ノートパソコンと書類を広げて住宅ローンの計画を立てる夫婦のイラスト

初めての住宅ローンでつまずきやすいのは、金利の高い・低いよりも「いくら借りるか」「どこに申し込むか」の2点です。借入可能額は年収から機械的に決まりますが、借りられる額と無理なく返せる額は一致しません。また審査基準は金融機関ごとに違うため、1行だけに申し込んで落ちると振り出しに戻ります。

ここでは、申し込む前に押さえておきたい論点を10のポイントに整理しました。数値は2026年9月時点の公式情報で確認しています。

1.頭金をいくら用意するべきか

従来は購入する住宅価格の20%程度の頭金を用意すべきと言われてきました。住宅価格=借入金額とすると借入額が大きくなり、月々の返済額や支払う利息の負担が重くなるためです。

ただし今日では住宅価格が上昇しており、頭金を貯めているうちに住宅価格や金利が上がって、結果的に総支払額が膨らむ可能性も否定できません。頭金を貯めることに固執しすぎないことも必要でしょう。

むしろ見落としやすいのが諸費用です。住宅購入時には次の費用がかかり、これらは頭金とは別に現金で準備しておく必要があります。

  • 住宅ローン事務手数料(借入額の2.20%〈税込〉という設定が多い)
  • 保証料(ネット専業銀行以外)
  • 登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
  • 仲介手数料(中古住宅の場合)
  • 火災保険料・印紙税

3,000万円の住宅を購入する場合、諸費用は中古で200万円、新築でも100万円程度が目安です。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンも事務手数料は借入金額の2.20%(税込)で、これとは別に登録免許税・印紙税・司法書士報酬・火災保険料がかかると明記しています。

2.いくら借りられるのか

住宅ローンをいくら借りられるかは、原則として申込者の年収に応じて決まります。借入可能額の上限は金融機関によって異なり、一般的な金融機関では1億円程度、ネット銀行では2億円まで対応する例もあります。

目安としては、年収の7倍程度まで借り入れできるという金融機関が一般的です。

一方、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供するフラット35では、「総返済負担率」という基準で借入可能額を計算します。

年収400万円未満400万円以上
総返済負担率30%以下35%以下

年収500万円の方なら35%をかけた175万円が年間返済額の上限で、月々では約14万5,000円です。2026年9月のフラット35の最も多い金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)である年3.460%で計算すると、借入可能額はおよそ3,500万円になります。

年収の7倍とはかけ離れた結果ですが、これはフラット35が公的な性格をもち、審査基準が民間の住宅ローンと異なるためです。金利が上がると、同じ返済額でも借入可能額は小さくなります。仮に金利が年3.140%なら同じ条件で約3,700万円となり、0.320%の差で200万円ほど動く計算です(【フラット35】最新の金利情報・2026年9月確認)。

なお、フラット35の返済負担率の計算では、自動車ローン・教育ローン・カードローンなど他の借入の返済も合算されます。こうしたローンの利用があると、借入可能額はその分少なくなります。

3.住宅ローンの審査は厳しい?

住宅ローンは最長35年(一部の金融機関では50年)という長期のローンであり、カードローンや自動車ローンよりも審査は慎重に行われると考えてよいでしょう。

国土交通省が全国の民間金融機関1,369社を対象に行った住宅ローン実態調査(平成28年3月)を、当サイトでも審査で見られる項目の解説記事で紹介しています。

この調査で、金融機関が審査時に考慮する項目として挙げられた割合は次のとおりです。

  • 完済時年齢99.3%/健康状態98.4%/担保評価97.8%/借入時年齢97.5%
  • 勤続年数96.4%/年収95.6%/連帯保証92.6%/営業エリア92.4%
  • 返済負担率87.4%/他のローンの状況や返済履歴77.5%/雇用形態77.1%

金融機関が審査結果の詳細を開示することはないため、審査の考え方を知るうえで参考になる調査といえます。上位に年齢と健康状態が並ぶ点は、団信に加入できるかどうかが前提になっていることの裏返しでもあります。

4.金融機関ごとに審査基準が異なる

ひとことで住宅ローン審査といっても、その基準は金融機関ごとに異なります。特に注目したいのは、金融機関の経営規模による違いです。

地元の信用金庫がメガバンクとまったく同じ審査基準では顧客が離れてしまうことからも想像できるように、経営規模ごとに審査の厳しさ・甘さに違いが出ると考えてよいでしょう。

この違いを利用し、経営規模の異なる複数の金融機関に申し込むことを検討してはいかがでしょうか。当サイトでは、少なくとも異なる3つの規模での審査申し込みをおすすめします。

カテゴリ金融機関名候補にする理由
フラット35楽天銀行住宅金融支援機構が関わる公的な性格のローンで、返済負担率という基準が公開されており審査の考え方がわかりやすい。審査に不安がある方は候補に入れておきたい。
ネット専業銀行auじぶん銀行、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)金利の低さと団信の手厚さを両立しやすい。店舗での対面相談ができない点はハードルになる。
メガバンク・大手地銀みずほ銀行、三菱UFJ銀行対面での相談体制が整っており、住み替えや相続まで含めて相談しやすい。

5.金利タイプの違い

住宅ローンの金利は、大きく分けて2つのタイプがあります。1つ目は変動金利です。金融機関が定める短期プライムレート(1年以内の貸出金利を決める際の基準)に連動して基準金利が決まります。

長く続いた低金利のもとで最も低い住宅ローン金利を実現してきましたが、市場金利が上昇すれば変動金利も上昇する性格をもちます。実際、三菱UFJ銀行の短期プライムレートは年2.375%(2026年8月3日より適用)まで切り上がっています(三菱UFJ銀行 公式・2026年9月確認)。

その背景にあるのが日本銀行の政策金利です。日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.25%程度で推移するよう促す方針を決め、公表文で同年9月24日からの適用を明記しました。

ただし注意したいのは、政策金利の適用開始日に各行の住宅ローン金利が一斉に動くわけではないことです。短期プライムレートの改定、基準金利への反映、実際の返済額への反映にはそれぞれ時間差があり、時期も幅も金融機関ごとに違います。

もう1つは固定金利です。2年から35年までさまざまな年限があり、決められた期間は市場金利が上がっても下がっても契約した金利が変わりません。金利の先高観があるときは、返済額を確定できる固定金利に関心が集まりやすくなります。

6.当初引き下げと通期引き下げの違い

住宅ローンには、設定された「当初」の期間だけ金利が割安になるタイプと、完済までの「通期」で金利が割安になるタイプがあります。一般的には、当初引き下げのほうが当初の金利は低く設定されています。

当初引き下げで注意したいのは、「当初」の期間が過ぎると引き下げ幅が縮まり、月々の返済額が増える点です。当初10年の金利だけを見て選ぶと、11年目以降に想定外の負担増が起こります。

比較するときは、当初の金利ではなく完済までの総支払額で並べるのが鉄則です。

7.ボーナス併用返済を行うか?

住宅ローンの返済には、月々決まった金額を支払うほか、ボーナス支給月に返済額を上乗せする方法があります。ボーナスを原資に返済するため支払い能力が高く見え、借入可能額も多くなります。

しかし、完済する35年先までボーナスが期待どおり支給される保証はありません。返済に窮するリスクを避けるためにも、ボーナス返済に頼りすぎないことをおすすめします。

8.団信など付加サービスにも注目を

金融機関どうしの激しい金利引き下げ競争のなかで、各行は金利以外の特徴を打ち出そうとしており、団信をはじめとする付加サービスに大きな違いが出ています。

銀行名付加サービス・団信の特徴加入年齢の目安
auじぶん銀行がん50%保障団信を上乗せ金利なしで付帯。がんと診断確定されると残高の50%を保障し、急性心筋梗塞・脳卒中・肝疾患・腎疾患の4疾病保障、全疾病長期入院保障、月次返済保障も含む特約付き団信は50歳以下向け(団信は65歳以下)
ドコモSMTBネット銀行所定の条件を満たすと保障される全疾病保障を付帯各商品の定めによる
イオン銀行イオングループでの買い物が毎日5%OFFになる特典各商品の定めによる
SBI新生銀行全疾病保障(就業不能保障特約)付団信を上乗せ金利なしで付帯。所定の就業不能状態が続くと残高100%を保障し、就業不能期間中の毎月の返済額も保障。ガン団信は年0.1%上乗せ全疾病保障付団信・ガン団信は20〜49歳(一般団信は20〜65歳)

auじぶん銀行の「がん50%保障団信」はがんと診断確定されるだけで保障が受けられる点が特徴で、SBI新生銀行の全疾病保障付団信は就業不能が続いたときに残高と毎月の返済額の両方を保障する点に強みがあります(auじぶん銀行 公式/SBI新生銀行 公式・2026年9月確認)。いずれも上乗せ金利0円で選べるため、金利表の数字だけで比べると見落としやすい差です。

ただし団信は加入年齢の上限があり、免責期間や対象外の疾病も定められています。SBI新生銀行の全疾病保障付団信は20〜49歳が対象で、ローン実行日から90日間は待機期間です。医療保険の見直しと合わせて検討する価値はありますが、条件を読まずに「0円だからお得」と判断しないようにしましょう。

9.人生設計の再点検を

マイホーム購入後に、お子さんの誕生や転勤などで転居が必要になると、売却・買い替えを検討することになります。不動産の売却には仲介手数料がかかり、場合によっては売却損が生じます。

売却代金だけでは住宅ローンを完済できないリスクもあります。将来のライフプランの変化も見据えて、無理のない借入額に抑えておくことが大切です。金利が上昇する局面では、この余裕がそのまま家計を守るクッションになります。

10.金融機関に住宅ローン比較を任せない

住宅ローンを扱う金融機関は数多く、どこを選べばよいか迷う方も多いと思います。ただし、金融機関に直接相談すれば、当然ながら自行の住宅ローンをすすめてきます。

当サイトでは、金利だけでなく事務手数料や保証料も加味した「実質金利」での住宅ローン比較を行っています。用語や仕組みから確認したい方は、住宅ローンの基礎知識もあわせてご覧ください。

初めての住宅ローンでよくある質問(FAQ)

Q. 変動金利と固定金利、初めてならどちらを選ぶべきですか?

A. どちらが正解とは一概に言えません。当初の返済額を抑えたいなら変動、返済額を確定させて家計の見通しを立てたいなら固定が向きます。変動を選ぶなら、金利が1%上がっても返済を続けられるかを試算してから決めてください。

Q. 頭金なし(フルローン)でも住宅ローンは組めますか?

A. 物件価格の全額を借りるフルローンに対応する金融機関もあります。ただしフラット35は融資率9割超だと金利が上がり、2026年9月は9割以下の年3.460%に対し9割超は年3.570%でした。諸費用は別途現金で必要です。

Q. 年収500万円だといくらまで借りられますか?

A. フラット35の基準(総返済負担率35%)で、2026年9月の最も多い金利年3.460%・35年・元利均等で計算すると約3,500万円が上限の目安です。ただし自動車ローンなど他の借入があると、その返済額の分だけ枠は減ります。

Q. 審査に自信がないときはどうすればいいですか?

A. 経営規模の異なる複数の金融機関に申し込み、審査基準の違いを味方につけるのが有効です。あわせてカードローンなど他の借入を整理し、返済負担率を下げておくと有利になりやすくなります。

Q. 金利と団信、どちらを優先して選ぶべきですか?

A. まず事務手数料・保証料を含めた「実質金利」で候補を3行ほどに絞り、そのうえで団信の保障内容と加入年齢で決めるのが現実的です。上乗せ金利0円で全疾病保障やがん保障が付く銀行もあるため、同じ金利水準なら保障の差が決め手になります。

なお、住宅ローンの金利・手数料・団信の内容は随時改定されます。申し込み前には必ず各金融機関の公式サイトで最新の条件をご確認ください。

注目の住宅ローン比較・ランキング・特集