
新築と中古のマンションで諸費用の差が大きく出るのは、中古の仲介手数料と、新築の引き渡し時に払う修繕積立基金などの一時金です。都内で4,000万円の物件を買う場合、中古は仲介手数料だけで上限138万6,000円(税込)がかかる一方、新築は仲介手数料が不要なことが多い代わりに数十万円の一時金が必要になります。
入居後に毎月かかる管理費・修繕積立金は新築・中古とも共通ですが、新築は修繕積立金が当初低く設定され、後から段階的に上がるケースが多い点に注意が必要です。以下、4,000万円・専有面積70㎡の物件を例に、費用項目を横並びで整理します。金額は目安で、物件・地域・時期によって変わります。
新築・中古に共通する購入時の費用(4,000万円の場合)
【購入前・契約時】
- 手付金:約200万〜400万円(物件価格の5〜10%程度。売買代金の一部に充当)
- 印紙税(売買契約書に貼付):1万円(契約金額1,000万円超5,000万円以下の場合。本則2万円が軽減措置で1万円。軽減は2027年〈令和9年〉3月31日作成分まで。電子契約なら印紙税はかからない)
【引き渡し時】
- 物件代金
- 建物部分の消費税(中古でも売主が法人など課税事業者なら必要。個人間売買の中古住宅は非課税)
- ローン関連費用(保証料・事務手数料など):約100万円前後(金融機関・商品で大きく異なる)
- 火災保険料:数万円〜(補償内容・構造・地域で大きく変わる。現在は最長5年契約が基本で、以前のような10年一括契約はできない)
- 登記関連費用(登録免許税+司法書士報酬):約40万円
- 固定資産税等の清算金:約10万円(引き渡し時期により変動)
登録免許税には住宅用の軽減税率があり、所有権の保存登記は0.15%(本則0.4%)、所有権の移転登記は0.3%(本則2.0%)、住宅ローンの抵当権設定登記は0.1%(本則0.4%)です。
この軽減の適用期限は2027年3月31日までで、床面積50㎡以上などの要件を満たす証明書を添えて、取得後1年以内に登記する必要があります(国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」)。建物部分は新築が「保存」、中古が「移転」の登記になるため、中古のほうが税率は高くなります。
このほか、取得後に不動産取得税が課されます。住宅用の軽減措置により実際の負担は小さくなる、あるいはかからないことも多い税金です。
新築マンションだけにかかる費用=引き渡し時の一時金
- 申込金:約10万円(人気物件の場合。契約に進まなければ返還されることが多い)
- 管理準備金:数万円(物件による。引き渡し時)
- 修繕積立基金:数十万円(物件による。将来の大規模修繕に備えて引き渡し時にまとめて払う一時金)
中古マンションだけにかかる費用=仲介手数料とリフォーム費
- 仲介手数料:上限138万6,000円(税込)(4,000万円の場合。速算式「売買価格×3%+6万円」=126万円に消費税10%を加えた額)
- リフォーム費用:簡単なものなら数十万円、水回りをすべて含む大規模なものなら数百万円程度(引き渡し後)
新築・中古の費用の違い早見表
| 費用項目 | 新築マンション | 中古マンション |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不要なことが多い(売主直販) | かかる(例:4,000万円で上限138万6,000円・税込) |
| 建物の消費税 | かかる(分譲会社が売主) | 個人売主なら非課税/法人売主はかかる |
| 登録免許税(建物) | 所有権保存 0.15% | 所有権移転 0.3% |
| 修繕積立基金・管理準備金 | かかる(引き渡し時の一時金) | 基本的に不要 |
| 修繕積立金の月額 | 当初は低めで段階的に上がることが多い | すでに引き上げ済み、または値上げ予定があることも |
| リフォーム費用 | 基本的に不要 | 必要になることがある(数十万〜数百万円) |
| 入居までの期間 | 完成待ちで長くなることがある | 短く、すぐ入居しやすい |
入居後の管理費・修繕積立金は国の統計とガイドラインで確認する
入居後の費用は、新築・中古を問わず毎月かかります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、1戸あたりの月額平均(駐車場使用料等からの充当分を除く)は管理費11,503円、修繕積立金13,054円でした。
一方、国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドライン(2024年6月改定)が示す「計画期間全体で必要な修繕積立金の平均額」は、専有面積1㎡あたり月252〜338円(建物の規模・階数による)です。70㎡なら月1万7千〜2万4千円ほどになり、実際に払われている平均額より高い水準です。
| 区分 | 月額の目安 | 出典・前提 |
|---|---|---|
| 管理費(実際の平均) | 11,503円/戸 | 令和5年度マンション総合調査(充当分を除く) |
| 修繕積立金(実際の平均) | 13,054円/戸 | 同上 |
| 修繕積立金(ガイドライン・20階未満・延床5,000㎡未満) | 約23,450円(335円×70㎡) | 計画期間全体の平均額。事例の3分の2は235〜430円/㎡ |
| 修繕積立金(ガイドライン・20階以上) | 約23,660円(338円×70㎡) | 同上。事例の3分の2は240〜410円/㎡ |
差が生まれる大きな理由は積立方式です。同じ調査では、段階増額積立方式が47.1%と均等積立方式(40.5%)を上回り、新しいマンションほど段階増額方式の割合が高くなっています。
新築の販売資料に載る修繕積立金は「最初の数年の金額」であることが多いため、長期修繕計画で何年後にいくらまで上がる予定かを確認し、住宅ローンの返済と合わせた家計で無理がないかを見ておきましょう。
このほか、固定資産税・都市計画税が毎年かかります。マンション総合保険の値上げが管理費に及ぶケースについてはマンション総合保険の値上げと管理費への影響でまとめています。
新築は融資実行までの金利上昇、中古は修繕の履歴に注意
新築で注意したいのは、引き渡しまでの住宅ローン金利の上昇です。多くの金融機関では、適用金利は申込み時点ではなく融資実行(引き渡し)時点で決まります。完成前に契約する新築マンションは、契約から引き渡しまで1年以上あくこともあり、その間に金利が上がると返済額が想定より重くなります。
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後も利上げを重ね、2026年9月18日の会合で短期の政策金利を1.25%程度へ引き上げました(日本銀行の公表資料)。変動型の金利はこの政策金利の影響を受けます。
固定型の指標となる長期金利(新発10年国債利回り)も、2026年9月は3%前後で推移しています(財務省 国債金利情報)。引き渡し時の金利が今より高くなっても返せるか、余裕をもって試算しておくと安心です。
中古で注意したいのは、大規模修繕と修繕積立金の残高です。一般に築10年を過ぎると大規模修繕の検討が始まり、工事費の上昇で修繕積立金が値上がりすることもあります。購入前に長期修繕計画・修繕積立金の残高・過去の値上げ履歴を管理組合の資料で確認しておきましょう。
新築は入居後しばらく修繕の出費が少なく計画を立てやすい一方、中古は待たずに入居でき、実物を見て買えるのが利点です。資産価値の下がり方の違いは新築マンションの資産価値はどれだけ下がるか(中古との違い)、土地が借地のケースは定期借地権付きマンションで住宅ローンを組む条件もあわせて参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古マンションの仲介手数料はいくらまでかかりますか?
A. 売買価格が400万円を超える場合の上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。4,000万円の物件なら138万6,000円(税込)が上限で、これより低い手数料をうたう会社もあります。
Q. マンションの諸費用は物件価格の何%を見ておけばよいですか?
A. 一般的な目安は新築で物件価格の3〜7%程度、中古で6〜10%程度です。中古は仲介手数料の分だけ多くなりがちで、ローン保証料や火災保険の内容でも変わるため、余裕をもって見積もりましょう。
Q. 新築マンションの修繕積立金が安いのはなぜですか?
A. 当初の負担を抑えて段階的に引き上げる「段階増額積立方式」が多いためです。国のガイドラインでは初期額を均等積立の0.6倍以上、最終額を1.1倍以内とする考え方が示されており、将来の値上げ計画を長期修繕計画で確認しておくことが大切です。
Q. 諸費用も住宅ローンに組み込めますか?
A. 諸費用まで含めて借りられる住宅ローンや「諸費用ローン」を扱う金融機関もあります。ただし借入額が増える分だけ総返済額や毎月の負担も増えるため、手元資金とのバランスを確認しましょう。
住宅ローンの金利や諸費用は金融機関ごとに差があります。複数行を横並びで比べたい方は、当サイトの住宅ローン比較もあわせて参考にしてください。金利・手数料・取り扱い条件の最新情報は、各金融機関の公式サイトでご確認ください。
