
自宅の建て替えや住み替え、リフォームなどをしたい60歳以上の方を対象に、土地・建物を担保として融資する「住宅担保型ローン」の取り扱いが、地方銀行や大手銀行を中心に広がっています。ここでは代表的な仕組みと、利用前に押さえておきたい注意点を整理します。
これらのローンは、毎月の返済を利息のみに抑え、借りた本人が亡くなったときに、相続人が自宅の売却などによって元金を一括返済する仕組みが中心です。存命中に全額を返し切るというより、最終的に自宅を換価して精算することを想定した商品といえます。「自分の死後は自宅を売却してよい」と考える方にとっては、選択肢になり得ます。
高齢者向け 住宅担保型ローンの主なタイプ
① リ・バース60(住宅金融支援機構の住宅融資保険を活用)
満60歳以上を対象に、多くの金融機関が住宅金融支援機構の住宅融資保険を活用して提供しているリバースモーゲージ型住宅ローンが「リ・バース60」です。毎月の支払いは利息のみで、借入者が亡くなったときに担保物件の売却などで元金を返済します。返済後に残った債務を相続人が負わない「ノンリコース型」を選べる金融機関もあります。2025年1月6日からは全期間固定金利タイプも導入されました。取扱金融機関や融資限度額・金利は各行で異なるため、最新の一覧は住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください。
② マイホーム借上げ制度(JTI=移住・住みかえ支援機構)
一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)の制度を活用したもので、自宅を貸し出して得られる家賃収入を返済の原資とする考え方です。JTIが自宅を借り上げ、空室時にも一定の賃料が保証される点が特徴です(原則50歳以上が対象)。資金使途は事業・投資以外で比較的自由なため、住み替えや生活資金に充てられることもあります。
③ リバースモーゲージ(都市銀行などが提供)
自宅を担保に融資を受け、リバースモーゲージと呼ばれる商品も、都市銀行を中心に取り扱いが広がっています。こちらも資金使途は事業・投資以外で自由なことが多く、生活資金などに活用されるケースがあります。

3つのタイプの違い(早見表)
| 比較の観点 | リ・バース60 | マイホーム借上げ制度(JTI) | リバースモーゲージ(都市銀行等) |
|---|---|---|---|
| 返済・資金化の考え方 | 自宅を担保に融資、亡くなったときに売却等で一括返済 | 自宅を貸し出し、家賃収入を原資に活用 | 自宅を担保に融資、最終的に売却等で精算 |
| 対象年齢の目安 | 満60歳以上 | 原則50歳以上 | 各行の定めによる(多くはシニア層) |
| 主な提供元 | 住宅金融支援機構の保険を使う金融機関 | JTI(移住・住みかえ支援機構) | 都市銀行・一部の地方銀行など |
| 資金使途 | 住み替え・リフォーム・借換えなど(商品により異なる) | 事業・投資以外で比較的自由 | 事業・投資以外で自由なことが多い |
※商品内容・条件は金融機関ごとに異なります。最新の取り扱いは各金融機関・各機構の公式サイトでご確認ください。
利用前に押さえておきたい注意点
住宅を担保としたローンには、次のような留意点があります。
1. 担保価値の下落リスク。市況が悪化して担保評価額が大きく下がると、自宅を売っても返済しきれず追加負担を求められる場合があります(残債を相続人が負わないノンリコース型を選べる商品もあります)。
2. 相続人への影響。借りた本人が亡くなった後、返済や物件処分を相続人が担うことになります。家族への十分な説明はもちろん、法定相続人の同意・説明を前提とする金融機関もあります。
3. 金利・諸費用。銀行側の保険料や手数料の負担もあり、一般的な住宅ローンより金利が高めになる傾向があります。
よくある質問(FAQ)
Q. リ・バース60とリバースモーゲージは何が違いますか?
いずれも「自宅を担保に、亡くなったときに精算する」点は共通ですが、リ・バース60は住宅金融支援機構の住宅融資保険を活用した仕組みで、多くの金融機関が同じ枠組みで提供しています。個別の商品名で提供されるリバースモーゲージは、対象年齢・資金使途・限度額などが金融機関ごとに異なります。
Q. 毎月の返済はどうなりますか?
リ・バース60などでは、毎月の支払いは利息のみで、元金は契約者が亡くなったときに担保物件の売却などで返済するのが一般的です。
Q. 亡くなった後、相続人に借金は残りますか?
ノンリコース型を選べる商品では、売却しても返済しきれなかった残債を相続人が負う必要はありません。リコース型では残債の負担が生じ得ます。どちらを選べるかは金融機関によって異なります。
高齢者向けの住宅担保型ローンは、住み替えやリフォーム、老後の資金計画の選択肢になり得る一方で、家族への影響や金利など確認すべき点も多い商品です。複数の金融機関の商品を比較し、家族とよく相談したうえで検討することをおすすめします。
