
年末が近づくと、年末調整・住宅ローン控除・ふるさと納税など、税金にまつわる手続きを意識する季節になります。個人の税金は1月1日〜12月31日の1年間で計算するため、本来受けられる控除を取り逃さないようにしたいところです。
このページでは、ふるさと納税と住宅ローン控除(住宅ローン減税)の関係を、併用時の注意点とあわせて整理します。結論から言えば両者は併用できます。ただし手続きの選び方によっては控除を取りこぼし、実質的な自己負担が増えることがあるため、仕組みを正しく押さえておきましょう。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税は住民税・所得税に関わる寄附金控除の制度で、住民票のある自治体以外の好きな自治体へ寄附すると、原則として自己負担2,000円を除いた金額が翌年の所得税・住民税から控除されます。2008年に、都市部への人口集中による地方の税収減・財政困窮を緩和する目的で導入されました。
寄附を受けた自治体が「返礼品」を送る仕組みが定着し、利用は年々拡大しています。総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」によると、令和6年度の受入額は約1兆2,728億円(対前年度比 約1.1倍)、受入件数は約5,879万件と、いずれも過去最高の水準です(2025年7月31日公表)。最新の集計は総務省のふるさと納税ポータルサイトでご確認ください。
一方で過熱した競争を是正するため、2025年10月1日以降、仲介(ポータル)サイトによる独自ポイントの付与は全面的に禁止されました(総務省告示)。制度自体は引き続き利用できますが、「ポイント還元」を前提にした寄附はできなくなっています。
ふるさと納税の限度額(上限)について
ふるさと納税は無制限にできるわけではなく、あくまで「控除」の制度です。控除の上限額は、実際に納めている住民税・所得税の額、すなわち年収や家族構成によって変わります。一般に、扶養する家族が少ない人や年収が高い人ほど上限は大きくなります。
自分の上限額は、各ふるさと納税サイトの「控除上限額シミュレーション」や総務省ポータルの早見表で確認できます。住宅ローン控除を受けている人は実質的な上限が変わる場合があるため、次の項目もあわせて確認しましょう。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)の基本
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を、原則として最大13年間、その年の所得税から差し引ける「税額控除」です。所得税から控除しきれない分は、翌年の住民税から控除されます(住民税からの控除上限は課税総所得金額等の5%・最大9万7,500円〔2022年以降に入居した場合〕)。
制度の期限については、令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、令和8年(2026年)1月1日〜令和12年(2030年)12月31日に入居した場合まで適用できるようになりました。関連する税制法は2026年3月31日に国会で成立済みです(国土交通省)。「住宅ローン控除は近く終わる」といった情報を見かけても、まずは公式の最新情報を確認してください。
令和8年以降に入居する場合の主な変更点は次のとおりです。
- 省エネ性能の高い既存住宅について、借入限度額を引き上げ。子育て世帯・若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せ措置があり、控除期間も13年間に拡充。
- 床面積要件の40㎡以上への緩和を既存住宅にも適用(ただし合計所得金額1,000万円超の人、および子育て世帯等への上乗せ措置を使う人は50㎡以上)。
- 令和10年以降に建築確認を受ける省エネ基準適合住宅は適用対象外(登記簿上の建築日付が令和10年6月30日までのものは対象)。
- 令和10年以降に入居する場合、災害レッドゾーンの新築住宅は適用対象外(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。
控除率・控除期間・借入限度額・住民税の控除上限は、入居年や住宅の性能区分(認定住宅・省エネ基準適合など)によって異なります。ご自身に適用される条件は、国税庁・国土交通省の最新情報でご確認ください。
ふるさと納税は住宅ローン控除に影響する?
本題の「ふるさと納税が住宅ローン控除に影響するか」ですが、原則として影響しません。ただし、住宅ローン控除が所得税で引ききれず、住民税からも控除されている場合は注意が必要です。控除の手続きには「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2通りがあり、どちらを使うかで控除の流れが変わるためです。
| 比較の観点 | ワンストップ特例制度 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 利用できる人 | 確定申告が不要な給与所得者で、寄附先が年間5自治体以内 | 誰でも(自営業者、医療費控除を受ける人、住宅ローン控除の初年度など) |
| 控除の対象 | 住民税のみ | 所得税+住民税 |
| 住宅ローン控除との関係 | 住民税から控除されるため、所得税の住宅ローン控除枠を侵しにくく、控除ロスが起きにくい | 所得税の計算で先にふるさと納税が差し引かれ、住宅ローン控除が住民税の上限を超えると控除ロスが生じる場合がある |
| 手続き | 寄附ごとに申請書と本人確認書類を各自治体へ提出 | 翌年に寄附金受領証明書を添えて確定申告 |
つまり、住宅ローン控除を受けている人が控除ロスを避けたい場合は、ふるさと納税を「ワンストップ特例制度」で申請するのが基本です。ワンストップなら控除は住民税からのみ行われ、所得税側の住宅ローン控除に影響しません。
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必須=ワンストップは使えない
ここが最大の注意点です。住宅ローン控除を受ける初年度(最初の年)は、必ず確定申告が必要です。確定申告をするとワンストップ特例は使えず(申請済みでも無効になります)、ふるさと納税も確定申告にまとめて申告することになります。
この場合、ふるさと納税は所得税からも控除されるため、人によっては住宅ローン控除の住民税枠を一部使いきれず、数千円程度の控除ロスが出ることがあります。ロスを抑えたい初年度は、ふるさと納税の寄附額をシミュレーション結果より少し控えめにする、といった工夫も有効です。なお2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けられるため、確定申告が不要な人はワンストップ特例を利用でき、控除ロスは起きにくくなります。
年ごとの流れを整理すると次のようになります。
| タイミング | 住宅ローン控除の手続き | ふるさと納税の手続き(会社員の場合) |
|---|---|---|
| 入居した年(初年度) | 確定申告が必須 | ワンストップは使えない。確定申告にまとめて申告。控除ロスが気になるなら寄附額は控えめに |
| 2年目以降 | 年末調整で対応可 | 寄附先が年間5自治体以内ならワンストップ特例が使える(控除ロスが起きにくい) |
| 2年目以降でも確定申告をする年 (医療費控除・副業など) | 年末調整または確定申告 | ワンストップは無効になるため、ふるさと納税も確定申告に含める |
ふるさと納税の確定申告・ワンストップ特例制度
平成27年度から、寄附を受けた自治体が寄附者の居住自治体へ通知を行い、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」が始まっています。ワンストップ特例を使う場合は、1回の寄附ごとにマイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカードのコピー等)を添えて申請書を返送する必要があり、利用できるのは1年あたり5つの自治体までです。6自治体以上に寄附した場合や、医療費控除など他の理由で確定申告をする場合は、ワンストップは使えず確定申告で寄附金控除を申告します。
なお、ワンストップ特例の申請書は寄附した翌年の1月10日必着が期限として案内されるのが一般的です。年末の駆け込み寄附では申請が間に合わないこともあるため、締切は寄附先の自治体の案内で確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. ふるさと納税と住宅ローン控除は併用できますか?
A. 併用できます。控除ロスを避けたい場合は、原則ふるさと納税をワンストップ特例制度で申請します(住民税からのみ控除されるため)。
Q. 住宅ローン控除の初年度はどうすればよいですか?
A. 初年度は確定申告が必須でワンストップが使えないため、ふるさと納税も確定申告にまとめて申告します。控除ロスが気になる場合は寄附額をやや控えめにすると安心です。
Q. 住宅ローン控除はいつまで使えますか?
A. 令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、令和12年(2030年)12月31日までに入居した場合までが対象です(関連税制法は2026年3月31日成立)。借入限度額や控除期間は入居年・住宅の性能区分で異なるため、詳細は国土交通省・国税庁でご確認ください。
Q. 仲介サイトのポイント付与が禁止されて、ふるさと納税はお得ではなくなったのですか?
A. 2025年10月1日以降、ポータルサイトによる独自ポイントの付与は禁止されましたが、制度自体は継続しており、原則自己負担2,000円で返礼品を受け取れる点は変わりません。最新のルールは各サイト・総務省ポータルでご確認ください。
住宅ローンそのものを検討・見直す際は、金利だけでなく事務手数料・保証料・団信といった諸費用も含めて総返済額で比較するのがおすすめです。たとえばSBI新生銀行は保証料0円・一般団信の上乗せ0円など諸費用の分かりやすさに特長があり、店舗とオンラインの両方に対応している点も含め、検討に値する選択肢の一つです(最新の金利・手数料は公式サイトでご確認ください)。
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