自宅で安心して暮らすシニア夫婦のイメージ

自宅を手放さずに老後の資金を確保できる手段として広がってきたのがリバースモーゲージです。みずほ銀行がメガバンクとして初めて2013年7月に参入して以降、三菱UFJ銀行・三井住友銀行などのメガバンクや信託銀行、地方銀行が続々と取り扱いを始めました。特に住宅金融支援機構の【リ・バース60】が登場したことで取扱金融機関は大きく広がり、いまでは全国の多くの金融機関で利用できる商品になっています。

リバースモーゲージとは?

リバースモーゲージとは、自宅(土地・建物)を担保に資金を借り入れ、契約者が亡くなったときに自宅の売却や相続人による一括返済で元本を返済するローンの一種です。自宅を所有しているものの現金収入が少ない高齢者世帯が、住み慣れた住居を手放さずに現金を確保できる点が最大の特徴です。

一般的な住宅ローンが元金と利息を毎月返済していくのに対し、リバースモーゲージは毎月の支払いが利息のみで、元金は契約満期または契約者の死亡時にまとめて返済します。資金の受け取り方は「毎月一定額を年金のように受け取る」「一括で受け取る」など金融機関によって異なります。返済時に自宅の売却額が借入残高に満たない場合は、金融機関が担保物件を処分して貸付金を回収する仕組みです。

住宅金融支援機構の【リ・バース60】とは?

リバースモーゲージが一気に広がった背景には、住宅金融支援機構の【リ・バース60】があります。これは満60歳以上の方向けに、住宅の建設・購入・リフォーム資金や住宅ローンの借り換えなどを対象とした、リバースモーゲージ型の住宅ローンです。住宅金融支援機構が直接融資するのではなく、提携する民間金融機関が機構の「住宅融資保険」を活用して提供し、それぞれ独自のプランにアレンジして展開しています。

【リ・バース60】には、契約者の死亡時に担保物件を売却しても残った債務の返済を相続人に求めない「ノンリコース型」と、残った債務の返済を相続人に求める「リコース型」があります。ノンリコース型なら、売却後に残った借入金を相続人が返済する必要がないため、想定外の負担を残しにくい安心感があります。金利・利用条件・融資限度額などは金融機関ごとに異なるため、詳細は各取扱金融機関で確認が必要です。

リバースモーゲージ・リ・バース60の取扱金融機関

リバースモーゲージ(【リ・バース60】を含む)は、いまでは幅広い業態の金融機関で取り扱われています。代表的な取扱金融機関には次のようなところがあります。

【メガバンク・信託銀行】みずほ銀行/三井住友銀行/三菱UFJ銀行/りそな銀行/三井住友信託銀行 など
【地方銀行・第二地方銀行】北洋銀行/七十七銀行/静岡銀行/常陽銀行/千葉銀行/京都銀行/広島銀行/山口銀行/福岡銀行/西日本シティ銀行/琉球銀行 など

合併・商号変更により名称が変わっている金融機関もあります(例:かつての東京都民銀行は現在「きらぼし銀行」)。最新の取扱金融機関一覧は、住宅金融支援機構の【リ・バース60】公式サイトで地域から検索できます。各行で対象年齢・資金使途・融資限度額・金利タイプ(変動/固定金利期間選択)などが異なるため、利用を検討する際は複数の金融機関を比較しましょう。

【リ・バース60】と一般的なリバースモーゲージの違い

比較の観点【リ・バース60】(機構+提携金融機関)金融機関独自のリバースモーゲージ
対象年齢原則満60歳以上50歳以上・55歳以上など金融機関により異なる
おもな資金使途住宅の建設・購入・リフォーム・借り換えなど住宅関連が中心生活資金・医療費など幅広く使える商品もある
毎月の返済利息のみ(元金は契約者の死亡時に一括返済)利息のみが中心(商品による)
残債の扱いノンリコース型なら相続人に残債の返済義務なしリコース型が多く、残債の返済を求められる場合がある
提供のしくみ機構の住宅融資保険を活用し提携金融機関が提供各金融機関が独自に設計・提供

リバースモーゲージのメリット・注意点

メリットは、住み慣れた自宅に住み続けながら資金を確保できること、毎月の返済負担が利息のみで軽いこと、ノンリコース型を選べば相続人に残債の負担を残しにくいことです。

一方で注意点もあります。変動金利型では、金利が上昇すると毎月支払う利息が増えます。担保評価額が下落すると融資限度額が見直されることがあり、長生きした場合に契約期間中に融資限度額へ達する「長生きリスク」もあります。担保評価額は物件評価の50〜60%程度にとどまることが多く、推定相続人の同意が必要な金融機関もあります。契約前に、金利タイプ・限度額・残債の扱いをよく確認しておきましょう。

広がるリバースモーゲージ市場

住宅金融支援機構が金融機関を対象に毎年実施している「住宅ローン貸出動向調査」(2020年度に「民間住宅ローンの貸出動向調査」から名称変更)でも、リバースモーゲージの取り扱いは着実に定着しています。2024年度調査(回答301機関)では、リバースモーゲージを取り扱う金融機関の保証・保険手段として「住宅金融支援機構の住宅融資保険(リ・バース60)」が55.3%と最も多く利用されており、高齢化を背景に取扱いが広がっていることがうかがえます。一方で「高齢者および相続人への商品説明」などが取り扱い上の課題として挙げられています。

かつてメガバンクの中ではみずほ銀行が先行し、参入当初は戸建ての土地部分のみを担保としていましたが、現在ではマンションを担保対象に含める金融機関も増えるなど、商品性も拡充されています。今後も高齢者世帯の増加を背景に、選択肢はさらに広がっていくと見られます。

よくある質問(FAQ)

Q. 借りたお金は何に使えますか?
A. 【リ・バース60】は住宅の建設・購入・リフォーム・住宅ローンの借り換えなど住宅関連が中心です。金融機関独自の商品では、生活資金など幅広い使途に対応するものもあります。

Q. 家族(相続人)に借金が残りませんか?
A. ノンリコース型を選べば、契約者の死亡後に担保物件を売却して残った債務があっても、相続人が返済する必要はありません。リコース型は残債の返済を求められる場合があるため、契約前に必ず確認しましょう。

Q. マンションでも利用できますか?
A. 金融機関によって異なりますが、戸建てに加えてマンションを担保対象とする金融機関も増えています。担保評価の条件は各行で確認してください。

リバースモーゲージは、老後の住まいと資金計画に関わる重要な選択です。金利タイプ・対象年齢・資金使途・ノンリコースかどうかは金融機関ごとに差があります。最新の商品内容・取扱金融機関・金利は、住宅金融支援機構および各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。