省エネ性能の高い住宅と長期固定金利の住宅ローンをイメージしたイラスト

【フラット35】Sとは、省エネルギー性や耐震性などを備えた「質の高い住宅」を取得する場合に、【フラット35】の借入金利を当初一定期間引き下げる制度です。全期間固定金利という安心感はそのままに、入居後しばらくの返済負担を軽くできるのが特徴です。

 

ただし、この制度は2022年10月の申込受付分から「ポイント制」へ移行しており、かつての「金利Aプランは当初10年間」といった説明は現在の制度には当てはまりません。この記事では、2026年8月時点の公式情報にもとづいて、引下げ幅・ポイント制の考え方・実際の金利水準・注意点を横並びで整理します。

 

【フラット35】Sの金利引下げ幅(2026年8月時点)

【フラット35】Sには3つのメニューがあり、取得する住宅の性能レベルによって引下げ幅が変わります。現在はいずれのプランも引下げ期間は「当初5年間」で統一されています。

金利引下げメニュー金利引下げ期間金利引下げ幅
【フラット35】S(ZEH)当初5年間年▲0.750%
【フラット35】S(金利Aプラン)当初5年間年▲0.500%
【フラット35】S(金利Bプラン)当初5年間年▲0.250%

※住宅金融支援機構 公式サイト(2026年8月時点・当サイトにて確認)。上表は【フラット35】Sのポイントのみを適用した場合の引下げ内容です。

 

「ポイント制」の仕組み ─ 組み合わせると最大 年▲1.000%

現在の【フラット35】は、金利引下げメニューごとにポイントが決まっており、合計ポイント数に応じて引下げ幅と引下げ期間が決まる「ポイント制」です。【フラット35】Sもこのポイント制の一部で、上表の引下げ幅は「S(ZEH)=3ポイント/金利Aプラン=2ポイント/金利Bプラン=1ポイント」に相当します(1ポイント=当初5年間 年▲0.250%)。

ポイントの対象になるのは、大きく次の4カテゴリーです。

カテゴリー主なメニューポイントの考え方
家族構成【フラット35】子育てプラス子育て世帯・若年夫婦世帯が対象。こどもの人数等に応じて加算
住宅性能【フラット35】S/リノベ/中古プラスSは性能レベルに応じて1〜3ポイント
管理・修繕【フラット35】維持保全型長期優良住宅・管理計画認定マンションなどが対象
地域連携【フラット35】地域連携型/地方移住支援型地方公共団体の財政的支援とセットで利用

これらを組み合わせると、当初5年間で最大 年▲1.000%(4ポイント)の引下げまで拡大します。なお子育てプラスを利用しない場合は合計4ポイントが上限で、それ以上の条件を満たしても引下げは増えません。逆に子育てプラスを利用する場合は上限が撤廃され、5ポイント以上では引下げ幅ではなく引下げ「期間」が延びる形になります。自分が何ポイントになるかは、機構の「金利引下げ内容確認」シミュレーションで確認できます。

 

2026年8月の金利で見ると、どのくらい下がるのか

2026年8月の【フラット35】の最頻金利(融資率9割以下・新機構団信付き)と、4ポイント=年▲1.000%を適用した場合の当初5年間の金利は次のとおりです。

返済期間【フラット35】の最頻金利4ポイント適用時の当初5年間
21年〜35年年3.290%年2.290%
15年〜20年(フラット20)年2.970%年1.970%
36年〜50年(フラット50)年3.500%年2.500%

※2026年8月時点・住宅金融支援機構 公式サイトにて確認。最頻金利は取扱金融機関が提供する金利のうち最も多いものです。実際の適用金利は取扱金融機関ごとに異なるため、申込先の公式サイトで必ずご確認ください。

2026年8月の【フラット35】は前月から年+0.150%の上昇で、現行制度になった2017年10月以降で最も高い水準です。金利が上がっている局面ほど、当初5年間の引下げが受けられるかどうかで実際の返済額の差は大きくなります。物件が【フラット35】Sの技術基準を満たすかどうかは、早い段階で確認しておく価値があります。

 

総返済額はどれだけ変わる?(機構の公表試算例)

住宅金融支援機構は、借入額3,000万円(融資率9割以下)・借入期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なし・借入金利年2.50%という条件で、次の試算例を公表しています。

フラット35とフラット35Sの3プランの総返済額を比較した棒グラフ
借入3,000万円・35年・元利均等・ボーナス返済なし・借入金利年2.50%とした場合の機構試算例(概算・諸費用は含まず)
 【フラット35】S(ZEH)S(金利Aプラン)S(金利Bプラン)
当初5年間の金利年2.500%年1.750%年2.000%年2.250%
6年目以降の金利年2.500%年2.500%年2.500%年2.500%
当初5年間の毎月返済額107,248円95,573円99,378円103,270円
6年目以降の毎月返済額107,248円105,706円106,235円106,749円
総返済額45,044,199円43,788,588円44,207,234円44,625,826円
【フラット35】との差▲約125万円▲約83万円▲約41万円

※住宅金融支援機構が公表している試算例(2026年8月時点で当サイトが確認)。試算結果は概算で、融資手数料・物件検査手数料・火災保険料などは含まれていません。この例の年2.50%は説明用の金利であり、実際の適用金利は資金受取時点の金利になります。

引下げ幅は年0.250%〜0.750%と数字だけ見ると小さく感じますが、35年という長い返済期間で見ると数十万円〜100万円超の差になります。しかも当初5年間は毎月の返済額そのものが軽くなるため、入居直後で出費がかさむ時期のキャッシュフロー対策としても効きます。

 

【フラット35】Sの技術基準は4分野

【フラット35】Sの対象になるのは、次の4つの分野のいずれかで機構の定める基準を満たす住宅です。基準に適合しているかは、第三者機関である検査機関などの設計検査・現場検査を通じて確認されます。

基準内容住んでからのメリット
省エネルギー性高い水準の断熱性などを実現した住宅夏涼しく冬暖かく、冷暖房費に差が出る
耐震性強い揺れに対して倒壊・崩壊などしない程度の性能を確保した住宅地震保険の割引が受けられる場合がある
バリアフリー性高齢者の日常生活を行いやすくした住宅移動がラクで、老後の改修費も軽減できる
耐久性・可変性長期優良住宅など、長期にわたり良好な状態で使うための措置を講じた住宅将来のメンテナンス費用を抑えやすい

金利が下がるだけでなく、光熱費・修繕費・保険料といった「住んでからのコスト」も下がりやすいのが【フラット35】Sの本質的なメリットです。住宅の価格だけで比べるとS基準の住宅は割高に見えることがありますが、金利引下げと維持コストまで含めて比較するのが公平な見方といえます。

 

申し込む前に押さえておきたい注意点

【フラット35】Sにはいくつか明確な制約があります。とくに「予算枠」と「借換えには使えない」の2点は見落としやすいので注意してください。

注意点内容
予算金額がある予算金額に達する見込みとなった場合は受付が終了します。受付終了日は終了の約3週間前までに機構の公式サイトで告知されます
借換えには使えない新築住宅の建設・購入および中古住宅の購入が対象で、【フラット35】借換融資には利用できません
リノベとの併用不可【フラット35】リノベと【フラット35】Sは併用できません
レッドゾーンは対象外土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内等で新築住宅を建設・購入する場合は利用できません
検査と手数料が必要設計検査・現場検査を受ける必要があり、物件検査手数料が別途かかります

 

【フラット35】Sでよくある質問

Q. 引下げが終わる6年目から返済額はどれくらい増えますか?
A. 6年目以降は【フラット35】本来の金利に戻ります。上の機構試算例(年2.50%・3,000万円・35年)では、S(ZEH)の毎月返済額が95,573円から105,706円へ、約1万円増える計算です。当初5年間の軽い返済額を前提に借入額を決めると、6年目に家計が苦しくなります。返済計画は引下げ後の金額で組み立ててください。

Q. 【フラット35】Sを使うと、後から金利が変わることはありますか?
A. ありません。【フラット35】は資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定する全期間固定金利です。Sによる引下げも「当初5年間はいくら、6年目以降はいくら」と最初から確定します。変動金利のように市場金利で見直されることはありません。

Q. 中古住宅でも【フラット35】Sは使えますか?
A. 使えます。【フラット35】Sは新築住宅の建設・購入だけでなく中古住宅の購入も対象です。ただし技術基準への適合確認が必要なため、売主・仲介会社に「Sの基準に適合しているか」「適合証明は取得できるか」を早めに確認してください。中古住宅向けには【フラット35】中古プラスや維持保全型といった別メニューもあり、ポイントを重ねられる場合があります。

Q. 予算枠が終了したかどうかはどこで分かりますか?
A. 受付終了日は、終了する約3週間前までに住宅金融支援機構の【フラット35】サイトで告知されます。制度の適用は「資金受取時点」の取扱いによって決まるため、引渡しが先になるケースでは申込先の金融機関にスケジュールを確認しておくと安心です。

 

まとめ ─ 金利上昇局面ほど「引下げが使えるか」で差がつく

【フラット35】Sは、質の高い住宅を取得する人が当初5年間 年▲0.250%〜0.750%(他メニューとの組み合わせで最大 年▲1.000%)の引下げを受けられる制度です。2026年8月の【フラット35】が現行制度で最も高い水準にあることを考えると、引下げが使えるかどうかの重みはこれまで以上に大きくなっています。

一方で、【フラット35】Sは借換えには使えず、予算枠に達すれば受付が終了します。また、同じ【フラット35】でも取扱金融機関によって適用金利と融資手数料が異なるため、「Sが使えるか」と「どの金融機関で借りるか」は分けて比較するのが賢い進め方です。全期間固定にこだわらず総返済額で比べたい場合は、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の上乗せ0円といった諸費用の分かりやすさで選ばれているSBI新生銀行の長期固定タイプなど、民間銀行の固定金利型もあわせて候補に入れておくと判断材料が増えます。

技術基準を満たしているかどうかは、まず不動産会社や住宅事業者に確認するのが早道です。すでに申込先の金融機関が決まっている場合は、その金融機関の担当者に相談してください。

【フラット35】Sの制度内容・技術基準は住宅金融支援機構の公式ページで確認できます

 
なお、【フラット35】・【フラット35】S取り扱い金融機関の中で当サイトが取り上げているのはフラット35の取り扱い実績で最大手のSBIアルヒです。