ここ最近、住宅金融支援機構の全期間固定型住宅ローン「フラット35」が人気だといいます。融資額は大きく続伸しており、2016年7-9型の実績で、前年同期比の58.5%増。額にして、約9001億円に達します。
人気の理由は、2016年2月のマイナス金利導入以来、従来なら金利が安いことが魅力の民間の変動型住宅ローンとの金利差が大幅に縮まっていることにあります。通常は、返済期間が長くなるほど将来の返済リスクが増加するため、固定型金利は変動型金利を上回ります。しかし、昨年2月以降、諸費用を含めた実質的な金利差は、急速に縮小。2016年8月には、金利差は0.5%を一時下回り、過去最低を更新しました。
一方で、民間金融機関独自の全期間固定型の金利も低下しています。フラット35を下回る金利で提供されるものもあり、住宅ローンは金利固定型と考えている人には、より多くの選択肢があるのです。
フラット35と民間銀行の独自ローンを比較する場合、金利以外の諸費用にも留意してください。事務融資手数料、保証料、団体信用生命保険(団信)の3つのコストを忘れてはいけません。民間銀行の独自ローンの場合、一般的に手数料と保証料がありますが、団信の保険料にあたる費用はありません。また、この団信費用は返済額とは別に、年払い(年0.3%程度の費用)で負担するのが一般的です。こうした諸費用を積み重ねた額は意外に大きなものなのです。
実際にいくつかの金融機関を例にとって比較してみましょう。
ARUHI(旧SBIモーゲージ)や住信SBIネット銀行は、フラット35取扱金融期間の中でも、低い水準の金利を打ち出しており、2017年2月現在、両金融機関とも20年で0.990%%、35年もので1.100%となっています。しかし、フラット35は事務手数料が2.20%(年0.2%換算)、団信が年0.3%となっているため、実質的な金利は20年で1.490%、35年もので1.600%となります。
なお、楽天銀行は事務手数料が1.100%(年0.1%換算)であるため、実質金利では20年で1.390%、35年もので1.500%となります。
一方、民間銀行の全期間固定型の住宅ローンでは、ソニー銀行の35年固定、みずほ銀行のネット住宅ローンなどがあります。これらの金利は、ソニー銀行35年固定で1.454%、みずほ銀行ネット住宅ローン35年固定で1.350%(表面金利1.150%に保証料 年換算0.2%をプラス)となっています。
こうして35年固定で比較すると、表面金利は一見フラット35の方が低く、お得感があるように感じますが、諸費用を差し引いた実質金利で考えると、ソニー銀行やみずほ銀行など民間銀行独自の全期間固定型ローンの方が金利が安く抑えられているケースがあります。
比較には当サイトの表面金利、実質金利を用いた住宅ローン比較を参考にしてください。