がん治療と仕事・住まいの備えのイメージ

がんは日本人の2人に1人がかかるともいわれる国民病です。医療の進歩で生存率は改善していても、治療にともなう収入の減少や離職は依然として大きな不安です。この記事では、がんと仕事の両立をめぐるデータをふまえ、収入減に備える住宅ローンの選び方を中立的に整理します。

がん患者の約4割が「治療開始前」に退職

2015年に実施された厚生労働省の調査によると、がんと診断されて仕事を辞めた人は全体の21%でした。そのうち、退職の時期は次のとおりです。

  • 「診断確定時」に退職:32%
  • 「診断から最初の治療まで」に退職:9%

つまり、治療開始前の早い段階で退職を決めた人が約4割にのぼります。「最初の治療中」「復職後」など治療開始後に離職した人は半数近い48%で、理由としては「職場に迷惑をかける」「両立の自信がない」などが多く挙げられました。

※上記は2015年の厚生労働省調査に基づく数値です。国はその後、短時間勤務や休暇を活用しやすくする、医師と企業が病状・仕事内容を情報交換できる仕組みづくりなど、治療と仕事の両立支援を進めています。最新の状況は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。

短時間勤務が認められても、罹患前と同じように働き続けるのは難しく、収入の減少は避けにくいのが実情です。少しでも生活を安定させるために、住宅ローンの面でも「もしもの時のリスク」を減らしておきたいところです。

カギは「保険金が支払われる条件」

がんに備える住宅ローンを選ぶうえで最も重要なのが、どんな条件で保障(保険金)が受けられるかです。大きく2つのタイプがあります。

保障のタイプ保険金の支払い条件読者にとっての意味
がん診断確定型所定のがんと診断確定されること手術後に職場復帰できても保障が受けられる
就業不能型就業不能な状態が一定期間(例:12か月)続くこと1年以内に復職すると対象外になることがある

auじぶん銀行の「がん保障団信」やソニー銀行の「がん団信」は、いずれも「がんと診断確定された場合」が条件です。診断され、手術後に職場復帰できるケースでも、住宅ローン残高がゼロまたは半分になります。一方、多くの金融機関は「就業不能が12か月以上続くこと」を条件とし、早期に復職すると保障されない場合があるため、条件の違いに注意が必要です。

診断確定型の代表例

auじぶん銀行は、がん診断確定で残高が半分になる「がん50%保障団信」を金利上乗せなしで付帯できます。残高が0円になる「がん100%保障団信」や、より手厚い「がん100%保障団信プレミアム」も用意されています(100%保障は金利上乗せあり。2026年7月時点は年0.05%で、最新の上乗せ幅は公式でご確認ください)。

ソニー銀行も、上乗せなしの「がん団信50」(残高50%保障)と、年0.1%の上乗せで残高100%+がん診断給付金100万円が付く「がん団信100」を用意。がん団信100はさらに、がん先進医療給付金(通算2,000万円・2026年1月に拡充)、上皮内がん・皮膚がん診断給付金50万円なども付き、民間のがん保険に近い手厚さです。

諸費用の分かりやすさを重視するならSBI新生銀行も選択肢です。保証料0円・一部繰上返済手数料0円で、一般団信(上乗せ0円)に加え、がん団信や全疾病保障付団信(2026年3月開始・上乗せ0円)などを取りそろえています。

※保障内容・上乗せ金利・加入条件は改定されることがあります。最新の適用条件は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

よくある質問(がんと仕事・収入減への備え)

Q. がんになっても働けた場合、保障は受けられないのですか?

A. 「がん診断確定型」の団信であれば、診断確定された時点で保障が受けられるため、その後に職場復帰できても住宅ローン残高が減額・免除されます。一方「就業不能型」は一定期間働けない状態が条件のため、早期に復職すると対象外になることがあります。加入前に支払い条件を必ず確認しましょう。

Q. 収入が減ったとき、住宅ローンの負担を抑える方法はありますか?

A. 返済が苦しくなる前に、金融機関へ早めに相談することが基本です。返済期間の延長や一時的な返済額の減額に応じてもらえる場合があります。加えて、がん保障団信などで残高が減る保障が付いていれば、収入減の影響を和らげられます。借り換えで金利や保障を見直すのも一つの方法です。

Q. すでにがん保険に入っていても、がん保障団信は必要ですか?

A. がん保険は「手元に給付金が入る」、がん保障団信は「住宅ローン残高が減る・なくなる」と役割が異なります。両方あると安心度は高まりますが、保障が重複して保険料に無駄が出ることもあります。住宅ローンにがん保障を付けるタイミングで、既加入の保険を見直すとよいでしょう。

国民病とも言われるがんへの備えは、住宅ローンの新規借り入れ・借り換えを考えるときの大切な比較材料です。金利や諸費用だけでなく、保障の支払い条件まで含めて、各社を横並びで確認してみてください。