
年収別の住宅ローンの適正金額は?
住宅ローンを検討するとき、「自分の年収でいくらまで借りられるのか?」は誰もが気になるポイントです。借入可能額は年収に左右され、年収と借入額の関係は住宅ローン審査の重要な項目のひとつだからです。
ただし、審査基準は金融機関ごとに異なりますし、上限ぎりぎりまで借りると返済が家計の重荷になります。金融機関が定める上限とは別に、自分で「余裕をもって返せる基準」を持っておきましょう。
さらに重要なのが金利水準の変化です。かつてのように「金利は年1.000%前後」を前提にした試算は、現在では通用しません。この記事は2026年7月時点の条件で整理しています。
借入可能額の上限を決めるのは「返済負担率」
審査基準は各行で異なりますが、条件を公開している【フラット35】を見ると考え方がはっきりします。【フラット35】では、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)に次の基準を設けています(2026年4月1日現在)。
| 年収 | 総返済負担率の基準 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
見落としがちですが、この「年間合計返済額」に含まれるのは住宅ローンだけではありません。自動車ローン・教育ローン・カードローン(クレジットカードのキャッシング、分割払いやリボ払いによる購入を含む)も合算されます。ほかに借入れがある人は、その分だけ住宅ローンに回せる枠が減るということです。
年収400万円なら、返済に回せるのは月いくらまで?
■ 年収400万円の人の年間返済額の上限
400万円 × 35% = 140万円
■ 毎月に直すと
140万円 ÷ 12か月 = 約11万6,000円
この「月約11万6,000円」が、ほかに借入れがない場合の上限ラインです。では、この返済額でいくら借りられるのでしょうか。答えは選ぶ金利タイプによって大きく変わります。
同じ3,000万円でも、金利タイプで毎月の返済額はここまで違う
当編集部では毎月、各金融機関の公式サイトで住宅ローン金利を実際に確認し、集計しています。2026年7月適用の実測金利(確認日2026年7月1日)をもとに、借入3,000万円・借入期間35年で試算した毎月返済額は次のとおりです。

| 金利タイプ(例) | 実測金利 | 毎月返済額 | 年収400万円に対する負担率 |
|---|---|---|---|
| 変動金利(ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) WEB申込コース) | 0.950% | 83,988円 | 約25.2% |
| 当初10年固定(ドコモの銀行 WEB申込コース) | 2.879% | 113,438円 | 約34.0% |
| 全期間固定(【フラット35】買取型・融資率9割以下) | 3.140% | 117,811円 | 約35.3% |
※当編集部調べ(当社試算)。元利均等・毎月返済のみ(ボーナス返済なし)、事務手数料・保証料・団信上乗せ金利などの諸費用は含みません。変動金利は全期間金利が変わらないと仮定した概算で、実際は半年ごとに見直されます。当初固定は当初期間中の返済額です。
結果は明快です。全期間固定で3,000万円を借りると、毎月返済額が年収400万円の上限ライン(月約11万6,000円)をすでに超えます。一方、変動金利なら同じ3,000万円でも負担率は約25%に収まります。「年収400万円でいくら借りられるか」は、金利タイプを決めないと答えが出ないということです。
なお、民間の銀行は審査の際に実際の適用金利ではなく、より高い「審査金利」で返済負担率を判定することがあります。変動金利を選んでも、審査上の借入可能額は上の試算より小さくなる可能性がある点に注意してください。
上限まで借りたら生活はどうなるか
仮に上限いっぱいの月11万6,000円を返済するとして、家計が回るか確認しましょう。年収400万円(ボーナスなし)なら額面は月約33万円。税・社会保険料が引かれた手取りは月25万〜26万円程度が目安です。
<毎月の収入と支出の構成>
毎月の手取り収入:25万〜26万円
毎月の住宅ローン返済額:11万6,000円
住宅ローンを支払った後に残る金額:約14万円
ここから食費・光熱費・通信費をまかない、さらに次の支出にも備える必要があります。
- 固定資産税(毎年発生)
- マンションなら管理費・修繕積立金(月2万〜3万円になることも珍しくありません)
- 戸建てなら屋根・外壁などの修繕費(数十万〜百万円単位で将来発生)
- 子どもの教育費(進学するほど増える)
- 自動車関連費・各種保険料
返済負担率35%はあくまで審査上の上限であって、現実的な適正額ではありません。
「年収の6倍」という目安の使い方
一般的に年収の6倍程度が無理のない借入額といわれます。年収400万円なら2,400万円、年収500万円なら3,000万円という簡易的な計算です(借入期間35年の場合。15年・20年など短期完済を目指す場合は当てはまりません)。
ただしこの倍率は、金利が変われば妥当性も変わります。低金利時代には「年収の6〜7倍でも返せる」といわれましたが、金利が上がった局面では同じ倍率でも毎月返済額は重くなります。倍率は入口の目安と割り切り、最終判断は必ず「毎月いくら返すのか」で行ってください。
具体的な借入可能額は、住宅金融支援機構や各金融機関のシミュレーションで、自分の年収・金利・借入期間を入れて試算するのが確実です。
年収400万円の住宅ローンについてよくある質問
Q.自動車ローンがあると借入可能額は減りますか?
減ります。【フラット35】では住宅ローン以外の自動車ローン・教育ローン・カードローン(キャッシング、分割払い・リボ払いを含む)も年間合計返済額に算入されます。申込み前に完済できる借入れは整理しておくのが有効です。
Q.返済負担率の上限まで借りても審査に通れば問題ないのでは?
審査に通ることと返し続けられることは別です。上限まで借りると、固定資産税・修繕費・教育費といった住宅ローン以外の住居関連費に耐えられなくなるおそれがあります。手取りベースで家計をシミュレーションしてください。
Q.頭金を用意すれば借入可能額は増えますか?
借入可能額そのものは年収と返済負担率で決まりますが、頭金を入れれば必要な借入額が減るため、購入できる物件価格の上限は上がります。【フラット35】では融資率が9割を超えると金利が高くなり、審査もより慎重になります。
Q.夫婦の収入を合わせて申し込めますか?
【フラット35】には収入合算の仕組みがあり、要件を満たせば合算できる場合があります(申込みできるのは連帯債務者を含めて2名までです)。詳しい要件は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。
Q.「審査金利」とは何ですか?
民間の銀行が返済負担率を判定するときに使う、実際の適用金利より高めに設定した金利のことです。将来の金利上昇に耐えられるかを見るためのもので、公表していない銀行もあります。変動金利の低さだけで借入可能額を見込まないようにしましょう。
まとめ
年収400万円の場合、返済負担率35%の上限は年間140万円・月約11万6,000円。ただしこれは審査上の天井であり、適正額ではありません。2026年7月時点の実測金利で見ると、全期間固定で3,000万円を借りれば毎月返済額はこの上限を超えてしまいます。金利が上がった今こそ、倍率ではなく毎月返済額で判断してください。
そのうえで、同じ借入額でも金利が低ければ毎月の負担は下がります。金利・諸費用・団信を横並びで比べ、自分の家計に合う組み合わせを選びましょう。当サイトでは各社の条件を比較しやすい形で掲載していますので、あわせてご覧ください。
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