
「住宅ローンの実質マイナス金利」という言葉を聞いたことはありますか? これは、超低金利と住宅取得の優遇制度が重なり、住宅ローンを返済しているのに、控除や給付で受け取る額の方が大きくなる状態を指して使われてきた表現です。まずは仕組みを整理し、そのうえで2026年現在はどう変わったのかを確認しましょう。
「実質マイナス金利」とは何だったのか
たとえば変動金利が年0.500%前後という時代には、次のような優遇が重なっていました。
- 住宅ローン控除(住宅ローン減税):年末のローン残高の一定割合が所得税・住民税から戻る
- すまい給付金:一定の年収以下の取得者に現金を給付
ローン金利よりも控除・給付で戻る額の方が大きければ、計算上は「借りているのに手元が増える」状態になり得ます。これが実質マイナス金利と呼ばれたゆえんです。
2026年の今は状況が大きく変わっている
ただし、この前提は近年大きく変化しました。最新の状況を正しく押さえておきましょう。
- 日銀のマイナス金利政策は2024年3月に解除され、その後も段階的に利上げが進みました。2025年12月には政策金利が0.75%と、約30年ぶりの高水準になっています(出典:日本銀行)。「金利のある世界」へと局面が変わっています。
- 住宅ローン控除の控除率は1.0%から0.7%に縮小しました(2022年改正)。控除期間は最大13年で、2026年1月〜2030年12月入居分まで延長されています(令和8年度税制改正大綱)。
- すまい給付金は2022年末で終了しました(新規受付は終了済み)。現在は省エネ性能の高い住宅を対象とする「みらいエコ住宅2026事業」など、別の支援制度に置き換わっています。
つまり、控除率が下がり、給付金が終わり、金利は上昇局面にあるため、かつてのように誰もが「実質マイナス金利」になるわけではありません。とはいえ、変動金利は依然として歴史的に低い水準にあり、住宅ローン控除と組み合わせれば負担を大きく抑えられる点は変わりません。最新の制度・金利を前提に試算することが重要です。
イオン銀行の変動金利に注目
かつて魅力的な低金利で人気だったイオン銀行の住宅ローン(変動金利)も、2026年5月1日に基準金利が引き上げられ、優遇後の適用金利は以前の0.500%台から上昇しています(最新の適用金利はイオン銀行公式サイトでご確認ください)。各行とも利上げ局面で金利を見直しており、「いつ・どの銀行で借りるか」で総返済額が変わるため、複数行の比較がこれまで以上に大切になっています。
変動金利を選ぶときの注意点
変動金利型は、つねに金利上昇リスクに注意が必要です。ここ十数年は低水準で安定してきましたが、長いスパンで見ると1990年代には8.5%まで上昇したこともありました。2024年以降は利上げ局面に入っており、「上がらない前提」で組まないことが大切です。
「変動で借りて、上がり始めたら固定へ借り換えればよい」と考える人もいますが、それほど簡単ではありません。住宅ローン金利は、まず長期金利に連動する固定金利が上がり、あとから短期金利に連動する変動金利が上がります。変動金利の上昇に気づいた頃には、固定金利はすでに上がってしまっていることが多いのです。返済額の上限を試算し、金利が上がっても無理のない返済計画を立てておきましょう。
| 比較の観点 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 金利 | 変動・固定の適用金利と基準金利改定の動き | 2024年以降は上昇局面。時点を確認 |
| 諸費用 | 事務手数料(定率型は借入額×2.20%(税込)が一般的)・保証料 | 金利が同じでも総額で差が出る |
| 団信 | 一般団信・がん・全疾病などの保障範囲と上乗せ金利 | 上乗せ0円の保障もある |
| 税制・制度 | 住宅ローン控除(控除率0.7%・最大13年) | すまい給付金は終了済み |
よくある質問(FAQ)
Q. 今でも「実質マイナス金利」になりますか?
A. 控除率が0.7%に下がり、金利も上昇局面のため、以前より条件はシビアです。ただし変動金利が控除率(0.7%)を下回るケースなどでは、控除と合わせて負担を大きく抑えられる可能性はあります。最新の金利・制度で試算してください。
Q. すまい給付金はまだ使えますか?
A. すまい給付金は2022年末で終了しています。現在は「みらいエコ住宅2026事業」など省エネ住宅向けの補助や、住宅ローン控除が中心です。詳しくは国土交通省や各自治体の最新情報をご確認ください。
Q. 変動と固定、どちらが得ですか?
A. 一概には言えません。金利上昇に耐えられる家計か、返済期間、繰上返済の予定などで変わります。複数の金利タイプ・銀行を横並びで比較するのがおすすめです。
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