
「デンマークでは変動金利がマイナスになり、住宅ローンを借りた人が逆に利息を受け取っている」——かつてそんな報道が話題になりました。では日本でも、住宅ローン金利がマイナスになることはあるのでしょうか。本記事では、日銀の金融政策と住宅ローン金利の関係を、最新の状況(2026年7月時点)にもとづいて整理します。
そもそも「金利がマイナス」とはどういうこと?
金利がマイナスとは、お金を貸す側が、借りる側に利息を支払う状態を指します。もし住宅ローンがマイナス金利になれば、借りたほうが得になるため、頭金がなくても借りようという人が増える……という理屈です。実際にデンマークなど一部の国では、変動金利型の住宅ローンで一時的にマイナス金利が発生した例が報じられました。
日銀の「マイナス金利政策」は2024年に終了した
まず押さえておきたいのは、「住宅ローンの金利」と「日銀のマイナス金利政策」は別物だという点です。日銀のマイナス金利政策とは、民間の金融機関が日本銀行に預ける当座預金の一部にマイナスの金利を適用する政策でした。銀行が日銀に預けたままにすると手数料が発生するため、企業や個人への融資に資金を回すよう促し、景気を刺激する狙いがありました。
この政策は2016年に導入されましたが、2024年3月に解除されました。その後、日銀は段階的に利上げを進め、2026年6月には政策金利を1.0%程度まで引き上げています(約31年ぶりの高水準)。つまり現在は「マイナス金利」ではなく、むしろ金利が上昇していく局面に入っています。最新の金融政策の状況は日本銀行の公式サイトでご確認ください。
日本で住宅ローン金利がマイナスになることはある?
結論からいえば、日本で住宅ローンそのものの金利がマイナスになったことはなく、現在の金利上昇局面ではその可能性はさらに遠のいています。マイナス金利政策のもとでも各金融機関の金利引き下げ競争は起きましたが、住宅ローン金利がマイナスまで下がることはありませんでした。銀行にとって住宅ローンは収益の柱であり、貸出金利をマイナスにする合理性がないためです。ATM手数料や各種事務手数料の見直しはあっても、貸出金利そのものがマイナスになる展開は考えにくいでしょう。
かつて言われた「実質マイナス金利」と住宅ローン控除
金利が歴史的な低水準だった時期には、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を使うと「実質的にマイナス金利のような状態」になると言われていました。年末のローン残高に応じて所得税・住民税が控除されるため、控除率が適用金利を上回れば、利息の負担よりも戻ってくる額のほうが大きくなる、という考え方です。
ただし制度は改正され、2022年以降の控除率は一律0.7%(新築の省エネ住宅などは控除期間13年、既存住宅は10年)に引き下げられています。かつての「1%」より低くなったうえ、足元では変動金利も上昇に転じつつあるため、「控除率が金利を上回る」ケースは以前ほど当てはまりにくくなっています。最新の控除率・借入限度額・要件は国土交通省や国税庁の公式情報でご確認ください。
| 比較の観点 | マイナス金利政策 導入時(2016年) | 現在(2026年7月時点) |
|---|---|---|
| 日銀の政策金利 | 一部当座預金にマイナス0.1% | 1.0%程度(2026年6月に利上げ) |
| 金利の方向感 | 引き下げ競争 | 上昇局面 |
| 住宅ローン控除の控除率 | 1% | 0.7%(2022年以降) |
| 住宅ローン金利 | 過去最低水準を更新 | 変動は低位ながら上昇の兆し/固定は上昇傾向 |
金利が上昇する局面での住宅ローンの選び方
マイナス金利の時代から一転して金利上昇局面に入った今は、「変動金利の低さ」だけで選ばず、金利が上がったときの負担まで見据えることが大切です。変動金利は依然として低い水準(新規・最優遇でおおむね年0.9〜1.2%台、金融機関により異なる)ですが、今後の利上げで上昇する可能性があります。返済期間を通じて金利を確定させたい人は、フラット35や当初固定型も選択肢になります。
ネット銀行では、auじぶん銀行や住信SBIネット銀行、ソニー銀行などが低金利と手厚い団信で人気です。店舗相談とオンライン手続きの両方に対応し、事務手数料・保証料の分かりやすさで検討しやすいSBI新生銀行のような選択肢もあります。金利だけでなく、事務手数料・保証料・団信の内容までを横並びで比べて選びましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 日銀のマイナス金利政策はまだ続いているの?
A. いいえ。2016年に導入されたマイナス金利政策は2024年3月に解除され、その後は利上げが進んでいます。2026年6月時点の政策金利は1.0%程度です。
Q. これから住宅ローン金利は上がるの?
A. 変動金利の基準となる短期金利は、日銀の利上げを受けて上昇圧力がかかっています。反映のタイミングは金融機関ごとに異なり、多くの銀行では基準日を経て段階的に反映されます。最新の適用金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
Q. 住宅ローン控除の控除率は今いくつ?
A. 2022年以降は一律0.7%です(新築の省エネ住宅などは控除期間13年、既存住宅は10年)。借入限度額は住宅の性能や世帯区分で変わるため、最新の要件は国税庁・国土交通省の情報で確認してください。
住宅ローンの金利タイプや各行の条件は、当サイトの比較・特集も参考にしてください。マイナス金利政策と住宅ローンへの影響の特集もあわせてどうぞ。
