
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を受けられるのは、その年の合計所得金額が2,000万円以下の人です。会社員なら給与収入でおよそ2,195万円が境目で、これを超えた年はその年分の控除を受けられません。ただし翌年以降に2,000万円以下へ戻れば、残りの控除期間は再び使えます。
制度そのものは令和8年度税制改正で5年延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居が対象です。あわせて床面積要件と中古住宅の扱いが変わったため、以下では所得制限を軸に、2026年以降に入居する場合の要件を整理します(国土交通省「住宅ローン減税」、2026年9月確認)。
所得制限は合計所得金額2,000万円以下(年収ではない点に注意)
所得の上限は、かつての合計所得金額3,000万円以下から、2022年の税制改正で2,000万円以下へ引き下げられました。2026年以降の入居でも2,000万円以下のままです。
大切なのは、基準が「年収」ではなく「合計所得金額」だという点です。会社員は給与収入から給与所得控除を差し引いた「給与所得」がベースになります。給与所得控除は収入850万円超で195万円が上限のため、合計所得金額2,000万円は給与収入でおよそ2,195万円に相当します。
自営業(個人事業主)の方も同じで、基準は売上ではなく、経費を差し引いた事業所得などを合計した合計所得金額です。給与と副業、不動産所得などがある人は、すべて合算して判定します。
ある年に2,000万円を超えても、控除の権利がなくなるわけではありません。住宅ローン減税は控除期間(最長13年)の1年ごとに所得を判定するため、2,000万円以下に戻った年は再び控除を受けられます。購入後は毎年、年末調整や確定申告の手続きを忘れないようにしましょう。
もう一つの所得の線=合計所得1,000万円超は床面積50㎡以上が必要
所得が関係するのは2,000万円の上限だけではありません。令和8年度改正で、床面積要件は新築・中古とも40㎡以上に緩和されました。ただし合計所得金額が1,000万円を超える人と、子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せを使う人は50㎡以上が必要です。
つまり、合計所得1,000万円超〜2,000万円以下の人が40㎡台のコンパクトな住宅を買うと、控除を受けられない点に注意が必要です。床面積は登記簿の表示で判定するため、マンションでは広告の面積(壁芯)より小さくなることがあります。
住宅ローン減税のそのほかの主な適用条件
- 主として自分が住むための住宅で、引き渡し(工事完了)から6か月以内に入居すること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- 中古(既存)住宅は1982年(昭和57年)以降に建築された新耐震基準の住宅であること。それより古い場合は耐震基準適合証明書などで現行の耐震基準を満たすことを証明すれば対象
- 中古住宅は、生計を一にする親族などからの取得や、贈与による取得でないこと
以前は「中古は築20年(耐火建築物は築25年)以内」という築年数要件がありましたが、2022年の改正で撤廃され、新耐震基準かどうかで判断するようになりました。古い情報の築年数条件をそのまま信じないよう注意してください。
2026年入居の控除額は「年末残高×0.7%」、限度額は省エネ性能で決まる
控除額は「年末のローン残高(借入限度額が上限)×0.7%」で、所得税から差し引き、引ききれない分は一部を翌年の住民税から差し引きます。借入限度額と控除期間は、住宅の省エネ性能と新築・中古の別で次のように分かれます。
| 住宅の区分 | 新築・未入居(借入限度額/期間) | 中古(借入限度額/期間) |
|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円(5,000万円)/13年 | 3,500万円(4,500万円)/13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(4,500万円)/13年 | 3,500万円(4,500万円)/13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(3,000万円)/13年 | 2,000万円(3,000万円)/13年 |
| その他の住宅 | 原則対象外(2023年末までに建築確認を受けたもの等は2,000万円/10年) | 2,000万円/10年 |
※( )内は子育て世帯(19歳未満の扶養親族がいる人)・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)の上乗せ後の限度額。所得要件はすべての区分で合計所得金額2,000万円以下です(国土交通省:新築住宅の場合/既存住宅の場合、2026年9月確認)。
今回の改正で大きく変わったのは中古住宅です。省エネ性能の高い中古住宅は借入限度額が引き上げられ、控除期間も13年に延びました。一方、新築の省エネ基準適合住宅は、2028年以降に建築確認を受けるものは対象外とされました(登記簿上の建築日が2028年6月30日までのものは対象)。
控除を最大まで受けられるかは、所得税・住民税の納税額にも左右されます。制度の使い方をFPの目線で解説した女性FPが解説する住宅ローン控除で得する方法や、贈与税の非課税・補助金との組み合わせをまとめた2026年に使える住宅取得の優遇策と期限もあわせてご覧ください。
控除率0.7%と住宅ローン金利の関係
控除率は0.7%です。単純化すると、住宅ローンの適用金利が0.7%を下回るなら、その年に払う利息より控除額のほうが大きくなる「逆ざや」に近い状態が起こり得ます。ただし実際の控除額は年末残高・借入限度額・その人の納税額の範囲で決まるため、必ず利息を上回るわけではありません。
日本銀行は2026年9月18日の会合で短期の政策金利を1.25%程度へ引き上げました(日本銀行の公表資料)。変動金利でも0.7%を上回る商品が増えており、「逆ざや」を前提にした借り方は成り立ちにくくなっています。控除額だけで判断せず、金利や諸費用を含めた総返済額で比べることが大切です。
10年固定金利比較表/
| No | 銀行名 | 10年固定金利 | 特徴やメリット |
|---|---|---|---|
| 1 | SBI新生銀行 | 3.230%※1 | 保証料無料。10年経過以降の金利も魅力。 |
| 2 | ソニー銀行(固定セレクト) | 年3.577% | 金利の低さに力を入れた固定セレクト住宅ローンに注目! ※2023年11月1日からのお借り入れ分について、新規購入での物件の購入価格を超えてお借り入れの場合は、金利が年0.05%上乗せになります |
| 3 | イオン銀行 | 年3.650% | イオンなどでの買い物がいつでも5%オフになるサービスは他行では決してまねできない。 |
| ※この表の金利は定期的に更新されるため、記事本文と更新タイミングが異なる場合があります。 | |||
※1 自己資金10%以上の場合
※2 物件価格の80%以下で住宅ローンをお借入れの場合。審査結果によっては金利に年0.1%~年0.30%上乗せとなる場合があります、借入期間を35年超でお借り入れいただく場合は、ご利用いただく住宅ローン金利に年0.15%が上乗せとなります。
よくある質問(FAQ)
Q. 住宅ローン減税の所得制限「合計所得金額2,000万円」は年収でいくらですか?
A. 給与のみの会社員なら、給与収入でおよそ2,195万円です。給与以外の所得がある場合は合算して判定するため、年収がこれより低くても超えることがあります。
Q. 夫婦で住宅ローンを組む場合、所得制限は世帯合算ですか?
A. いいえ。所得制限は控除を受ける人ごとに判定します。ペアローンや連帯債務で夫婦それぞれが控除を受ける場合は、各自の合計所得金額が2,000万円以下かどうかを見ます。
Q. 控除率は今も1%ですか?
A. いいえ。2022年の税制改正で1%から0.7%に引き下げられ、2026年以降の入居も0.7%です。古い情報では1%と書かれていることがあるので注意しましょう。
Q. 2026年に中古マンションを買った場合、控除期間は何年ですか?
A. 長期優良住宅・ZEH水準・省エネ基準適合などの証明がある中古住宅は13年、それ以外の中古住宅は10年です。省エネ性能の証明書類は取得前後の期限があるため、売買の段階で確認しておきましょう。
住宅ローンの金利や諸費用は金融機関ごとに差があります。複数行を横並びで比べたい方は、当サイトの住宅ローン金利・借り換えランキングもあわせてご覧ください。税制の細かな要件は入居年や個別の事情で変わるため、最終的には国税庁・国土交通省の公式情報や税務署でご確認ください。
