住友不動産が分譲した横浜市内の「マンション傾き」問題。大きく報道されたので、ご存知の方も多いかもしれません。
住民から苦情がたちはじめた当初は、施工会社の熊谷組が補修するなどの応急処置をしていましたが、マンションの傾きは悪化、しかし住友不動産は「原因は不明」だとして管理組合側で修繕するように回答していました。その後、2014年の調査で施工ミスが発覚し、いったんは一部建て替え、他は補修工事ということで住民側との交渉が続いていましたが、本年2月の調査でさらなるミスがみつかり、全棟建て替えとなりました。

一方、同じく横浜市内の三井不動産が分譲した物件で、杭が支持基盤に届いていないという問題が発覚したのは昨年10月。デベロッパーである三井不動産は即座に、全戸に300万円の慰謝料と引っ越し費用、仮住まいの家賃など、手厚い補償をした上での、全棟建て替えを決めました。この素早い三井不動産の対応が、先の住友不動産に影響を与えたのは言うまでもないでしょう。前述住友不動産マンションの住民の中で、「三井はあれだけの補償をしているのにもかかわらず、住友は1棟建て替えだけで逃げ切ろうとしているのでは」という声が高まっていたと言います。

三井にしても住友にしても、問題を放置することでのブランド価値の低下を恐れたのは間違いないでしょう。マンション業界には、メジャーセブンと呼ばれる大手デベロッパーが7社あり、三井、住友の他に、三菱地所、野村不動産、東京建物、東急不動産、大京となっています。2014年には、三菱地所による港区の高級物件で大規模な施工不良が発覚、引き渡し直前に「手付け金3倍返し」という異例の条件で契約解除を行いました。

しかし、こうした手厚い補償は「中小デベロッパーでも対応可能」だとは考えにくいものです。中小のなかには開発する物件数が少ないため、大手より丁寧に開発をしているデベロッパーもあります。しかし、中小が施工ミスを認め、立て直しとなれば、経営自体が危うくなります。姉歯事件で有名になったヒューザーは、独立系の会社でしたが、住民は何の補償も得られず、会社は倒産してしまいました。マスコミも、横浜のマンション2軒に関して、最大手のデベロッパーだけに大きく報道しました。中小であれば、これほど注目されることもなかったでしょう。

そもそも、管理会社は売主の子会社であることが多く、売主であるデベロッパーの負担になるような工事を進めたがらないもの。住民や管理組合側の声をあげようとしても「問題を大きくし過ぎると、欠陥マンションだとの噂がたち、マンションの資産価値が下がるかもしれない」と管理会社側から脅かされ、結局管理組合が自費で改修工事を行うこともあるとか。

大手マンションの品質が必ずしも信用できるものではないことが、先の施工ミスで明らかになりました。しかし、かといって、「一生の買い物」が、欠陥がみつかったときに全く補償されない、逆に欠陥工事のためにさらにお金を払って改修しなければならない可能性がある、なんて考えたくない。大きな買い物である以上、大手で安心を求める心理は当然といえますね。

 

<注目の住宅ローン比較・ランキング・特集>

借り換えにおすすめの住宅ローンを金利・費用・利便性からランキング形式で紹介

ネットで人気の変動金利タイプの住宅ローン(SBI新生銀行・イオン銀行・住信SBIネット銀行)を徹底比較

【最先端】がん保障・疾病保障付住宅ローンを変動金利で徹底比較

 

<人気住宅ローンの公式サイトはこちらから>