住宅ローンの保障内容を家族で確認するイメージ

住宅ローンは20年、30年と付き合う長期の契約です。その間に返済を続けられなくなるリスクとして、多くの人が最初に思い浮かべるのが「がん」ではないでしょうか。

ここでは、まず公的統計でがんの現在地を確認し、そのうえで住宅ローンのがん保障付き団体信用生命保険(団信)をどう比較すればよいかを整理します。数値はすべて2026年8月時点で公表されているものです。

数字で見る「がん」の現在地

国立がん研究センターがん情報サービスの最新がん統計(2026年7月更新)によると、次のとおりです。

  • 2023年に新たにがんと診断されたのは993,469例(男性556,059例、女性437,406例)
  • 2024年にがんで死亡した人は384,111人(男性221,786人、女性162,325人)
  • 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%=いずれも「2人に1人」(2023年データに基づく)
  • 2018年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計64.8%(男性63.2%、女性66.8%)

罹患数が多い部位は、2023年の総数で大腸・肺・胃・乳房・前立腺の順です。

注目したいのは、「がんは身近だが、診断されても生存し続ける人が多数派になっている」という点です。医療の高度化により、長期入院よりも通院しながら治療を続けるケースが主流になりました。裏を返せば、「亡くなるリスク」よりも「治療しながら働き方が変わり、収入が減るリスク」に備える必要があるということです。ここが、住宅ローンのがん保障を考えるうえでの出発点になります。

※10年生存率など他の指標も公表されていますが、集計対象(全国がん登録/院内がん登録など)や診断年によって数値が異なります。最新の数値は国立がん研究センターがん情報サービスでご確認ください。

「がんと診断されたら返済はどうなる?」団信の保障タイプを整理する

かつて住宅ローンの疾病保障は、「所定の就業不能状態が一定期間続くすること」を支払要件とするものが中心で、がんと診断されただけでは保障されないケースが少なくありませんでした。

しかし現在は、「がんと診断確定された時点」で保障が受けられるタイプが主要なネット銀行を中心に広く提供されています。支払要件のハードルが大きく下がったことが、この分野の最も大きな変化です。

保障タイプごとの違いは次のとおりです。

保障タイプ保障される内容上乗せ金利の目安考え方
一般団信 死亡・所定の高度障害状態 0円(無料付帯)が一般的 最低限の保障。がんで療養中の収入減はカバーされない
がん50%保障 がん診断確定でローン残高の50%が保障される 上乗せなしで付帯する銀行もある(例:ソニー銀行「がん団信50」は上乗せ金利なし) 残高は半分残る。共働きなど他に収入源がある世帯向き
がん100%保障 がん診断確定でローン残高が全額保障される 年0.1%〜0.2%程度(例:ソニー銀行「がん団信100」は年0.1%) 単独名義・片働きで、返済が一人の収入に依存する世帯向き
全疾病保障 精神障がいを除く病気・ケガによる所定の就業不能や長期入院 0円〜(例:SBI新生銀行は2026年3月開始の全疾病保障付団信を上乗せ0円で提供) がん以外の疾病も含めて働けなくなるリスクに備える

※上乗せ金利・保障範囲・支払要件は金融機関ごとに異なり、改定されることがあります。個別の条件は必ず各金融機関の公式サイトと商品説明書でご確認ください。

保障の中身は「残高の何%か」だけでは比べられない

がん保障を比較するとき、残高保障の割合だけを見ると判断を誤ります。給付金の有無で実質的な手厚さが変わるためです。

たとえばソニー銀行の「がん団信100」(上乗せ年0.1%)は、がん診断確定時に住宅ローン残高100%の保障に加えて、がん診断給付金100万円が支払われます。さらにがん先進医療給付(通算2,000万円)と一時金30万円、残高保障の対象外となる上皮内がん・皮膚がんの診断給付金50万円も用意されています。

ローンが消えても治療費と療養中の生活費は別に必要になるため、こうした現金給付の有無は実務上の差になります。

その他の銀行についても、住信SBIネット銀行、イオン銀行、りそな銀行の最新の疾病保障を徹底比較!【最先端】がん保障・疾病保障付住宅ローンを変動金利で徹底比較で観点別に整理しています。auじぶん銀行のように、がん保障のプランを複数用意している銀行もありますので、最新の保障内容と上乗せ金利は各行の公式サイトで確認してください。

申し込み前に確認したい3つのチェックポイント

  1. 加入できる年齢の上限…がん保障などの保障特約付き団信は、加入時の年齢に上限が設けられていることがあります(ソニー銀行の保障特約付き団信は加入時に満50歳未満の方が対象)。住み替えなどで40代後半以降に借りる場合は特に要確認です。
  2. 既往歴の扱い…過去にがんにかかったことがある場合、保障特約付き団信に加入できないのが一般的です(ソニー銀行では肉腫・白血病・悪性リンパ腫も「がん」に含めて判定)。健康上の理由がある方は、引受基準緩和型の「ワイド団信」も含めて検討することになります。
  3. 上皮内がん・皮膚がんの扱い…残高保障の対象外とされることが多い区分です。対象外なのか、給付金でカバーされるのかを必ず確認してください。

よくある質問

Q. がん50%保障と100%保障、どちらを選ぶべきですか?
判断軸は「返済がひとりの収入にどれだけ依存しているか」です。共働きで配偶者の収入だけでも返済を継続できるなら50%保障で足りるケースが多く、単独名義・片働きなら100%保障を検討する価値が高いといえます。50%保障は残高が半分残るため、返済自体は続く点を忘れないでください。

Q. 上乗せ金利0.1%は、金額にするとどのくらいの差ですか?
ソニー銀行が公式サイトで示す試算例(借入額5,000万円・返済期間35年・ボーナス返済なし)では、適用金利 年1.000%で月々141,142円、年1.100%で月々143,485円とされています。月あたり約2,300円の差です。この負担をどう見るかは、保障の内容と家計の余力しだいです(試算は参考値で、実際の返済額とは異なります)。

Q. がん保障は途中から付けたり外したりできますか?
団信の種類は原則として借入の申込時に確定し、契約後の変更はできないのが一般的です。「あとで考える」ができない項目なので、金利の比較と同時に決める必要があります。取り扱いは金融機関ごとに異なるため、申込前に確認してください。

Q. がん保険に入っていれば、がん保障付き団信は不要ですか?
役割が異なります。がん保険は治療費・生活費に充てる現金を、がん保障付き団信は住宅ローンという最大の固定費そのものを手当てします。すでに加入している保険の保障額と、住宅ローン残高を並べて、重複と不足を確認するのが現実的です。

まとめ|「金利」と「保障」はセットで比較する

がんは2人に1人が診断される一方で、診断後も治療を続けながら生活する人が多数派です。だからこそ、住宅ローンでは「万一のときに残高がどうなるか」に加えて、「療養中の家計をどう支えるか」まで含めた保障設計が重要になります。

上乗せ金利が必要な保障を選べば、当然その分だけ総返済額は増えます。金利の低さだけ、保障の手厚さだけで選ばず、両方を並べて比べるのが結論です。上乗せ0円で全疾病保障付団信を用意するSBI新生銀行のように、保障を金利負担なしで確保できる選択肢もあるため、諸費用と保障をセットで検討することをおすすめします。

住宅ローンの借り入れ・借り換えを検討する際は、ぜひ「がん保障」という観点も比較項目に加えてみてください。

 

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