住宅ローンの基準金利と適用金利の違いを比較するイメージ

住宅ローンの仕組みは複雑で、なかでも分かりにくいのが金利体系です。ひと口に「金利」と言っても、「基準金利」「店頭金利」「優遇金利」「適用金利」など、さまざまな用語が使われます。

同じ金融機関でも基準金利と優遇金利は大きく異なり、各社を比較しようとしても、いろいろな数字が異なる基準で並んでいて混乱しがちです。金利が上昇している局面では、この3つの違いを理解しているかどうかで、返済額の見通しの精度がまったく変わります。ここでは住宅ローンの金利について、それぞれの違いを知識のない方にもわかりやすくまとめました。新規購入や借り換えの検討にお役立てください。

用語意味別の呼び方
基準金利住宅ローンの「定価」にあたる金利。各行が設定する店頭金利・店頭表示金利・表面金利
優遇金利条件を満たすと基準金利から差し引かれる引き下げ幅、または引き下げ後の金利引き下げ幅・引き下げ後金利
適用金利実際に返済時に適用される金利(=引き下げ後の金利)優遇金利と呼ぶ場合も

住宅ローンの基準金利(店頭金利)とは?

基準金利は、文字どおり住宅ローンの基準となる金利です。各金融機関が設定しますが、市場金利に照らして決めているため各社ほぼ横並びです。金融機関によっては店頭金利・店頭表示金利・表面金利と呼ぶこともあります。

実際には、多くの人が基準金利そのもので契約することはありません。たとえば三菱UFJ銀行の新規借り入れ(変動金利・ずーっと一律優遇コース)は、店頭表示金利が年3.375%、そこから年2.180%を引き下げた適用金利が年1.195%です(同行公式・2026年9月1日現在)。同じ商品でも、見ている数字が「定価」なのか「割引後」なのかで印象はまったく変わります。どちらが適用されるかで、総返済額に数百万円の差が出ることもあります。

なお、変動金利の基準金利は短期プライムレートに連動するのが一般的で、日本銀行の利上げを受けて2024年以降は各行で上昇しています。日銀は2026年6月に政策金利を年1.0%程度へ引き上げており、その波及もあって2026年9月には大手5行のうち2行(三菱UFJ銀行・三井住友銀行)が変動金利を引き上げ、残る3行は据え置きとなりました(共同通信・時事通信の集計、2026年8月31日)。基準金利が動けば、優遇幅が同じでも適用金利は上がります。

住宅ローンの優遇金利とは?

優遇金利は、所定の条件を満たすことで基準金利から一定幅を引き下げた、実際に返済時に適用される金利のことです。たとえば基準金利が年3.375%で引き下げ幅が年2.180%なら、適用金利は年1.195%という具合です。金融機関によっては優遇金利を適用金利と呼ぶこともあります。

優遇幅の決まり方ですが、メガバンクの場合は住宅ローンの審査結果によって変わったり、給与振込口座の設定やインターネットバンキングの利用などを条件とする場合が多くあります。このため、公式サイトに載っている「引き下げ後金利」で必ず借りられるとは限らない点に注意が必要です。

優遇幅は途中で変わる?──金利上昇局面で見るべきポイント

金利が上がる局面でよくある誤解が、「基準金利が上がると優遇幅も削られるのでは」というものです。実際には、多くの銀行で引き下げ幅は完済まで変わらない契約になっています。たとえば三菱UFJ銀行の「ずーっと一律優遇コース」は、公式に「完済まで店頭表示金利より年▲2.18%」「固定金利に変更後も、引下幅は変わりません」と明記されています(同行公式・2026年9月1日現在)。

つまり、すでに借りている人の適用金利は「固定された引き下げ幅」+「動く基準金利」で決まります。基準金利が0.250%上がれば、適用金利もそのまま0.250%上がるということです。金利上昇のニュースを見たときに確認すべきなのは、報道されている最優遇金利ではなく、自分の契約書に書かれた引き下げ幅と、返済予定表に記載された現在の適用金利です。

一方で、当初の一定期間だけ大きく引き下げ、期間終了後は引き下げ幅が小さくなるタイプもあります。三菱UFJ銀行の「最初に大きな優遇コース」では、固定10年・固定20年の当初固定期間終了後の引き下げ幅は年1.550%となり、当初の水準より縮みます。「当初◯年だけ低い」タイプは、期間終了後の引き下げ幅まで必ず確認してください。

メガバンク・地銀とネット専業銀行の優遇金利の違い

メガバンクや地銀では審査結果によって実際の適用金利が変わることが一般的です。一方、ネット専業銀行は条件がシンプルで、掲載金利との差が小さい傾向があります。この分かりやすさはネット銀行の強みと言えるでしょう。

ただし、「ネット銀行なら審査で金利は変わらない」と一般化はできません。たとえばドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)は、審査結果に応じてWEB申込コースで年0.100%〜0.300%の上乗せ(対面相談コースは年0.550%まで)が生じる場合があると案内しています。ネット銀行を比べるときも、掲載金利だけでなく審査による上乗せの有無を商品説明書で確認しておくと確実です。

また、実際に適用される金利は申し込み時の金利ではなく、契約時(融資実行時)の金利になる点にも留意してください。金利が上昇している局面では、申し込みから実行までの間に金利が変わることが現実に起こり得ます。ネット銀行の金利を比較した 住宅ローン金利・借り換え比較ランキング もあわせてご覧ください。

変動と固定では「連動する金利」が違う

もうひとつ混同されやすいのが、変動と固定で参照する市場金利が違うという点です。変動金利の基準は短期プライムレート(政策金利の影響を受ける)、固定金利や【フラット35】の基準は長期金利(10年国債利回り)です。

2026年9月2日には長期金利が一時3.015%と約30年ぶりの水準まで上昇しました。これを受けて固定型の金利は上がりやすくなりますが、「長期金利が3%台に乗った=変動金利がすぐに上がる」ではありません。実際、9月の大手5行では10年固定が5行すべて引き上げとなった一方、変動の引き上げは2行にとどまっています。参考までに、2026年9月時点の水準は三菱UFJ銀行の固定10年が年3.630%、全期間固定31〜35年が年4.300%(同行公式)、【フラット35】が借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下で年3.460%(住宅金融支援機構・2026年9月実行分)です。

まとめ

基準金利は「定価」、適用金利はそこから割引された「バーゲン価格」とイメージすると分かりやすいでしょう。近年の住宅ローンは定価で契約されることがほとんどなく、店頭金利(基準金利)はあくまで参考値です。金利を比較する際は「適用金利(優遇金利)」を注意深く見ること、そしてすでに借りている人は「自分の引き下げ幅」を把握しておくことが大切です。

表示金利の分かりやすさを重視するなら、条件がシンプルなネット系の銀行が候補になります。たとえばSBI新生銀行は店舗とオンラインの両方に対応し、保証料0円・一般団信の上乗せなしなど諸費用が分かりやすい点も特長で、検討に値する選択肢の一つです(最新の金利・条件は公式サイトでご確認ください)。複雑に見える金利の仕組みを理解して、自分に合った住宅ローンを選びましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 公式サイトに載っている金利で必ず借りられますか?
A. ネット銀行は条件がシンプルで掲載金利に近い水準で契約できることが多い一方、メガバンク・地銀は審査結果で優遇幅が変わり、最優遇金利で借りられない場合があります。ネット銀行でも審査結果による上乗せを設けている例があるため、商品説明書で確認してください。

Q. 申し込み時と契約時で金利が違うことはありますか?
A. あります。実際に適用されるのは契約時(融資実行時)の金利です。金利は毎月見直されるため、申し込みから実行までの間に変わることがあります。

Q. 基準金利が上がったら、優遇幅(引き下げ幅)も削られますか?
A. 全期間一律で引き下げるタイプでは、引き下げ幅は完済まで変わらないのが一般的です。ただし当初期間だけ大きく引き下げるタイプは、期間終了後に引き下げ幅が縮みます。ご自身の契約書と商品説明書でどちらのタイプかを確認してください。

Q. いま自分に適用されている金利はどこで確認できますか?
A. 返済予定表、またはインターネットバンキングの契約内容照会で確認できます。報道される「最優遇金利」は新規借り入れ向けの数字で、返済中の方の適用金利とは異なります。

Q. 変動金利の基準金利は今後も上がりますか?
A. 変動の基準金利は短期プライムレートに連動し、日銀の利上げを受けて2024年以降上昇しています。日銀の次回の金融政策決定会合は2026年9月17日・18日に開かれますが、先行きは経済情勢次第で決まっていません。最新の金利は各行公式でご確認ください。

 

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