2017年6月26日に石川県で開催された木造住宅協会の講演会で、日銀の金沢支店長が住宅ローン金利の見通しについてコメントしました。様々な記事でも取り上げられている通り、今の日本の金利は日銀の金融緩和(マイナス金利政策や長期金利の0%誘導(イールドカーブ・コントロール))などによりコントロール下にある状態と言って過言ではありませんので、日銀の幹部である支店長のコメントは重要です。

 

石川県・富山県の地方紙である北國新聞の報道によると、日銀金沢支店は以下のの通りコメントした、とされています。

 

・住宅ローン金利はもう下がることはない。景気がさらに良くなればローン金利も上がる可能性がある

・長期金利、物価が上昇を始めた。国内外の経済は良い状況で、ローン金利は昨年7月が底だった

 

北國新聞は上記のように報道していますが、本当に上記のコメントをしたのかは真偽はわかりません。ただし、本当に上記のように発言したのであれば、日銀の支店長としては軽率だったと言わざるを得ませんね。

 

どのような考えで「住宅ローン金利はもう下がることはない。」と発言しているのかの真意は本人に確認しなければわかりませんが、少なくとも住宅ローン金利を決めているのは各金融機関であって、日銀ではありません。日銀の幹部が断定的に発言するのはもってのほかです。日銀の金融緩和が日本の金利のかなりの部分をコントロールしているのは事実ですが、長短金利は日々変動していますので、少なくても短期的には住宅ローン金利は低下する可能性は十分にあります。(日銀によるコントロールも「レンジ」を定めて行われています)

 

また、2016年の7月が底だったという発言も気になります。確かに2016年7月・8月は長期金利も過去最低金利と記録し、住宅ローンの金利も過去最低水準でした。ただし、それは住宅ローンの固定金利の全体の傾向を示しているだけであり、金融機関によっては2016年の7月・8月の金利水準をしばらく提供し続けていましたし、変動金利タイプの住宅ローンの場合は、2016年7月よりも低い金利を提供している金融機関もあります。

 

日銀が断定できる要素はどこにもないわけですね。コメント全文が公開されれば支店長のコメントの主旨が理解できるかもしれませんし、本人に聞けば「全体感」としてと弁明するのかもしれませんがいずれにしても軽率な発言だったのは間違いありません。

 

また、このコメントの通り受け取ると、日銀は金融緩和の方向性(金利を低下させるつもりはない)を明示してしまっています。日銀の黒田総裁が、(本音でどう考えているかはわかりませんが)「日本の経済の動向を踏まえて、金融緩和・マイナス金利の拡大は躊躇しない」と日銀の政策の方向性も断定しないように配慮しているのが水の泡になる発言です。

 

2016年の7月・8月ほどに金利が低下(マイナス幅を拡大)される可能性は、現時点では低いのは正しいのかもしれませんし、今のうちに住宅ローンを借り換えておくというアクションを取ることは重要であるとは思いますが、このような断定的かつ誤った情報に惑わされないようにしましょう。

 

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