
2009年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅普及法)は、戸建て住宅やマンションの寿命を延ばすことで、住宅の解体やそれに伴う廃棄物の排出を抑え、環境への負荷を低減することを目的としています。
日本では長らく新築志向が強く、中古住宅市場の活性化が課題とされてきました。住宅の寿命を延ばすことには、中古住宅の売買やリフォームを活性化させる狙いもあります。
長期優良住宅の認定に必要な主な条件は、耐震性、劣化対策(耐久性能)、維持管理・更新の容易性、住戸面積、省エネルギー性、居住環境、維持保全計画などです。これらの条件を所管行政庁が審査し、認定を受けることで「認定長期優良住宅」となります。施行直後は新築住宅だけが対象でしたが、2016年4月からは既存住宅の増改築(リフォーム)も対象になっています。

ここでは、認定長期優良住宅・マンションの認定を受けることで得られるメリットを、最新の制度にもとづいて整理します。※税制・優遇制度は改正で内容や適用期限が変わります。本記事は2026年6月時点の情報です。最新の数値・適用条件は国税庁・国土交通省の公式サイトで必ずご確認ください。
認定長期優良住宅のメリット①「住宅ローン控除(減税)枠の拡大」
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高に控除率0.7%を掛けた金額を、所得税(控除しきれない分は翌年の住民税の一部)から差し引ける制度です。2022年の改正で控除率は従来の1%から0.7%に変わり、対象となる借入限度額が住宅の省エネ性能によって決まる仕組みになりました。
新築の場合、性能の高い住宅ほど借入限度額が大きく、認定長期優良住宅は最も手厚い枠が用意されています。控除期間は新築の認定住宅で13年間です。
- 認定長期優良住宅(新築):借入限度額は子育て世帯・若者夫婦世帯で最大5,000万円(その他の世帯は4,500万円)。たとえば5,000万円なら年間の控除上限は5,000万円×0.7%=35万円、13年間で最大455万円程度(4,500万円なら約409.5万円)が目安です。
- 省エネ基準を満たさない一般的な新築住宅:2024年以降の入居では原則として住宅ローン控除の対象外です(2023年末までに新築の建築確認を受けた場合のみ、借入限度額2,000万円・控除期間10年で利用可)。
なお、いずれも実際に控除される額はその年の所得税・住民税の範囲内が上限で、借入限度額を超える残高分は控除対象になりません。控除を受けるには所得要件(合計所得金額2,000万円以下)などの条件もあります。世帯区分や入居年によって借入限度額は変わるため、最新の枠は国税庁の公式情報でご確認ください。
認定長期優良住宅のメリット②「各種税金の軽減」
認定長期優良住宅は、購入時・保有時にかかる税金についても一般住宅より手厚い軽減を受けられます(いずれも適用期限のある特例で、最新は国土交通省の公式情報をご確認ください)。
1. 登録免許税の軽減
所有権保存登記の税率は0.1%(一般住宅特例は0.15%)、所有権移転登記は戸建てで0.2%(一般は0.3%)・マンションで0.1%に軽減されます。
2. 不動産取得税の控除額の上乗せ
課税標準から差し引ける控除額が1,300万円(一般の新築住宅は1,200万円)に拡大されます。税率3%で2,000万円の住宅なら、(2,000万円−1,300万円)×3%=21万円となり、一般住宅((2,000万円−1,200万円)×3%=24万円)より3万円軽くなります。
3. 固定資産税の軽減期間の延長
新築住宅の固定資産税が2分の1に軽減される期間が長くなります。戸建ては5年間(一般は3年間)、マンションは7年間(一般は5年間)まで延長されます(床面積120㎡相当部分まで)。
認定長期優良住宅のメリット③「フラット35の金利引き下げ」
長期優良住宅の認定を受けると、全期間固定金利型の【フラット35】で金利引き下げメニューを利用できます。かつては「フラット35Sで当初一定期間 年0.3%(後に0.25%)引き下げ」という形でしたが、現在はポイント制の金利引下げメニューに変わっています。
住宅性能に応じた【フラット35】S(ZEH=3ポイント/金利Aプラン=2ポイント/金利Bプラン=1ポイント)に、長期優良住宅向けの維持保全型(1ポイント)や子育て世帯向けの子育てプラスなどを組み合わせ、合計ポイント数に応じて引き下げ期間と引き下げ幅が決まります。たとえば組み合わせ次第で当初5年間 最大 年▲1.000%(その後は引き下げ幅が縮小)といった優遇も可能です。引き下げ幅・期間は住宅性能と組み合わせで変わるため、最新は住宅金融支援機構【フラット35】の公式サイトでご確認ください。
なお【フラット35】は申込時ではなく借入(融資実行)時の金利が適用される点に注意が必要です。固定金利の原資となる長期金利の上昇を受け、2026年6月時点のフラット35(買取型)の金利は過去最高水準にあります。引き下げメニューを使えても、ベースの金利水準は時点によって変わるため、最新の適用金利を必ず確認しましょう。
認定長期優良住宅と一般住宅の優遇を比較
主な税制優遇を一般住宅と並べると、認定長期優良住宅の手厚さがひと目で分かります。
| 優遇制度 | 認定長期優良住宅 | 一般住宅 |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除の借入限度額(新築) | 最大5,000万円(子育て・若者夫婦世帯/その他は4,500万円)・控除率0.7%・13年 | 省エネ基準を満たさない新築は原則対象外 |
| 登録免許税(所有権保存登記) | 0.1% | 0.15% |
| 登録免許税(所有権移転登記・戸建て) | 0.2% | 0.3% |
| 不動産取得税の控除額 | 1,300万円 | 1,200万円 |
| 固定資産税1/2軽減(戸建て) | 5年間 | 3年間 |
| 固定資産税1/2軽減(マンション) | 7年間 | 5年間 |
認定を受けるには着工前の申請や審査の手間・費用がかかりますが、住宅ローン控除や各種税金の軽減、フラット35の金利引き下げを総合すると、長く住むほどメリットが大きくなりやすい住宅といえます。
よくある質問(FAQ)
Q. 認定長期優良住宅にするには費用がかかりますか?
A. 認定申請のための図書作成や審査の手数料がかかり、性能を満たすための建築コストも一般住宅より高くなる場合があります。税制優遇や金利引き下げのメリットと、追加コストを総合して判断するのがおすすめです。
Q. マンションでも認定長期優良住宅になりますか?
A. なります。戸建てと同様に住宅ローン控除や税金の軽減を受けられ、固定資産税の2分の1軽減期間は戸建ての5年に対しマンションは7年と、より長く設定されています。
Q. 住宅ローンはフラット35しか使えませんか?
A. いいえ。フラット35の金利引き下げは認定住宅ならではのメリットですが、民間銀行の変動金利・固定金利の住宅ローンも利用できます。たとえば諸費用が分かりやすく保証料無料のSBI新生銀行など、各行の金利・団信・手数料を横並びで比較し、自分に合った住宅ローンを選ぶとよいでしょう。
