今回は住宅金融支援機構が調査・公表している「平成27年度下期における住宅市場動向について」の調査結果を踏まえて、住宅ローンの比較を行う前にそもそもこれからの時期が住宅購入に適している時期なのかを考えてみたいと思います。

まず、この調査におけるアンケートで面白い結果が出ています。2015年度下期(2015年10月~2016年3月まで)はマイホームの買い時だと思うか?という質問に対する回答の違いです。

一般の人たちで「2015年下期は買い時だ」と答えた人は全体の49.2%。一方、フィナンシャルプランナーの資格を有する人たちの場合、全体の62.3%がまで増加しています。

 

まず、一般的には「マイホームが買い時なのか」と聞かれたら大きく2つのことを考えると思います。1点目は住宅そのもののか価格が低いのかどうかという話です。1年前に5000万円で売り出されていたマンションが4000万円で売り出されていたとするならば、当然1年前よりも今が買い時だ、と言えます。

2点目は住宅購入住宅ローンの金利が低いのかという点です。同じ5000万円のマンションを購入したとしても、購入するための住宅ローンの金利が低ければ総返済額は数百万単位で少なくなります。

 

また、住宅購入時に発生する「消費税」も2%あがるだけで5000万円のマンション購入で100万円の違いが生まれますので、決して小さくないという事も念頭に入れておくと良いでしょう。つまり、政府・内閣の国策がどのような動きを示すのか、という点です。

 

さて、話を戻すとお金について一般人よりも詳しいと思われるフィナンシャルプランナーの人たちが、一般人よりも「この下期が買い時だ」と回答したのは何なのか、という点は気になりますね。調査結果を確認すると「フラット35S」が魅力的と考えているフィナンシャルプランナーが多いため、となっています。

 

うーん・・・。気持ちはわからないでもないですが、フラット35Sは省エネ住宅などの厳しい条件をクリアできる住宅にしか適用されませんので、お金のプロは今が買い時と思っているんだから、今が買い時なんだよ、と言い切ってしまうのはちょっと危険なデータですね。

 

確かにフラット35Sは驚異的な低金利ですし、確かに魅力です。一般の人たちよりもフィナンシャルプランナーの人の方がフラット35Sを理解している可能性も高いでしょう。そして、変動金利のようなリスクがない固定金利をフィナンシャルプランナーの立場としてはおすすめしたくなる気持ちもわかります。

 

ただし、フラット35以外の民間銀行の住宅ローンがフラット35やフラット35Sに見劣りしているのかというと決してそんなことはありません。変動金利ではありますが、0.6%を下回る水準の金利を提示している住信SBIネット銀行、ソニー銀行、イオン銀行の住宅ローンはフラット35Sに見劣りしているとも思いませんし、固定金利もかなりの低金利です。付帯サービスもフラット35よりも優れている住宅ローンが大半です。

 

当サイトの結論としては、この下期が特別な時期とは考えませんので、「どっちでもない」です。住宅ローン金利は金融緩和の影響で基本的には上昇の余地はほとんどありません。ちょっと上下する程度はあっても基本的には今の低金利水準が維持されると考えています。もっと長い目でみても、少子高齢化の進む日本においては、住宅があまってくる可能性は極めて高いと言えるでしょう。(局所的には人気のエリアもあるでしょうが)

 

マイホームと賃貸のどっちがお得なのか!?といった内容の記事も見かけますが、経済は本当によくできているもので、そんなに大差があるものではありません。つまり、この数年の低金利の環境においては、自分が欲しいと思った住宅を、各社の住宅ローンをしっかりと比較して購入した人たちは勝ち組であり、お得にマイホームを手に入れた人たちですし、この下期に何かが大きく変わることは考えにくいです。

 

今、住宅の購入を考えているようであれば、何よりもまず「その家が本当に欲しいのか?」それを最重要視して住宅購入を考えるのが、「おトク」への近道です。そのうえで、少しでも金利の低い、付帯サービスの充実した住宅ローンを選ぶのが一番大切ということですね。