金利上昇局面で住宅ローンの借り換えを検討する夫婦のイメージ

かつて『空前の低金利 住宅ローン借り換え「最後の好機」』というタイトルの記事が新聞や雑誌をにぎわせた時期がありました(本記事の初出は2014年です)。それから10年あまりが経ち、状況は大きく変わりました。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、約31年ぶりの高水準となり、住宅ローンは「空前の低金利」から「金利のある世界」へと局面が転換しています。では、金利上昇局面のいま、借り換えはもう意味がないのでしょうか。本記事では、2026年7月時点の金利環境と、それでも借り換えを検討する価値があるケース、返済期間の考え方を整理します。

2026年の金利環境|変動にも上昇が波及し始めた

まず現在地を確認します(いずれも2026年7月時点。金利は随時改定されるため、最新は各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトでご確認ください)。

項目状況(2026年7月時点)備考
政策金利1.0%程度(2026年6月16日に追加利上げ)1995年以来約31年ぶりの水準
短期プライムレート3メガバンクが2026年8月3日から年2.125%→2.375%へ引き上げ変動金利の基準となる金利
変動金利短プラ引き上げが今後波及へ。三菱UFJ銀行は9月1日から変動の基準金利を見直すと公表見直し時期・反映時期は銀行ごとに異なる
フラット352026年7月は年3.140%(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付き)前月比−0.070%と4カ月ぶりに低下

ポイントは、変動金利の基準金利の見直し時期と、毎月の返済額が実際に変わる時期は別物だということです。多くの銀行の変動金利(元利均等返済)には「5年ルール」(5年間は毎月の返済額を変えず、元金と利息の内訳で調整する仕組み)があり、基準金利が上がってもすぐに毎月の返済額が増えるとは限りません。ただし対象外の商品もあるため、ご自身の契約条件を必ず確認しましょう。

金利上昇局面でも借り換えを検討する価値があるケース

「金利が上がっているから借り換えは損」とは限りません。次のようなケースでは、いまでも借り換えメリットが出る可能性があります。

①古い契約で金利の引き下げ幅(優遇幅)が小さい場合
変動金利は「基準金利−引き下げ幅」で決まります。10年以上前の契約では引き下げ幅が小さいことがあり、基準金利が同水準でも、現在の大きな引き下げ幅で借り換えれば適用金利を下げられる余地があります。

②団信(団体信用生命保険)の保障を充実させたい場合
近年はがん保障付団信や全疾病保障付団信を金利上乗せなしで付けられる銀行もあり、保障の拡充を目的とした借り換えも選択肢です。

③将来の金利上昇に備えて固定金利へ切り替えたい場合
変動から固定への借り換えは、目先の適用金利は上がることが多いものの、返済額を確定させて金利上昇リスクを手放せます。どちらが得かは今後の金利次第で断定できないため、「返済額が確定する安心をいくらで買うか」という視点で判断します。

返済期間は「そのまま」か「短縮」か

借り換え時には、残りの返済期間をそのままにするか、短縮するかの判断が必要です。この考え方は金利環境が変わっても共通です。

期間をそのままにして金利を下げられれば、毎月の返済額を軽くできます。家計の余裕を優先したい方向きです。一方、期間を短縮すると毎月の返済額はあまり減りません(場合によっては増えます)が、利息を支払う期間が短くなるぶん総返済額の削減効果は大きくなり、定年前の完済にも近づきます。退職後にローンを残したくない方は、借り換えを機に期間短縮を検討する価値があります。

ただし、借り換えには事務手数料(借入額の2.20%〔税込〕程度の定率型が多い)・登記費用・印紙代などの諸費用がかかり、借入額によっては数十万円〜100万円を超えることもあります。金利差だけでなく、諸費用込みの総返済額で比較することが大切です。

よくある質問

Q. 2014年頃の低金利で借りた固定金利からの借り換えは意味がない?

当時の全期間固定より現在の固定金利のほうが高いことが多く、金利差益を狙う借り換えは成立しにくくなっています。一方、当時の変動より小さい引き下げ幅で借りている場合や、団信を充実させたい場合は検討余地があります。まずは現在の適用金利と引き下げ幅を返済予定表で確認しましょう。

Q. 変動で借りているが、返済額が増えるのはいつから?

基準金利の見直し時期は銀行ごとに異なります(例:三菱UFJ銀行は2026年9月1日から見直しと公表。多くの銀行は4月・10月の年2回見直し)。さらに5年ルールがある契約では、毎月の返済額の改定は5年ごとです。「いつ・いくら変わるか」は契約中の銀行の公式情報で個別に確認してください。

Q. 借り換え先はどう選べばよい?

適用金利だけでなく、事務手数料・保証料などの諸費用、団信の保障内容、繰上返済のしやすさを横並びで比較します。例えばSBI新生銀行は保証料0円・一部繰上返済手数料0円(手動での繰上返済)で諸費用の仕組みが分かりやすく、比較の基準に置きやすい銀行の一つです。各行の最新条件は公式サイトでご確認ください。

まとめ

「空前の低金利・最後の好機」と言われた時代は終わり、いまは金利上昇局面での守りの見直しが借り換えの主なテーマです。優遇幅の小さい古い契約の見直し・団信の拡充・固定化によるリスク回避など、目的をはっきりさせたうえで、諸費用込みの総返済額で複数行を比較しましょう。最新の金利・条件は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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