住宅ローンのがん保障(がん団信)をイメージした図

イオン銀行がん保障付住宅ローンは、所定のがんと診断された時点で住宅ローン残高が0円になる団体信用生命保険(団信)です。取り扱い開始当初は上乗せ幅が大きい商品でしたが、その後の改定で上乗せ金利は年0.1%まで引き下げられ、現在も同水準で提供されています(2026年7月時点・イオン銀行公式)。

がん保障で比較対象になりやすいのが、無料のがん団信で知られるauじぶん銀行です。ただし両行の「がん保障」は保障される割合も上乗せ金利も設計が異なります。この記事では、2026年7月時点の公式情報をもとに、両行のがん団信を横並びで比較します。

イオン銀行のがん保障付住宅ローン(がん団信)

イオン銀行のがん保障付住宅ローンの要点は次のとおりです。

  • 死亡・所定の高度障害・余命6カ月以内と判断された場合に加えて、所定のがんと診断された場合に住宅ローン残高が0円になる。
  • 上乗せ金利はご契約時の住宅ローン金利に年0.1%
  • 所定の上皮内がん・皮膚がんと診断されたときは、残高0円ではなく一時金30万円(保険期間中1回)が支払われる。
  • 住宅ローンの借入日を保険加入日とし、がん関連の保障は加入日の91日目から開始(それ以前の診断は対象外)。
  • 先進医療保障特約が付帯する(商品概要説明書に記載)。

なお、イオン銀行は上乗せ金利なしの「全疾病団信」も用意しており、がん保障を付けない選択肢もあります。加えて8疾病を保障する「8疾病保障プラス付住宅ローン(8疾病団信プラス)」やワイド団信もあり、団信のラインアップは幅広い構成です(各プランの上乗せ幅・引受保険会社は改定されることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください)。

注意点として、イオン銀行では団信を選べるのは住宅ローンの契約時のみで、契約後に種類を変更することはできません。また、疾病保障付きの団信には借入時の年齢条件があります。

auじぶん銀行のがん保障は3種類

auじぶん銀行のがん保障は、保障割合と上乗せ金利の組み合わせで3種類に分かれています(2026年7月時点・auじぶん銀行公式)。

  • がん50%保障団信…上乗せ金利なし。がんと診断されると住宅ローン残高の50%が保障される。急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の4疾病、全疾病長期入院保障、月次返済保障も対象。
  • がん100%保障団信…年0.05%の上乗せ。がんと診断されると残高が0円になる。
  • がん100%保障団信プレミアム…年0.15%の上乗せ。がん100%保障に加えて4疾病の保障や各種給付金が手厚くなる。

いずれも保障対象のがんは所定の悪性新生物で、皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん・上皮内新生物は含まれません。また責任開始日からその日を含めて90日以内の診断は対象外です。引受保険会社は2023年7月にライフネット生命保険へ変更されています。ペアローン向けの連生団信が用意されている点も特徴です。

イオン銀行とauじぶん銀行のがん保障を比較

比較の観点イオン銀行 がん保障付住宅ローンauじぶん銀行 がん50%保障団信auじぶん銀行 がん100%保障団信
上乗せ金利年0.1%なし(0円)年0.05%
がん診断時の保障住宅ローン残高が0円住宅ローン残高の50%住宅ローン残高が0円
免責期間加入日の91日目から保障開始責任開始日から90日以内の診断は対象外責任開始日から90日以内の診断は対象外
上皮内がん・皮膚がん一時金30万円(残高0円の対象外)対象外(悪性黒色腫以外の皮膚がん・上皮内新生物)対象外(同左)
がん以外の保障先進医療保障特約を付帯4疾病・全疾病長期入院・月次返済保障プレミアムなら4疾病や各種給付金も充実

※2026年7月時点の各行公式サイトの記載にもとづきます。上乗せ金利・保障内容・年齢条件は改定されることがあるため、申し込み前に必ず各行の公式サイトと商品概要説明書でご確認ください。

比較して見えるポイント

1. 「がんと診断されたら残高0円」を求めるなら上乗せ幅で比べる
残高が0円になる保障どうしで比べると、イオン銀行は年0.1%、auじぶん銀行のがん100%保障団信は年0.05%です。金利上乗せは返済期間を通じて効くコストなので、借入額が大きいほど差は無視できません。

2. 「上乗せゼロで半分」という設計もある
auじぶん銀行のがん50%保障団信は上乗せなしで残高の半分が保障されます。上乗せコストをかけずに一定の備えを持ちたい人には合理的な選択肢です。一方、「がんになったら住宅費の負担をゼロにしたい」というニーズには100%保障のほうが噛み合います。

3. 保障の“すき間”はどちらも同じ
上皮内がんや悪性黒色腫以外の皮膚がん、契約直後(90日/91日)の診断が対象外になる点は両行に共通します。がん団信は「医療費をまかなう保険」ではなく「住宅ローンという固定費を消す保険」だと整理して、医療保険・がん保険との役割分担で考えるのが現実的です。

4. 団信は基本的に後から変更できない
イオン銀行は契約時のみ団信を選択できると明記しています。金利だけで決めず、団信の設計まで含めて申し込み前に比較することが重要です。

保障の対象になるがん・ならないがん

がん団信で保障の対象となるのは、一般に次のような「所定の悪性新生物」です。

部位がん(悪性新生物)の例
脳・神経悪性脳腫瘍、悪性脊髄腫瘍 など
口腔・鼻・咽頭舌がん、鼻腔がん、咽頭がん など
呼吸器および胸部喉頭がん、肺がん、気管支がん など
消化器胃がん、食道がん、大腸がん、直腸がん など
肝臓・胆のう・膵臓肝臓がん、胆のうがん、膵臓がん など
泌尿器腎臓がん、精巣(睾丸)がん、前立腺がん、膀胱がん など
婦人科子宮がん、乳がん、卵巣がん など
皮膚皮膚の悪性黒色腫
骨・筋肉骨肉腫、肉腫 など
血液・リンパ悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫 など
内分泌甲状腺がん、下垂体がん など
その他原発部位不明のがん など

対象外になりやすいのは「上皮内新生物(上皮内がん)」と「悪性黒色腫以外の皮膚がん」です。イオン銀行はこの範囲について一時金30万円を用意しており、auじぶん銀行は保障の対象外としています。細かな定義は引受保険会社が定める「被保険者のしおり」に記載されるため、必ず契約前に確認してください

他行のがん保障も含めて比べる

がん団信の設計は各行で差があるため、比較対象は2行に限らないほうが選択肢は広がります。

  • SBI新生銀行…一般団信が上乗せ0円で付帯し、全疾病保障付団信も上乗せ0円(2026年3月2日開始)で選べます。がん保障は有料オプションですが、保証料0円・一部繰上返済手数料0円という諸費用の分かりやすさとあわせて、上乗せコストを抑えたい人には検討する価値があります(介護保障を付けた「安心保障付団信」は新規申込を終了しています)。
  • PayPay銀行…がん50%保障団信が年0.1%、がん100%保障団信が年0.15%の上乗せで、保障の厚みを選べる構成です。

上乗せ幅と保障内容は改定されるため、比較は必ず各行の公式サイトの最新表示でご確認ください

がん保障付住宅ローンのよくある質問

Q. 契約してすぐにがんと診断された場合も保障されますか?
A. されません。イオン銀行は加入日の91日目から、auじぶん銀行は責任開始日から90日を過ぎてからが保障の対象です。この免責期間はがん団信に共通する仕組みで、加入直前の自覚症状による契約を防ぐために設けられています。

Q. 上皮内がん(ステージ0)でも住宅ローンは0円になりますか?
A. なりません。イオン銀行は一時金30万円の支払い、auじぶん銀行は保障の対象外です。「がんと診断されれば必ず残高0円」ではない点は、がん団信を選ぶうえで最も誤解されやすいポイントです。

Q. 契約後にがん団信を付けたり外したりできますか?
A. イオン銀行は団信を選べるのは契約時のみで、契約後の変更はできないと公式に明記しています。他行でも同様の扱いが一般的なので、申込段階で決めておく必要があります。

Q. がん団信があれば、がん保険は不要ですか?
A. 役割が違います。がん団信が消すのは住宅ローンという固定費で、治療費・生活費そのものを補うものではありません。すでに加入しているがん保険・医療保険の保障額と重ねて見直すと、上乗せ金利を払う価値があるかを判断しやすくなります。

Q. 上乗せ0.05%と0.1%の差はどれくらい効きますか?
A. 上乗せ金利は借入額が大きく返済期間が長いほど、総返済額への影響が大きくなります。各行の返済シミュレーションで「団信あり・なし」の総返済額を出し、差額を保険料と考えて比較するのが確実です。

まとめ

イオン銀行のがん保障付住宅ローンは年0.1%の上乗せで残高0円、auじぶん銀行は上乗せなしで残高の50%/年0.05%で残高0円という設計です。同じ「がん保障」でも、保障割合・上乗せ幅・対象外の範囲が異なるため、金利だけを並べても優劣は判断できません。

比較の手順としては、①残高0円まで求めるか半分でよいかを決める、②その水準を満たす団信の上乗せ幅を各行で比べる、③既加入の保険と重複していないか点検する、の3ステップが分かりやすいでしょう。上乗せ金利・保障内容は改定されるため、最終的な判断は各金融機関の公式サイトの最新情報でご確認ください