省エネ住宅の取得と優遇制度の手続きをイメージしたイラスト

すまい給付金は、いま家を買っても受け取れません。申請受付はすでに終了しており、住宅ローン減税とセットで語られていたのは過去の話です。2026年9月時点で住宅取得に使える国の優遇策は、住宅ローン減税・住宅取得等資金の贈与税非課税・みらいエコ住宅2026事業の3本です。

このうち贈与税の非課税措置だけは、対象が2026年12月31日までの贈与で、年内に動くかどうかで結論が変わります。制度は数年ごとに姿を変えるため、以下はすべて公的機関の一次情報にもとづいて整理しました。

3つの優遇策の早見表(2026年9月時点)

制度内容期限・状況
住宅ローン減税年末のローン残高の0.7%を所得税(控除しきれない分は住民税の一部)から控除令和12年(2030年)12月31日までの入居が対象(令和8年度税制改正で5年延長)
贈与税の非課税措置
(住宅取得等資金)
父母・祖父母からの住宅資金の贈与が、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外なら500万円まで非課税令和8年(2026年)12月31日までの贈与が対象=残り約3か月
みらいエコ住宅2026事業
(現行の補助制度)
省エネ性能の高い新築住宅・省エネリフォームへの補助。GX志向型住宅は110万円/戸(寒冷な1〜4地域は125万円/戸)2026年度の事業として実施中。予算上限(GX志向型750億円/その他1,450億円)に達した時点で受付終了
すまい給付金消費増税の負担軽減として現金を給付(最大50万円・実施当初は最大30万円)終了。平成26年4月から令和3年12月まで(一部は令和4年12月まで)実施され、申請受付は終了済み

出典:国土交通省「住宅ローン減税」/国税庁 タックスアンサー No.4508/国土交通省「みらいエコ住宅2026事業について」/すまい給付金 公式サイト(いずれも2026年9月確認)

住宅ローン減税は2030年末入居まで延長済み

住宅ローン減税は、年末時点のローン残高の0.7%が所得税から控除される制度です。所得税で控除しきれない分は、住民税からも一定額まで控除されます。令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、令和8年(2026年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日までに入居した場合に適用されます(出典:国土交通省 報道発表)。所得要件や控除の上限については住宅ローン減税の所得制限・上限でも整理しています。

2026年入居からの主な変更点

  • 省エネ性能の高い既存住宅(中古)への支援が拡充。借入限度額が引き上げられ、控除期間が10年から13年に拡充されました。子育て世帯・若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せ措置も新設されています。
  • 床面積要件が40㎡以上に緩和(新築・既存とも)。ただし合計所得金額が1,000万円を超える人、および子育て世帯等への上乗せ措置を使う人は50㎡以上が必要です。
  • 令和10年(2028年)以降に建築確認を受ける「省エネ基準適合住宅」は適用対象外(登記簿上の建築日付が令和10年6月30日までのものは対象)。省エネ性能の底上げが前提になります。
  • 令和10年以降に入居する場合、土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンにある新築住宅は適用対象外(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。

共通の主な要件

  • 減税を受ける本人が主として居住する家屋であること
  • 住宅の引き渡しまたは工事完了から6か月以内に入居すること
  • 借入金の償還期間が10年以上であること
  • 店舗等併用住宅の場合、床面積の1/2以上が居住用であること

控除の上限となる「借入限度額」は、住宅の省エネ性能(認定長期優良住宅・低炭素住宅/ZEH水準省エネ住宅/省エネ基準適合住宅)と、子育て世帯・若者夫婦世帯かどうかで細かく分かれます。金額は改正のたびに動くため、ご自身の区分の限度額は国土交通省の適用要件確認チャートで確認してください。

「秋の税制論議で廃止される」という話ではない

2026年秋は臨時国会の召集が10月上旬で調整されており、税制の議論が動いています。食料品の消費税率引き下げなどが報じられていますが、住宅ローン減税は令和12年(2030年)12月31日入居まで延長する改正がすでに成立済みです。「住宅ローン控除が廃止される」という前提で購入時期を前倒しする必要はありません。一方、次の贈与税非課税のように期限が今年末の制度は、延長されるかどうかが今後の税制改正の結論待ちです。報道の段階(要望・党の了承・閣議決定・法案成立・施行)を混同せず、決まった内容だけで判断してください。

「金利負担が実質ゼロ」はもう成り立たない

かつては「変動金利が0.5%前後なのに、控除率は1%。だから金利負担は実質ゼロ(むしろプラス)」という説明が成り立ちました。しかし現在は控除率が0.7%に引き下げられ、日銀の政策金利は年1.0%程度(2026年6月16日決定)まで上がり、住宅ローンの変動金利も年1%前後の水準へ上昇しています(当編集部が2026年9月1日に各行公式の金利ページで確認)。

借入金利が控除率0.7%を上回る局面では、「減税額が支払利息を上回る」といういわゆる逆ざやは起きにくくなります。住宅ローン減税は依然として大きな支援策ですが、「減税があるから多めに借りたほうが得」という発想は現在の金利水準では通用しません。借入額は返済能力から逆算してください。

贈与税の非課税措置は「2026年12月31日まで」=残り約3か月

父母・祖父母など直系尊属から住宅取得等の資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。非課税限度額は、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の住宅で500万円です(出典:国税庁 タックスアンサー No.4508)。

現行制度の対象は、令和6年(2024年)1月1日から令和8年(2026年)12月31日までの贈与です。2026年9月時点で残りは約3か月。今年に住宅取得を予定していて親や祖父母からの資金援助を受ける可能性があるなら、贈与のタイミングを年内に置けるかどうかを先に確認してください。制度の背景と限度額の変遷は住宅取得等資金の贈与税 非課税の特例にまとめています。

主な要件(受贈者側)

  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の場合は1,000万円以下)であること
  • 住宅の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、その1/2以上が受贈者の居住用であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに全額を住宅の新築等に充て、居住する(または居住が確実と見込まれる)こと
  • 配偶者や親族など特別の関係がある人から住宅を取得したものでないこと

注意:非課税の枠内におさまる場合でも、贈与税の申告は必要です。贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、必要書類を添えて申告してください(申告を忘れると特例が使えません)。

いま使える補助金は「みらいエコ住宅2026事業」

すまい給付金は、消費税率引き上げの負担軽減を目的に、収入が一定以下の人へ現金を給付する制度でした。平成26年4月から令和3年12月まで(一定期間内に契約した場合は令和4年12月まで)実施され、申請受付はすでに終了しています(出典:すまい給付金 公式サイト)。制度の経緯はすまい給付金の解説記事も参照してください。

現在の補助制度は、国土交通省・経済産業省・環境省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」の一つ「みらいエコ住宅2026事業」です。前身の「子育てグリーン住宅支援事業」から名称と要件が変わっており、ここが混同されやすいポイントです。押さえておきたい点は4つあります。

  • GX志向型住宅は110万円/戸。寒冷な1〜4地域では125万円/戸に加算されます(寒冷地加算は2026年事業からの変更点)。
  • 長期優良住宅・ZEH水準住宅(賃貸住宅を除く)の新築は、子育て世帯・若者夫婦世帯が対象。世帯要件を満たさない場合、この区分では申請できません。
  • 申請するのは施主本人ではなく、登録事業者(ハウスメーカー・工務店等)です。すまい給付金との最大の違いがここで、契約前に事業者が登録済みかを確認する必要があります。
  • 予算上限(GX志向型750億円/その他1,450億円)に達すると受付が終了します。交付申請は期を分けて受け付けられるため、最新の受付状況を必ず確認してください。

補助額・対象要件・受付状況の詳細はみらいエコ住宅2026事業 公式サイトおよび国土交通省の解説ページに掲載されています。

住宅ローン減税と贈与税非課税は「併用できる」

国土交通省は、住宅ローン減税と住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は併用可能としています(一方で、認定住宅等新築等特別税額控除=投資型減税や、居住用財産の譲渡所得の特別控除とは併用できません)。

ただし実務では、次のトレードオフがあります。贈与を受けた資金を頭金に充てれば借入額が減り、その分だけ住宅ローン減税の控除額(年末残高×0.7%)も小さくなります。金利が年1%前後まで上がった現在は、「借入を減らして利息を抑える」効果のほうが大きくなるケースが多く、かつての「あえて多く借りて減税を取る」考え方は再検討が必要です。判断に迷う場合は、税理士やファイナンシャルプランナーへの相談も検討してください。

よくある質問

Q. いま家を買う場合、すまい給付金は受け取れますか?

A. 受け取れません。すまい給付金は申請受付を終了しています。現在の補助制度は「みらいエコ住宅2026事業」で、対象は省エネ性能の高い新築住宅や省エネリフォームです。

Q. 中古住宅でも控除期間は13年になりますか?

A. 2026年(令和8年)入居分からは、省エネ性能の高い既存住宅であれば13年に拡充されました。省エネ基準に適合しない既存住宅などは従来どおり10年です。

Q. 40㎡台のマンションでも住宅ローン減税は使えますか?

A. 使えます。床面積要件は40㎡以上に緩和されました(新築・既存とも)。ただし合計所得金額が1,000万円を超える人と、子育て世帯等への上乗せ措置を利用する人は50㎡以上が必要です。

Q. 贈与を年内に受ければ、入居は来年でも間に合いますか?

A. 非課税の対象になるのは2026年12月31日までの贈与ですが、それだけでは足りません。贈与を受けた年の翌年3月15日までに全額を住宅の新築等に充て、居住する(または居住が確実と見込まれる)ことが要件です。年末ぎりぎりの贈与は資金の充当と入居のスケジュールが厳しくなるため、着工・引き渡し時期から逆算して決めてください。

Q. 贈与の非課税枠は、夫婦それぞれで使えますか?

A. 非課税限度額は「贈与を受けた人(受贈者)ごと」に判定されます。夫が自分の親から、妻が自分の親から、それぞれ要件を満たして贈与を受ければ、それぞれで枠を使えます。ただし持分の登記や資金の充当方法を誤ると要件を外れるため、事前に税務署や専門家へ確認してください。

Q. 減税を最大化するために借入額を増やすべきですか?

A. おすすめしません。控除率は0.7%である一方、足元の借入金利は変動でも年1%前後です。減税額より支払利息のほうが大きくなりやすく、「借りすぎ」は純粋に負担増になります。優遇策は「取得を後押しする材料」であって、「多く借りる理由」ではありません。

まとめ

2026年9月に有効な優遇策は、住宅ローン減税(控除率0.7%・2030年末までの入居が対象)、住宅取得等資金の贈与税非課税(2026年12月31日までの贈与・最大1,000万円)、みらいエコ住宅2026事業(省エネ住宅への補助・GX志向型は110万円/戸)の3本柱です。すまい給付金は終了しており、いま新たに申請することはできません。

優先順位をつけるなら、期限が今年末の贈与税非課税がいちばん時間の制約が強く、次に予算上限のある補助金、住宅ローン減税は2030年末入居まで残るという順です。金利が上がった局面では、減税で取り返せる幅は控除率0.7%の範囲にとどまります。まずは金利・諸費用の条件が良い住宅ローンを選び、そのうえで使える制度を漏れなく使うという順番が合理的です。諸費用の分かりやすさで比較するなら、保証料・一部繰上返済手数料・一般団信の上乗せがいずれも0円のSBI新生銀行のような選択肢も候補に入れて、横並びで検討してみてください。

制度の要件・限度額・期限は改正で変わります。申込・契約の前に、必ず国土交通省・国税庁の公式情報で最新の内容をご確認ください。

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