
初めて住宅ローンを組もうとしている方は、手続きの煩雑さや「住宅ローン審査に通るのか?」、そして「長期にわたりきちんと返済していけるのか」など、多くの不安を抱えることが多いのではないでしょうか。
首都圏を中心に住宅価格が上昇するなか、住宅ローン金利は長らく低い水準で推移してきました。ただし近年は金利が上昇に転じており(2026年時点)、これから借りる方は「今の金利水準」を前提に計画を立てることが大切です。マイホーム購入を前向きに検討されている方も多いと思います。
今回は、初めて住宅ローンを組もうとする方に、申し込む前に一読いただきたいことを10のポイントにまとめました。ご自身が住宅ローンをどう活用したいかによって、申し込む金融機関も変わってきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
1.頭金をいくら用意するべきか
従来は、購入する住宅価格の20%程度の頭金を用意すべきと言われてきました。これは、住宅価格=借入金額とすると借入額が大きくなり、月々の返済額や支払う利息の負担が重くなるためです。
ただし今日では住宅価格が上昇しているため、頭金を貯めているうちにさらに住宅価格が上がってしまったり、金利が上昇してしまったりして、結果的に総支払額が膨らむ可能性も否定できません。頭金を貯めることに固執しすぎないことも必要でしょう。
なお、住宅購入時には住宅ローン事務手数料、保証料(ネット専業銀行以外)、登記費用、仲介手数料(中古住宅の場合)などがかかります。3,000万円の住宅を購入する場合、中古で200万円、新築でも100万円程度の費用が必要になり、これらは頭金とは別に準備しておく必要があります。
2.いくら借りられるのか
住宅ローンをいくら借りられるかは、原則として申込者の年収に応じて決まります。年収が多いほど多く借りられる仕組みです。借入可能額の上限は金融機関によって異なり、一般的な金融機関では1億円程度、ネット銀行では2億円まで対応する例もあります。
目安としては、年収の7倍程度まで借り入れできるという金融機関が一般的です。
一方、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供するフラット35では、「返済負担率」という基準で借入可能額を計算します。
| 年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
| 総返済負担率 | 30% | 35% |
具体的には、年収500万円の方であれば35%をかけた175万円が年間の返済可能額の上限となり、月々の返済額は約14万5,000円です。2026年7月のフラット35の最多金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団信込み)である年3.14%で計算すると、借入可能額はおよそ3,700万円となります。年収の7倍とは少しかけ離れた結果ですが、これはフラット35が公的な性格をもつローンで、審査基準が民間の住宅ローンと異なるためです(金利が上がると同じ返済額でも借入可能額は小さくなります)。
なお、フラット35の返済負担率の計算では、自動車ローン・教育ローン・カードローンなど他の借入の返済も合算されます。こうしたローンの利用があると、借入可能額はその分少なくなります。
3.住宅ローンの審査は厳しい?
住宅ローンは最長35年(一部の金融機関では50年)という長期にわたるローンであり、カードローンや自動車ローンよりも審査は慎重に行われると考えてよいでしょう。
平成28年3月に国土交通省が全国の民間金融機関1,369社を対象に行った住宅ローンに関する調査を当サイトでもご紹介しています。
この調査では、金融機関が審査で考慮する項目として、完済時年齢99.3%、健康状態98.4%、担保評価97.8%、借入時年齢97.5%、勤続年数96.4%、年収95.6%、連帯保証92.6%、営業エリア92.4%、返済負担率87.4%、カードローンなど他のローンの状況や返済履歴77.5%、雇用形態77.1%という割合で回答されています。金融機関が審査結果の詳細を開示することはないため、審査の考え方を知るうえで参考になる調査といえます。
4.金融機関ごとに審査基準(厳しさ・甘さ)が異なる
ひとことで住宅ローン審査といっても、その基準は金融機関ごとに異なります。特に注目したいのは、金融機関の経営規模による審査基準の違いです。地元の信用金庫がメガバンクとまったく同じ審査基準では顧客が離れてしまうことからも想像できるように、経営規模ごとに審査の厳しさ・甘さに違いが出ると考えてよいでしょう。
この違いを利用し、経営規模の異なる複数の金融機関に住宅ローン審査を申し込むことを検討してはいかがでしょうか。当サイトでは、少なくとも異なる3つの規模での住宅ローン審査をおすすめします。
| カテゴリ | 金融機関名 | おすすめ理由 |
| フラット35 | 楽天銀行 | フラット35は住宅金融支援機構が関わる公的な性格のローンで、審査基準が比較的わかりやすいのが特徴です。審査に不安がある方は候補に入れておきたい住宅ローンといえます。 |
| ネット専業銀行 | auじぶん銀行、ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | 住宅ローン金利の低さといえばネット専業銀行です。店舗での対面相談ができないなどのハードルはありますが、金利面のコストパフォーマンスは高い水準です。 |
| メガバンク・大手地銀 | みずほ銀行、三菱UFJ銀行 | 日本を代表する金融機関で生涯の大きな買い物をする安心感は捨てがたいものがあります。対面での相談体制も整っています。 |
5.金利タイプの違い
住宅ローンの金利には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つ目は変動金利です。金融機関が定める短期プライムレート(1年以内の貸出金利を決める際の基準)に連動して金利が決まり、長く続いた低金利のもとで、もっとも低い住宅ローン金利を実現してきました。ただし「短期プライムレート」という名のとおり、市場で金利が上昇すれば変動金利も上昇する性格をもちます。実際、2026年は金利が上昇局面にあり、8月には大手行の短期プライムレートが引き上げられるなど、変動金利にも上昇圧力がかかっています(最新の適用金利や見直し時期は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
もう1つは固定金利です。2年から35年までさまざまな年限があり、決められた期間は市場金利が上がっても下がっても契約した金利が変わりません。かつては超低金利の影響で10年固定金利が変動金利を下回る現象も見られました。金利の先高観があるときは、返済額を確定できる固定金利に人気が集まりやすくなります。
6.当初引き下げと通期引き下げの違い
住宅ローンには、設定された「当初」の期間だけ金利が割安になるタイプと、完済までの「通期」で金利が割安になるタイプの2つがあります。一般的には、当初引き下げのほうが当初の金利は安く設定されています。
当初引き下げ金利で注意したいのは、「当初」の期間が過ぎると金利が上がり、月々の返済額が増える点です。当初の期間だけを見て住宅ローンを選ばないようにしましょう。
7.ボーナス併用返済を行うか?
住宅ローンの返済には、月々決まった金額を支払うほか、ボーナス支給月に返済額を上乗せする方法があります。ボーナスを原資に返済するため支払い能力が高く見え、借入可能額も多くなります。しかし、景気の浮き沈みが大きいなかで、完済する35年先までボーナスが期待どおり支給される保証はありません。返済に窮するリスクを避けるためにも、ボーナス返済に頼りすぎないことをおすすめします。
8.住宅ローンの付加サービスにも注目を
金融機関どうしの激しい金利引き下げ競争のなかで、各行は金利以外の特徴を打ち出そうとしており、付加サービスに大きな違いが出ています。主な付加サービスをもつ金融機関をご紹介します。
| 銀行名 | 付加サービス |
| auじぶん銀行 | がんと診断されるだけで住宅ローン残高が1/2になる「がん50%保障団信」を上乗せ金利0円で付帯(満50歳までなど条件あり) |
| ドコモの銀行 | 所定の条件を満たすと保障される疾病保障(全疾病保障)を付帯 |
| イオン銀行 | イオングループでの買い物が毎日5%OFFに |
| SBI新生銀行 | すべてのケガ・病気による就業不能などに備える全疾病保障付団信を上乗せ金利0円で付帯(2026年3月開始。かつての介護保障の「安心保障付団信」は新規申込を終了) |
多くの銀行の疾病保障が、症状が一定期間(例:入院が365日以上など)継続しないと保障を受けられない一方、auじぶん銀行の「がん50%保障団信」はがんと診断されるだけで保障が受けられます。医療保険や生命保険の見直しによる保険料の節約も期待できます。団信の内容や上乗せ金利は改定されることがあるため、詳細は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
9.人生設計の再点検を
住宅ローンを利用してマイホームを購入したあとに、お子さんの誕生や転勤などさまざまな理由で転居が必要になると、マイホームの売却・買い替えを検討することになります。不動産の売却には仲介手数料がかかり、場合によっては売却損が生じ、売却代金だけでは住宅ローンを完済できないリスクもあります。将来のライフプランの変化も見据えて、無理のない借入額に抑えておくことが大切です。
10.金融機関に住宅ローン比較を任せない
住宅ローンを扱う金融機関は数多く、どこを選べばよいか迷う方も多いと思います。ただし、金融機関に直接相談すれば、当然ながら自行の住宅ローンをすすめてきます。何事も「比較をしない」ことが損につながります。
当サイトでは、金利だけでなく事務手数料や保証料も加味した「実質金利」での住宅ローン比較を行っています。実質金利で比較するだけでも、住宅ローンのトータルコストは大きく変わってきます。ぜひ当サイトをご活用ください。
初めての住宅ローンでよくある質問(FAQ)
Q. 変動金利と固定金利、初めてならどちらを選ぶべき?
A. どちらが正解と一概には言えません。当初の返済額を抑えたいなら変動金利、返済額を確定させて家計の見通しを立てたいなら固定金利が向いています。金利が上昇局面にある局面(2026年時点)では、将来の金利上昇に耐えられるかを試算したうえで選ぶことが大切です。変動を選ぶ場合は、金利が上がっても返済を続けられる余裕があるかを確認しましょう。
Q. 頭金なし(フルローン)でも住宅ローンは組める?
A. 物件価格の全額を借りるフルローンに対応する金融機関もあります。ただし融資率(物件価格に対する借入割合)が高いと金利が上がる商品もあり、諸費用は別途現金で必要になるのが一般的です。頭金がなくても組める一方で、月々の返済負担は大きくなる点に注意しましょう。
Q. 審査に自信がないときはどうすればいい?
A. 経営規模の異なる複数の金融機関に申し込み、審査基準の違いを味方につけるのが有効です(本文4を参照)。あわせて、カードローンなど他の借入をできるだけ整理し、返済負担率を下げておくと審査で有利になりやすくなります。
Q. どの金融機関を選べばいいか決められません。
A. 金利だけでなく、事務手数料・保証料を含めた「実質金利」と、団信などの付加サービスを合わせて総合的に比較するのがおすすめです。当サイトの実質金利比較を使うと、各行のトータルコストを横並びで確認できます。
