
住宅ローンを借りるとき、金利や団信と並んで必ず発生する手続きが火災保険の契約です。ところが購入手続きの終盤に一気に進むため、内容を十分に比較しないまま決めてしまう人も少なくありません。
ここでは、住宅ローンの申し込みと火災保険の手続きをオンラインで進められるauじぶん銀行の仕組みを入り口に、住宅ローンにおける火災保険の基本と、2022年以降に変わった重要なルールを整理します。
auじぶん銀行の火災保険はペーパーレスで手続きできる
auじぶん銀行は住宅ローン契約者向けに火災保険を取り扱っており、引受幹事保険会社はあいおいニッセイ同和損害保険です。手続きには「らくっとネット手続き」が用意されています。
これは、あいおいニッセイ同和損害保険が開発した火災保険の契約手続きで、取扱代理店が作成した申込書データをもとに、契約者がスマートフォンやパソコンでペーパーレスに手続きできるという仕組みです(同行公式サイトの説明による)。書面のやり取りを前提とした従来の流れと比べ、記入・郵送にかかる時間を圧縮できるのが利点です。
auじぶん銀行は住宅ローンの申し込みから契約までをオンラインで完結できる設計になっているため、火災保険まで含めて来店せずに進められる点が、共働き世帯や遠方の物件を購入する人にとっての実用的なメリットといえます。補償内容・保険料・対象となる物件の条件は個別に異なるため、詳細は必ず公式サイトと保険会社の説明資料でご確認ください。
なお、auじぶん銀行は団信でも知られていますが、上乗せ金利なしで付帯するのは「がん50%保障団信」=がんと診断された場合に住宅ローン残高の50%が保障されるタイプです(残高が0円になる「がん100%保障団信」は年0.05%、「がん100%保障団信プレミアム」は年0.15%の上乗せ)。「無料でがん保障が付く」という表現だけで判断せず、保障割合まで確認しましょう。
住宅ローンと火災保険の関係
住宅ローンを借りる際、火災保険への加入は事実上の必須条件とされるのが一般的です。担保となる建物が焼失・損壊すると、金融機関にとっても返済原資が失われるためです。
押さえておきたいのは次の3点です。
- 保険会社を金融機関が指定するとは限らない…多くの場合、必要な補償条件を満たしていれば自分で選んだ火災保険でも構いません。銀行経由の商品を選ぶ義務があるかは、必ず契約先に確認しましょう。
- 質権設定の有無を確認する…金融機関が保険金を優先的に受け取れるようにする「質権設定」を求められる場合があります。設定されていると、保険の見直しや解約に金融機関の同意が必要になります。
- 地震保険は火災保険とは別…地震・噴火・津波による損害は火災保険では補償されません。備えるには火災保険に付帯する形で地震保険を契約する必要があります。
2022年10月以降、火災保険は「最長5年」になった
火災保険を考えるうえで、住宅ローン利用者が知っておきたい大きな変更があります。損害保険料率算出機構が参考純率を適用できる期間を最長10年から5年へ短縮したことを受け、各社の火災保険は2022年10月以降に始まる契約から最長5年となりました。
これは実務的に次の意味を持ちます。
- 長期一括契約による割引効果が小さくなった…以前は10年一括で大きく割り引けましたが、現在は最長5年です。
- 更新のたびに料率改定の影響を受ける…自然災害の増加を背景に参考純率の改定が続いており、更新時に保険料が上がる可能性があります。
- 返済期間中に何度も更新が来る…35年ローンなら、火災保険の更新は7回前後発生します。「更新のたびに見直せる」と前向きに捉えるのが実用的です。
なお、すでに契約済みの長期契約の期間が途中で短縮されることはありません。
銀行経由で申し込む場合と、自分で選ぶ場合
| 比較の観点 | 銀行経由で申し込む | 自分で選んで契約する |
|---|---|---|
| 手続きの手間 | 住宅ローンと同じ流れで完結しやすい(auじぶん銀行はペーパーレス手続きに対応) | 見積もり取得・比較の時間が別途必要 |
| 保険料 | 提示された商品の条件で決まる | 複数社を比較して抑えられる可能性がある |
| 補償の調整 | 用意されたプランの範囲で選ぶ | 水災・破損汚損の要否まで細かく調整しやすい |
| 引渡日への間に合わせやすさ | スケジュールが銀行側と連動しやすい | 自分で逆算して手配する必要がある |
| 向いている人 | 手続きの負担を減らしたい人 | 保険料と補償を納得いくまで比較したい人 |
どちらが正解ということはありません。引渡日までの残り時間と、比較にかけられる手間で選ぶのが現実的です。
補償範囲でとくに判断が分かれる項目
火災保険は「火事のための保険」と思われがちですが、実際には風災・雪災・落雷・水濡れ・盗難など幅広い事故が対象です。保険料に大きく影響し、判断が分かれやすいのは次の2つです。
- 水災…ハザードマップ上のリスクが低い立地では外す選択もありますが、近年は内水氾濫による被害も報告されています。自治体のハザードマップで浸水想定を確認したうえで決めましょう。
- 破損・汚損など…日常の不注意による損害をカバーします。小さな子どもやペットがいる世帯では実用性が高い一方、免責金額の設定次第で使い勝手が変わります。
詳しくは、台風、竜巻、突風、水害など自然災害への備え|保険でマイホームを守ろうもあわせてご覧ください。
住宅ローンの火災保険についてのよくある質問
Q. 火災保険はいつまでに契約すればよいですか?
A. 一般に物件の引渡日(融資実行日)を保険始期とするため、それに間に合うよう逆算して手配します。ペーパーレス手続きに対応していれば所要日数を短縮できますが、審査・書類確認の時間は必要なので早めに動くのが安全です。
Q. 銀行が案内する火災保険に必ず入らなければいけませんか?
A. 必要な補償条件を満たしていれば、自分で選んだ保険で構わないケースが一般的です。ただし取り扱いは金融機関ごとに異なるため、申込前に「他社の火災保険でよいか」「必要な補償の条件は何か」を確認してください。
Q. 保険期間は5年一括と1年更新のどちらが得ですか?
A. 一括のほうが割引は効きますが、まとまった支出が必要です。また料率改定が続く局面では、長期契約は改定前の料率を維持できる面もあります。手元資金と見直しの手間を天秤にかけて選びましょう。
Q. 借り換えをしたら火災保険はどうなりますか?
A. 火災保険の契約自体は継続できますが、質権が設定されている場合は金融機関の変更手続きが必要です。借り換えの見積もりを取る段階で、火災保険の扱いも確認しておくと手戻りがありません。
Q. 地震保険にも入るべきですか?
A. 地震・噴火・津波による損害は火災保険では補償されないため、備えるには地震保険が必要です。地震保険は火災保険とセットでのみ契約でき、保険金額は火災保険の30〜50%の範囲という国の制度上のルールがあります。住宅ローンの残債が大きい時期ほど、加入の意義は大きくなります。
まとめ
auじぶん銀行のように住宅ローンと火災保険の手続きをオンラインで進められる銀行は、忙しい世帯にとって実務上のメリットがあります。一方で、火災保険は2022年10月以降の契約から最長5年となり、返済期間中に何度も更新が訪れます。
だからこそ、初回契約時に「補償範囲を理解して選ぶ」こと、そして更新のたびに見直す前提で考えることが重要です。保険料・補償内容・取扱条件は改定されるため、最新の内容は各金融機関・保険会社の公式サイトでご確認ください。
