
新築の戸建てに太陽光発電を載せると、その設備費用の分だけ借入額が増えます。「返済負担率が上限に引っかかって希望額まで借りられない」——太陽光を検討する人がぶつかりやすいのがこの壁です。
そこで押さえておきたいのが、住宅に設置した太陽光発電の売電収入を、住宅ローン審査の年収に加算できる仕組みです。全期間固定金利の【フラット35】には、この取扱いが制度として用意されています(住宅金融支援機構の公式ページ・2026年4月1日更新)。
【フラット35】は売電収入を年収に加算できる
住宅金融支援機構は「融資対象住宅に設置する太陽光発電の売電収入を年収に加算できます」と明記しています。加算できるのは、融資の対象となる太陽光発電設備で得られる売電収入のうち、機構が定める計算基準で算出した金額です。
| 項目 | 取扱いの内容 |
|---|---|
| 対象となる融資 | 新築住宅の建設融資/新築住宅の購入融資/中古住宅の購入に併せてリフォーム工事を行う場合の融資(いずれも共同建て住宅を除く。中古+リフォームは新規に太陽光発電設備を設置する場合に限る) |
| 対象となる設備 | 融資対象住宅の屋根・外壁・住宅用カーポートに固定して設置されるもの。融資対象外の設備で発電した電力の売電収入は加算できない |
| 加算できる金額 | 機構の計算基準で算出した金額。上限額は発電出力(kW数)に応じて異なる(機構が定める売電収入の上限額表による) |
| 注意点 | 固定価格買取制度(FIT)が変更された場合、加算の取扱いが見直されることがある。併用住宅・併存住宅は対象設備の範囲や加算できる金額の範囲が異なる |
※【フラット35(リフォーム一体型)】は2020年12月末で借入申込みの受付を終了しています。中古住宅の取得と併せてリフォームを行う場合は【フラット35】リノベの利用を検討することになります。
申込みの手続きと必要書類
売電収入を年収に加算する場合、通常の書類に加えて提出物が増えます。とくに契約時の書類は発行に時間がかかるものがあるため、早めの準備が肝心です。
| タイミング | 提出書類 |
|---|---|
| 借入れの申込み時 | 借入申込書に加えて「売電収入見込み申請書」(住宅金融支援機構の書式) |
| 借入れの契約時 | ①電力受給に関する契約の申込書(写)②①を電力会社が承諾したことを証する書類(写)③再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の事業計画の認定を証する書面(写)(JPEA代行申請センターまたは経済産業省発行) |
発電出力が25kW以上の設備を設置する場合や審査上必要な場合は、これら以外の書類を求められることがあります。また、契約時に必要書類がそろわないと資金を受け取れず、つなぎ融資が必要になることがあります(つなぎ融資は取扱金融機関等のローン)。とくに③の認定書面は発行までに時間を要するため、発行予定日を早めに確認しておきましょう。
2026年度の売電価格(10kW未満)を確認しておく
加算できる売電収入の見込みは、FIT(固定価格買取制度)の調達価格が前提になります。資源エネルギー庁が公表している2026年度の住宅用太陽光発電(10kW未満)の調達価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWh(調達期間は10年間)です。これは投資回収の早期化を図る「初期投資支援スキーム」によるもので、2025年度下半期にも同じ価格が適用されています。

参考までに、2025年度の上半期(4〜9月)は一律15円/kWhでした。前半に手厚く・後半は低くという価格構成に変わっているため、「売電収入が10年間ずっと同じ」という前提で試算すると実態と合いません。買取価格は年度ごとに見直されますので、最新の価格は資源エネルギー庁の公式ページでご確認ください。
民間の住宅ローンではどう扱われる?
売電収入を年収に加算できるかどうかは、民間の住宅ローンでは金融機関ごとに取扱いが異なります。制度として公表しているケースは限られるため、太陽光の売電収入を審査に反映してほしい場合は、申し込む金融機関に個別に確認するのが確実です。
一方、「太陽光発電の設置費用を住宅ローンに組み込めるか」という論点は、公表している銀行があります。例えばauじぶん銀行は、公式のよくあるご質問で「自家消費型のソーラーシステムに限り、融資対象物件の屋根へ設置する場合はお借入金額に含めて申し込める(事業用は取扱い不可)」と案内しています。またみずほ銀行のリフォームローンのように、太陽光発電設備の設置に利用できる無担保ローン(返済期間最長15年)を用意している銀行もあります。
なお、住宅ローンに組み込む(低金利・長期)のか、ソーラーローンやリフォームローンを別に組む(金利は高めだが住宅ローンの審査枠を圧迫しにくい)のかで、総支払額も審査への影響も変わります。設備費用が数百万円規模になることを踏まえ、両方の条件で試算して比べてください。
【フラット35】で借りる場合に押さえておきたい点
【フラット35】の借入金利は取扱金融機関ごとに異なります。参考までに、住宅金融支援機構が公表した2026年8月資金受取分の【フラット35】(新機構団信付き・返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下)で最も多い借入金利は年3.290%で、7月の年3.140%から0.150%上昇しました。全期間固定なので、借入額が増えても返済額が将来ぶれない点は、太陽光の設備費用を上乗せする人にとって判断材料になります。
また、太陽光発電設備は【フラット35】Sの省エネルギー性の基準など、金利引下げメニューの検討材料にもなります。適用の可否は住宅全体の性能で決まるため、施工会社と機構の技術基準を照らし合わせて確認してください。
よくある質問
Q. 売電収入は、そのまま全額を年収に足せますか?
A. いいえ。機構が定める計算基準で算出した金額で、上限額は発電出力(kW数)に応じて決まっています。実際に加算できる額は取扱金融機関にご確認ください。
Q. すでに建っている家に後から太陽光を載せる場合も対象ですか?
A. 対象となるのは新築住宅の建設・購入融資と、中古住宅の購入に併せてリフォーム工事を行う場合の融資です。すでにお住まいの住宅への後付けだけを目的とした資金は【フラット35】の対象ではありませんので、リフォームローンやソーラーローンの利用を検討することになります。
Q. 買取価格が下がったら、加算の取扱いも変わりますか?
A. 機構は「固定価格買取制度が変更された場合、売電収入を年間収入に加算する取扱いについて見直すことがある」と注記しています。申込み時点の最新の取扱いを必ず確認してください。
Q. マンションでも使えますか?
A. 対象融資からは共同建て住宅が除かれています。戸建てが前提の仕組みと考えてください。
まとめ
太陽光発電の設備費用は借入額を押し上げますが、【フラット35】には売電収入を年収に加算できる制度があり、審査上の余力をつくれる可能性があります。ポイントは①対象となる融資・設備の条件を満たすこと ②売電収入見込み申請書と電力会社・事業計画認定の書類を早めにそろえること ③2026年度の買取価格(1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWh)を前提に無理のない返済計画を立てることの3つです。
民間の住宅ローンと比べる場合は、金利だけでなく諸費用まで含めて並べてください。たとえばSBI新生銀行は事務手数料が借入金額の2.20%(税込)の定率型で、保証料と一部繰上返済手数料は0円。一般団信に加えて全疾病保障付団信も金利の上乗せなしで付帯でき、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しています。太陽光の設備費用を上乗せして借入額が大きくなるほど、諸費用の差は総額に効いてきます。
制度・買取価格・各行の取扱いは改定されることがあります。最新の内容は住宅金融支援機構・資源エネルギー庁および各金融機関の公式サイトで必ずご確認ください。
【フラット35】太陽光発電の売電収入について(住宅金融支援機構 公式)
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