住宅ローンの2つの返済方法を見比べる夫婦のイメージ

元利均等返済は毎月の返済額(元金+利息)が一定、元金均等返済は毎月返す元金が一定の返済方法です。総返済額は元金均等返済のほうが少なくなり、住宅金融支援機構の試算例(2,000万円・年1.500%・30年)ではその差は336,058円。その代わり返済開始当初の負担が重く、借入時に必要な年収も高くなります。

当サイトの考え方は、まず元利均等返済を選び、余裕ができたら繰上返済で元金を減らすというものです。ただ、フラット35の最頻金利が2026年10月に年3.830%まで上がった今は、「どちらでも大差ない」とは言い切れません(「元本均等返済」とも呼ばれますが、機構などが使う呼称は元金均等返済です)。

元利均等返済と元金均等返済の違い

  • 元利均等返済・・・毎月支払う返済額(元金+利息)が一定となる返済方法
  • 元金均等返済・・・毎月支払う返済額のうち、元金の額が一定となる返済方法
元金均等返済の返済額のイメージ図元利均等返済の返済額のイメージ図

住宅ローンは長期間にわたってお金を借り続けるため、金利が低くても利息の総額は大きくなります。たとえば100万円を年利10.000%で1年借りれば利息は10万円。100万円を年利1.000%で10年借りても、単純計算では同じく約10万円です。借入期間が20年・30年と長くなるほど、低金利でも利息は無視できない金額になります。

そして利息は「そのときの元金残高」に対してかかるため、元金がいちばん多い借入直後は利息の負担がもっとも重くなります。この点は2つの返済方法に共通する前提です。

メリット・デメリットを横並びで整理

返済方法メリットデメリット
元利均等返済返済額(元金+利息)が一定のため返済計画が立てやすい。元金均等返済に比べて返済開始当初の返済額を少なくできる。同じ借入期間なら元金均等返済より総返済額が多くなる。借入金残高の減り方が遅い。
元金均等返済返済額は返済が進むにつれ少なくなっていく。元金の減少が早いため、同じ借入期間なら総返済額は少なくなる。返済開始当初の返済額がもっとも高く当初の負担が重い。借入時に必要な収入も高くなる。

※住宅金融支援機構【フラット35】「元利均等返済・元金均等返済」の整理にもとづく(2026年10月確認)。

数字で見る差:機構の公式比較(2,000万円・年1.500%・30年)

住宅金融支援機構が公表している比較例(借入額2,000万円・固定金利 年1.500%・借入期間30年)を見ると、両者の違いがはっきりします。

元利均等返済と元金均等返済の毎月返済額の推移を比べた折れ線グラフ
元金均等返済は当初の返済額が高く、この例では15年目に元利均等返済を下回る
時点元利均等返済の毎月返済額元金均等返済の毎月返済額
1年目(12回目)69,024円79,791円
10年目(120回目)69,024円72,291円
15年目(180回目)69,024円68,124円
25年目(300回目)69,024円59,791円
総返済額24,848,426円24,512,368円

ポイントは3つです。

  • スタート時点の毎月返済額は元金均等返済のほうが約1.1万円高い(69,024円→79,791円)。
  • 返済が進むと逆転し、この例では15年目には元金均等返済のほうが安くなる。
  • 総返済額の差は336,058円。利息総額は元利均等4,848,426円に対し元金均等4,512,368円。
元利均等返済と元金均等返済の利息総額を比べた棒グラフ
差は336,058円。金利が高いほどこの差は大きくなる

※住宅金融支援機構による概算。実際の金額は金利・借入期間・金融機関の計算方法により異なります。

「差はわずか」は超低金利時代の話

かつては「超低金利だから、どちらを選んでも総返済額の差はごくわずか」と説明されることが多くありました。しかし金利が高いほど利息の絶対額が増え、2つの返済方法の差も大きくなります。上の機構の例は年1.500%での試算なので、いまの金利水準ではこれより差が開くと考えておくのが自然です。

実際、【フラット35】の最頻金利(融資率9割以下・新機構団信付・借入期間21年以上35年以下)は2026年10月時点で年3.830%で、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準です(住宅金融支援機構【フラット35】借入金利)。超低金利の時期とは前提が変わっており、「差は誤差の範囲」と決めつけるのは危険です。借入額・金利・期間を入れて、必ず自分の条件で試算してください。

元金均等返済の見落とされがちな注意点

総返済額だけを見ると元金均等返済が有利ですが、次の2点は必ず押さえておきましょう。

1. 借入時に必要な収入が高くなる
審査では「返済開始当初の返済額」で返済負担率が判定されます。当初の返済額が大きい元金均等返済は、同じ年収でも借りられる金額が小さくなる可能性があります。金利が上がった局面ではこの差がさらに広がるため、希望額に届かないなら、そもそも選択肢になりません。

2. 取り扱っている金融機関が限られる場合がある
元金均等返済に対応しているかどうか、また対応していても対象商品が限られるかどうかは金融機関ごとに異なります。元金均等返済を希望するなら、申込前の相談の段階で取扱いの有無を確認しておくと手戻りがありません。

元金を早く減らしたいなら「繰上返済」という選択肢

ここまでの説明だけを見ると、元金均等返済のほうが優れているように思えるかもしれません。ただ、当サイトがすすめる考え方は「毎月の必須負担はできるだけ軽くしておき、余裕があるときに繰上返済して総返済額を減らす」です。

元利均等返済で毎月の返済額を固定しておけば、収入の変動・教育費・病気など想定外の出費に耐えやすくなります。そのうえで余裕資金ができたら繰上返済を行えば、総返済額の差は限りなく小さくできます。

かつては繰上返済のたびに窓口へ出向き、手数料を払う必要がありました。現在は一部繰上返済の手数料を無料にしている銀行が増えています。たとえばドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)は、店舗で相談して申し込む「対面相談コース」でも一部繰上返済が無料です。

同行のネット完結型「WEB申込コース」は2026年10月30日(金)17時で仮審査申込の受付を終了する予定で、それ以降に申し込む人は対面相談コースを使います。銀行を選ぶときは、手数料の有無に加えて最低返済額や手続きの方法まで比べておくと、元利均等返済の弱点をどこまで補えるかが見えてきます。期間短縮型と返済額軽減型の違いは住宅ローンの繰上返済の手数料・返済方式の比較で整理しています。

元利均等返済・元金均等返済のよくある質問

Q. 住宅ローン審査で有利なのはどちらの返済方法ですか?

A. 借入可能額では元利均等返済のほうが有利になりやすいです。当初の返済額が小さいぶん返済負担率が低く出るためです。元金均等返済は当初の負担が重く、必要な年収も高くなります。

Q. 借りたあとで元利均等から元金均等に変更できますか?

A. 金融機関・商品によって異なり、変更に応じてもらえない場合や手数料がかかる場合があります。「後から変えればよい」と考えず、契約時に確認しておくのが安全です。

Q. 変動金利で元利均等返済を選ぶと、金利上昇時はどうなりますか?

A. 多くの銀行では5年ルール・125%ルールで毎月返済額の急増は抑えられますが、利息が増えたぶん元金の減りが遅くなります。適用ルールは商品ごとに異なります(5年ルール・125%ルールと未払利息の銀行別比較)。

Q. ボーナス返済と組み合わせられますか?

A. 多くの金融機関でどちらの返済方法でも併用できますが、割合の上限などの条件は商品ごとに異なります。ボーナスは変動しやすいため、併用割合は控えめにしておくのが無難です。

まとめ

元利均等返済と元金均等返済は、「毎月の返済額を固定する」か「毎月返す元金を固定する」かの違いです。総返済額は元金均等返済のほうが少なくなりますが、当初の負担と必要年収は重くなります。金利が上がってきた現在は差が広がりやすいため、必ず自分の条件で試算したうえで判断してください。

そして、どちらを選ぶかと同じくらい重要なのが繰上返済のしやすさ(手数料・最低金額・手続き方法)です。取扱いや手数料は改定されることがあるため、最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

 

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