞれの借入れに対して金銭消費貸借契約や抵当権設定などの手続きが必要になるため、融資手数料・印紙税・抵当権設定費用などが、1本で借りる場合より多くかかります(公式の商品概要に明記)。利用前に総コストで比較しましょう。

Q. 団信は片方だけ加入すればよいですか?
A. いいえ。加入する場合は2本それぞれに加入が必要で、片方のみの加入はできません。ただし加入方法(お一人またはご夫婦)や種別(機構団信・新3大疾病付機構団信)は2本で異なっていても構いません。

Q. 途中でフラット20の期間を延ばせますか?
A. 20年以下の借入期間を選んだ場合、原則として返済の途中で借入期間を21年以上に変更することはできません(公式の注意事項)。組み合わせ方は最初によく検討しましょう。

※【フラット35】・【ダブルフラット】の取り扱い状況や条件は変更されることがあります。最新の取り扱い状況は必ず住宅金融支援機構および各金融機関の公式サイトをご確認ください。

<フラット35の取扱金融機関(当サイト掲載)>

楽天銀行公式サイトはこちら

ドコモの銀行公式サイトはこちら

※上記はフラット35の取扱金融機関です。ダブルフラットの取り扱いがあるかどうかは金融機関ごとに異なるため、各社の公式サイトまたは住宅金融支援機構の取扱金融機関一覧でご確認ください。

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