建設経済研究所が2017年4月版の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」を発表しました。それによると、2017年度の住宅着工戸数は2016年度比で3.5%少ない93.7万になるとの予測になっています。2016年度は日銀によるマイナス金利政策の影響を受けて、住宅ローン金利が大幅に低下。その流れを受けるような形で住宅建設着工件数も増加していました。住宅ローンの金利は低下していても、肝心の住宅価格が上昇しており、有識者の間では問題視される声もあがっていた日本の住宅市場。

 

住宅価格はまだ高止まりしていると言えるような状況ですが、空き家率も引き続き高い状態です。空き家が多いのに住宅の価格は高い、そんな需要と供給のバランスの観点で考えると、そのような状態が長続きするとは思えません。

もちろん、相続目的での住宅建設など一般的ではない目的で住宅が建築されることもあります。政府・日銀などによる金融政策や円高・円安など世界経済の影響も受けます。日本の人口増の多くを担っているのは海外から日本へ居住を移す人たちという現実もあります。様々な要因が絡みますし、地域によっても状況は大きくことなりますが、少子高齢化が進む日本においては、基本的には今回の予測同様に減少傾向になっていくことが予想されますね。

 

上記のような状態になった場合、住宅ローン業界にも当然影響が生じます。まずは、住宅ローンの新規貸出件数の減少ですね。マイホームが減っているのに住宅ローンの新規借り入れが増える道理はありません。そうなると金融機関としては、すでに住宅ローンを利用している層を自社に呼び込んでくる必要があります。住宅ローンの借り換えですね。ただし、長らく低金利が続く日本の住宅ローン環境においては、「借り換え」というやや面倒な行為をしっかりと行う人たちの借り換え需要は一巡した可能性が高く、借り換えについても見通しは明るくないのではないかと考えています。

 

つまり、住宅ローンユーザの獲得競争は今後、さらに激化していく可能性が高いということですね。もちろん、中古住宅のリフォームに力を入れたり、外国から転居してきた人への住宅ローンの提供を強化したり、様々な住宅分野において新しい取り組みが誕生してくると思いますが、ここ数年は一般的な住宅ローンユーザの獲得競争は継続していくことになりそうです。