
30代・40代は、住宅の購入と住宅ローンの返済がもっとも重なりやすい世代です。統計で見ると、この世代の家計が抱える負債の大半は住宅ローンであり、借入残高も他の世代を大きく上回ります。ここでは公的統計から実態を整理したうえで、金利の差が総返済額にどれだけ効くのかを試算で確認します。
データで見る30代・40代の借入実態
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」(二人以上の世帯・2026年5月19日公表)によると、負債を保有している世帯の割合は年齢階級によって大きく異なります。

二人以上の世帯全体では負債保有世帯の割合は37.5%ですが、世帯主が40歳未満の世帯は64.3%、40〜49歳の世帯は67.0%と、いずれも6割を超えています。40〜49歳はすべての年齢階級のなかで最も高く、40歳以上では年齢が上がるほど低くなっていきます。つまり30代・40代は、借入を抱えている人が多数派の世代ということです。
金額を負債保有世帯に限ってみると、次のようになります。
| 世帯主の年齢 | 負債保有世帯の割合 | 負債現在高(負債保有世帯) | うち住宅・土地のための負債 |
|---|---|---|---|
| 40歳未満 | 64.3% | 2,927万円 | 2,749万円 |
| 40〜49歳 | 67.0% | 2,212万円 | 2,078万円 |
| 50〜59歳 | 53.7% | 1,384万円 | 1,246万円 |
| 60歳以上 | 16.4% | 853万円 | 705万円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」(二人以上の世帯)。割合は各年齢階級の二人以上の世帯に占める負債保有世帯の割合。
注目したいのは「負債の中身」です。二人以上の世帯全体でみると、負債現在高675万円のうち住宅・土地のための負債が620万円と91.9%を占めます。40歳未満の負債保有世帯では、負債2,927万円のうち住宅・土地のための負債が2,749万円(約94%)。家計が抱える借入は、その大半が住宅ローンだと考えて差し支えありません。
「平均値」だけを見ると判断を誤る
統計を読むときに気をつけたいのが、平均値と中央値の違いです。中央値とは、金額の順に世帯を並べたときにちょうど真ん中に位置する世帯の値をいいます。
二人以上の世帯全体の負債現在高の平均は675万円ですが、これは負債がゼロの世帯(全体の6割超)も分母に含めた平均です。実際に負債を抱えている世帯だけでみると、負債現在高は平均1,802万円・中央値1,511万円で、平均値を下回る世帯が56.0%を占めます。
つまり、「平均◯◯万円だから自分もそのくらいで大丈夫」という読み方は危険です。住宅ローンを組む世帯に限れば借入額はもっと大きく、しかも世帯によって幅があります。参考にすべきは平均額ではなく、自分の収入・年齢・完済予定年齢から逆算した無理のない返済額です。
金利差が総返済額に与えるインパクト
住宅ローンは金額も期間も大きいため、わずかな金利差が総返済額を大きく動かします。4,000万円を35年・元利均等・ボーナス返済なしで借りた場合の概算は次のとおりです。
| 借入金利(全期間一定と仮定) | 毎月の返済額 | 総返済額 | 利息の合計 |
|---|---|---|---|
| 年1.000% | 約112,900円 | 約4,742万円 | 約742万円 |
| 年2.000% | 約132,500円 | 約5,565万円 | 約1,565万円 |
| 年3.000% | 約153,900円 | 約6,465万円 | 約2,465万円 |
※借入額4,000万円・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・金利は全期間一定と仮定した概算です。事務手数料・保証料・登記費用・火災保険料などの諸費用は含みません。実際の返済額は各金融機関のシミュレーションでご確認ください。

金利が年1.000%違うだけで、総返済額は800万円以上変わります。借入額が大きいほど、また期間が長いほど、この差は開きます。手続きの手間を惜しんで比較を省略すると、その差はそのまま自分の負担になります。
2026年8月時点の金利環境をどう見るか
ここ数年で前提が大きく変わりました。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を年1.0%程度で推移するよう促す方針を維持(据え置き)しました。6月会合で0.75%程度から1.0%程度へ引き上げた効果を見極める局面で、次回会合は2026年9月17日・18日に予定されています(日本銀行公式サイト・2026年8月1日確認)。
一方で、長期金利の上昇を受けて、2026年8月は固定金利を引き上げる金融機関の動きが報じられています。金利タイプごとに連動する指標が違うためです。
| 金利タイプ | 主に連動する指標 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| 変動金利 | 短期プライムレート(政策金利の影響を受ける) | 政策金利が据え置かれても、各行の基準金利改定のタイミングで適用金利が動くことがある |
| 固定期間選択型・全期間固定 | 長期金利(10年国債利回りなど) | 政策金利が据え置きでも、長期金利が上がれば引き上げられる |
実際に、SBI新生銀行が公表している2026年8月契約分の当初借入金利は、新規借り入れの変動金利(半年型)が年1.060%(借入金額が物件価格等の90%以内の場合の優遇金利)、当初固定金利(10年)が年3.050%となっています(同行公式サイト・2026年8月1日確認)。変動と当初10年固定で2%前後の開きがあることがわかります。
なお【フラット35】の金利は毎月第1営業日の正午ごろに更新されます。最新の適用金利は必ず住宅金融支援機構の公式ページでご確認ください。金利は各金融機関が毎月決定するため、本記事の数値も参考値として扱い、申込前に各社公式サイトで最新の条件を確認することをおすすめします。
提携ローンだけで決めない
住宅を購入するときには、不動産会社の提携住宅ローンをすすめられるのが一般的です。私(筆者)も住宅購入の際、提携ローンで申し込むのはなんて楽なんだ、と感じたことを鮮明に覚えています。書類の準備の多くを不動産会社と銀行が直接進めてくれるからです。
結果的に私は別の銀行の住宅ローンに申し込み、審査に通過したため提携住宅ローンは利用しませんでした。そのとき提携銀行の担当者に「他行と比べていて金利がかなり違うのでそちらにしようと思っている。御社の金利を同水準まで下げられますか」と聞いたところ、「その銀行の名前を出した方は、ほぼ確実にその銀行で借り入れます。あきらめます」という回答だったのが印象に残っています。
提携ローンには「手続きが速い」「審査の見通しが立ちやすい」といった実利があり、それ自体は選択肢として十分に合理的です。ただし比較せずに決めてしまうと、金利・事務手数料・団信の条件が自分に合っているかを確かめる機会を失います。上の試算のとおり、差は数百万円単位になり得ます。
30代・40代が住宅ローンを比較するときのチェックポイント
| 比較の観点 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 金利タイプ | 変動/固定期間選択型/全期間固定のどれを軸にするか | 返済期間が長い30代ほど、金利上昇局面の影響を受ける期間も長くなる |
| 適用金利 | 店頭(基準)金利ではなく、自分に適用される優遇後の金利 | 融資率(自己資金の割合)や申込方法で条件が変わる場合がある |
| 事務手数料 | 借入額に対する定率型か、定額型か | 定率型は借入額が大きいほど負担も増える。金利だけで比べない |
| 保証料 | 0円か、前払い(または金利上乗せ)か | 諸費用込みの総コストで比較する |
| 団信 | 一般団信の上乗せの有無、がん・疾病保障の上乗せ幅 | 保障を厚くすると金利が上乗せされる商品が多い |
| 繰上返済 | 手数料の有無、最低金額、ウェブで完結するか | 金利上昇局面では繰上返済のしやすさが効いてくる |
| 完済時年齢・借入期間 | 借入期間の上限と完済時年齢の上限 | 金融機関ごとに異なるため、40代は特に各社の商品概要で確認する |
諸費用まで含めた総コストで比べたい人にとっては、SBI新生銀行も検討に値する選択肢の一つです。保証料が0円、一部繰上返済手数料が無料で、一般団信は金利上乗せなし、全疾病保障付団信も選べます(がん団信は年0.1%上乗せ)。事務手数料は借入金額に対して2.20%(税込)の定率型で、借入期間は最長50年まで対応しています(変動金利・新規借り入れの場合。35年超は当初借入金利に年0.1%上乗せ)。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、比較検討時の判断材料になります。適用条件は変更されることがあるため、最新の内容は必ず公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 30代と40代で、住宅ローンの組み方は変わりますか。
A. 大きく変わるのは借入期間の取り方です。統計上も、40歳未満の負債保有世帯の負債現在高(2,927万円)は40〜49歳(2,212万円)より多く、若い世代ほど長期・高額で借りている傾向が読み取れます。40代は返済期間が短くなりやすいぶん毎月の返済額が上がりやすいため、借入額と完済時期のバランスをより慎重に置く必要があります。
Q. 平均に近い金額を借りれば安全ですか。
A. 平均額は「安全圏の目安」ではありません。負債保有世帯の負債現在高は平均1,802万円・中央値1,511万円で、平均値を下回る世帯が56.0%を占めます。平均は一部の大きな借入に引き上げられるため、自分の収入と支出から逆算した返済額で判断してください。
Q. 40代でも借入期間35年のローンは組めますか。
A. 借入期間の上限と完済時年齢の上限は金融機関ごとに異なります。取扱いの有無や条件は各金融機関の商品概要書・公式サイトでご確認ください。期間を延ばせば毎月の返済額は下がりますが、完済年齢が退職後に及ぶ場合は、退職金や繰上返済を含めた返済計画をあわせて考える必要があります。
Q. 借入額が大きいほど、金利差の影響も大きくなりますか。
A. はい。利息は「残高×金利」で生じるため、借入額が大きく期間が長いほど差が開きます。4,000万円・35年なら年1.000%の差で総返済額は約800万円変わります(上記試算)。逆に、借入額が小さく期間が短ければ、金利差より事務手数料などの初期費用の差が効いてくる場合もあります。
Q. 変動金利と固定金利は、どちらを選ぶべきですか。
A. 一律の正解はありません。変動は当初の返済額を抑えやすい一方で金利上昇のリスクを借り手が負い、固定は返済額が確定する代わりに当初金利は高くなる傾向があります。政策金利が据え置かれても長期金利の動きで固定金利が上がることがあるように、両者は別の指標で動きます。家計が金利上昇をどこまで吸収できるかを基準に判断し、シミュレーションで返済額が増えた場合も確認しておくと安心です。
まとめ
公的統計が示すのは、30代・40代は6割超の世帯が負債を抱え、その9割前後が住宅ローンだという事実です。そして金利が上昇局面にある今、金利・手数料・団信の条件差はこれまで以上に総返済額に効いてきます。手続きが面倒に感じられるのは自然なことですが、比較にかけた時間は、そのまま数百万円単位の差になり得ます。
